第10話 前触れ
生まれながらの変異体、いや始祖返りしたハーピィ『神鳥』は森の守護者になった元少年から淹れてもらった
「先程は、すみません、私にも、人間への憎しみ、恨みが、ありますので、山岳、崖、海の岸壁などと、住居を移しても、付け狙い、我らを、『売り物』として捕まえ、剥製など」
そう、私は『神鳥』として『未来視』した結果を言わないといけないのだけれど、そこまで言葉が出て来にくい。
「きっと、この森も『人間共』に焼かれる、凶星が堕ち大地を焦がし、文明を破壊しきる前に、『資源』を求めて来るのです。」
やっと、言えた。 目の前の恨みとあの女の面影がある遺伝子が私の思考を掻き乱し荒ぶらせるが、『彼』の淹れてくれた
「つまりは、貴女は危機を知らせに来たんですね? であるならありがとうございます。」
『彼』は律儀に頭を下げて礼をする、そんな所も好感がもてる、『彼』を人間共とは別枠として見てしまう。
「近々、北の帝国がこの森へ侵略を開始します、燃料で、森を燃やし獣、魔獣、我ら異種族を『素材』とする為に」
この際、彼に森の防衛戦を住民達にしてもらう方が早いだろう。
「それに合わせて西の聖王法国も『浄化』として過去の遺物である『聖樹』様を焼きに来ます、皆んなえの通達をお願い致します、我々は空高くから呪いと睡魔を歌い、他の種族達に戦って貰うしかと考えています」
「そうですか、まぁ、西に関しては問題ありません、『禁忌』を使い、非人道的に蹂躙します、そして、北はエルフの技術を盗んだ者達なので、ちょっと森の上を飛んでる
『彼』はニコニコと陰の無い笑顔をそう言う、『彼』の中の闇はいつ産まれたのだろう。
まぁ、そんな事より、この森での『禁忌』の手札を切る程恨み深い事には変わりはないか
『禁忌』
この『絶死の魔森』にも『禁忌』と呼ばれる代物がある。
原料は発明した『彼』しか解らないが生物の腐敗した肉と多量の魔力、この森の林檎、しか解らない代物
それを森の外でぶち撒ける事で地面から『邪悪』を呼び出し、その一帯を喰い、呑み込み、新たな地面を生み出し消える、神話時代からの『怪物』だ、それに飛龍は捕まり捕食され地面へと引き摺り込まれた。
この森ではほぼほぼ使ってはいけない『禁忌』とされた。
そして、その『禁忌』が人間共に使われようとしている『怪物』では無く『蝗害』程度で済めば御の字だろう、奴らは森の肥料へとなれるのだから。
•••••••
【アルグランド帝国】
その部屋は皇帝の威厳を示すかの様に天井は黒、壁は金装飾、床は赤いカーペットで統一され、他の装飾品と言えば、ハーピィの剥製、竜の頭蓋、剣匠の作った業物で『武骨』が似合う程の切れ過ぎる輝きを放つ大剣、それらを背後に玉座に座る女性を輝かせ畏怖する道具に過ぎない。
そして、その部屋に集まったのは『能無し』にして捨て駒である。
皇帝が覇気を込めて言の葉を紡ぐ
「我が庭である帝国で我が財宝である国民を良くも奴隷として売買してくれたなぁ、我は言わなかったか?」
怒りの表情と言うには不気味過ぎる程の犬歯剥き出しの笑顔
「貴様らの血肉を構成される食料、衣服それらを作るは国民だ、貴様らの武力もまた国民である。」
皇帝は歯をカチカチと鳴らし
「我らは集合体である、なら集合体を腐らせる蝿は潰すしかあるまい、だが、チャンスをやる。」
皇帝のそばに控える騎士達が哄笑し引き継ぐ
「皇帝様の御言葉は貴様が焼き払った『死滅の森』への仲介役の代わりに『森の守護者』及び『守護神』を捕えろ、だ! それが完遂されたら貴様らの罪を雪いだと認めて貰えるそうだ」
騎士は「まぁ無理だろうがなぁ」と呟く
皇帝が言う
「奴らは人間に対して非常に憎悪をしている者達の集団だ、森を燃やせば怒り狂って『号令』を発するぞ、『全人類を抹殺せよ』と、我は知っている、それで空を飛ばぬ竜達はその血肉をわざわざ森の周りに積み上げられたのを」
人差し指で顎をトントンた叩き、皇帝が語る。
「一匹の飛龍、我が武威知らしめんと、森へ吐息吐き、も幾つもの森灼き、『守護神』荒ぶり、『号令』発した、『トカゲを殺せ』、そら飛ぶ飛龍は海、山、陸を手にした覇者、だが、『食料』の半狂乱により『蟷螂』により偉大な翼切り裂かれ、『熊』により頭蓋を叩き割られ骨を砕かれ、鎧を失った『トカゲ』は大きな狼により生きたまま腑を引き摺り出され、 死の山を築いた、其処に虫が
御伽噺をする皇帝を見ていた貴族がやっと状況を把握した様な震える。
皇帝が何気なく言う
「まぁ、そこから『心臓』と『脳』を奪おうとすれば怒り狂い他の森からもスタンピードが起こるぞ」
草食動物だろうが、自然の恵みを貰うモノたちは全部敵になるのだから
カラカラと笑う皇帝に想像した騎士は震える
それを成功した国は『守護者』は『禁忌』をして滅ぼす気満々だから笑い事では済まないのだが
「まぁ、端的に、死ね、『守護者』が我が国に貿易したいなら『守護者』が『巫女』を送って来るだろうがなぁ」
皇帝はそれだけを言い、玉座の間から退出し、執務室へ向かった。
それを見る事しかできなかった貴族達は目の前が真っ暗になり、嘔吐する者もいた。
そうして帝国が攻めて来る事が確定していたのだ。
•••
【執務室】
我の国の貴族共は馬鹿ばっかりなのかな?
何も言わずに騎士を見ると肩を竦ませ首をブンブンと振る。
「貴様、今何を思って首を振った」
皇帝は眼光を鋭く光らせ言うと
「はっ! 私は森へ行きたくありません! まだ幼い息子を置いて死にたくありません!」
森へ同行させられると思った様だった。
我が市井から取り上げて騎士にした者達は大体『訳あり』ばかりである、そして忠誠厚いが、その中でも、目の前の騎士は違う。
文武に優れるが妻に捨てられ、股男と逃げた妻を剣で斬殺した男で罪人であった、我が宮殿へ連れて来た時に我に平伏し涙を流して嘆願したのだ。
「せめて、息子達が大きくなるまでは死にきれません!」
地面から顔を上げた時の瞳は悪鬼にもなる覚悟の決まった者の瞳だった故に、笑い無罪放免とし、近衛騎士として取り立てた。
プライベートでは師であり、一人の友人である。
「馬鹿なのか! 我が送るとでも? 皆殺しだぞ! 『聖樹』信奉者である我にあの森を侵攻せよと抜かした宰相すら殺した我だが、友を殺す訳が無ければやらんぞ!」
机から身を乗り出し叫ぶが騎士の雰囲気が「理由あればヤるんだろ?」と言ってる。
「我々の起源はそもそも、聖王法国から流れ、あの森で『神の果物』を貰い生き延びた者達だ! 本当なら詫びを入れなければいけない所業だ! それを何をトチ狂ったのか父は軍を率いて森に火を放ちやがった、だから恐るべき『聖獣』に食い荒らされたのだ!」
あぁ、忌々しい。 国を豊かにする事は良いことだ、暗い事も悪い事もした、だが、全ては民の為に流した血だ、地盤を自ら砕いて沈めようとする愚か者達など幾ら殺しても心傷まないし、奴隷として売るなど技術漏洩以外の何物でも無い。 はぁ、皇帝、辞めたい。
「そもそも、我は『あのパーティー』で各地を周りはダンジョンに夢を見ていた一員だぞ! それが父の阿呆が攻めるから皇女に戻れだと!」
執務机を叩き、怒りを露わにする皇帝は側から見ていたら夢を諦めさせられた若者に過ぎない
「おい! 【クロム】にいる『マイスター』は何処にいるんだ? まだ冒険者をやってるんだろ?」
皇帝が目を輝かせ騎士に言うと騎士は気まずそうに首を振り、兜を外す。
「言いにくいのですが、『信奉者』文通で知ったのですが、かの『マイスター』が娘と共に森へ引っ込み『守護者』になったそうで、貴女は『信奉者』達から罵詈雑言言われる立場にあります。」
皇帝が目を丸くし、発狂した。
その後、近衛騎士達を率いて、ある山岳へ向けて赴き、『ある者へ』仲介を頼みに行った。
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