第7話  物心と言う自意識の覚醒

私と言う自己の覚醒は『最悪』の一言


 何が最悪かって、私と言う自分は赤子でバスケット籠にタオルケットを敷いただけのベビーベットに女の嬌声、つまり喘ぎ声に水音が多分に含まれた肉と肉の弾ける音に男の息遣い。


 まぁ、ハッスルするのは、良い。

 だが、男の言ってる言葉がほとほと不快で吐き気を催す。


 実は俺とお前の子で、あの男はお前との子だと気付いて無いとか。

 

 先に洗脳と魅了を掛けまくって隷属させておいて正解だったとか。


 多少大きくなったら黒龍に喰わせて終わりだとか。

 

 生き残っても戦力外通告をさせて娘共々足手纏いと他のオスどもは要らないとか、ハーレムがどうとか。


 母親である女もケラケラ笑いながら言う。


 あの男は器用で私に尽くすけど、人形みたいで好きになれなかった、だから、私の便利な道具としか愛想良く使ってあげてたの。


 前世の事は余り思い出したくも無いが、赤子の中で叫ぶ。


 お前ら絶対殺してやる!


 赤子では、声の限り泣く事しか叶わなかった。


 母は身嗜みを簡素に整え、私を不快そうに抱き、部屋を出てある部屋に訪れた。


 優しそうな表情で暖かい瞳で母を見て赤子の私を預かり、私をあやす。


 悔しい気持ちと怒りと理不尽に泣きながらその人の声を聴く。


 る〜るるる〜らら〜ら


一定のテンポで優しく手でポンポンと叩き揺する事で、私は眠たくなり、その人の顔を見てから眠った。


 私の首が座ると修道服の中に貴金属を付けたシスターの様な人も『あの人』がハイハイの練習をさせてくれる。

 

 地面には柔らかく質の良さそうな布を何重にも広く敷いており、シスターが私に「おいで」と言葉をかけるが私には『あの人』しか信用出来ない、したく無かった。 すみませんとも罪悪感も湧かない、ただ、『あの人』の笑顔が眩しく好きになった。


 喋れる様になり、真っ先に「パパ」と舌足らずに言うと穏やかな笑顔から満面の笑顔に変わり嬉しそうに抱きしめてくれた。 とても暖かく、これまでの人生で初めての幸せを感じた。


 壁に手を当て立ち上がる練習をしてると、シスターがニコニコして頭を撫でてくれる、中学3年生位の歳かと思い見てると、小さなポーチからベリーを出して口に入れてくれる。


 もきゅもきゅと食べてると嬉しそうに笑うシスターは少し好きだ、だが、時々豊満に育ってきている峰に両手をぎゅっと押し込み愛欲を浮かべるのがとても気にくわなく嫌いだ。


 そんな日はを続けて、ある程度大きくなり、自由に歩ける様になり共同生活している屋敷内を歩いてると、シスターに傅く二人の男達を見た。

 確か顔が中性的で整った方がリョウで、怖い顔をいつもしている方がガチネコラと名乗ってた大男で、シスターの隙を見てクッキーや果物を良く食べさせてくれる実は優しい良い人。


 そんな二人がシスターに静かに傅き、シスターが母と男を監視しろと言い、最後に上から目線で気色悪い笑みを浮かべるダンタリオンを食べて良いとリョウの肩をポンポンと叩いていた。


 そんな光景を見ていたのがシスターにバレたけど、シスターの本名を聞けた。


 クレーリア•フォン•アルカンシェルと言い、そのアルカンシェルで前世の記憶に引っ掛かり、この世界が何処でどんな場所か知れた。


 その事に関してはとても感謝した、そして『あの人』以外にはクレーリアとしか名乗ってないから言わないでねと釘を打ち込まれた。


 ミリム•リディア=音無と言うクレーリアと同い年位の女が『あの人』の作る道具に甚く感動し条件付きで住み着いた女という感じが強いが、良く私の祖国へ来ませんか?とお誘いをしているのをクレーリアにチクッたらクレーリアが物凄く警戒していた。


 そして父にあたるクソ男の父ヨモテル、コイツは転生者でテイマーと名乗り、隷属と魅了を使う戦えない股男、クズでゴミでクレーリアに魅了を掛けてるが全然効いて無い事にイライラしてる事しか判らない。


 そんなパーティーでダンジョンに潜り、『あの人』が両脚が無くなった状態で帰って来た時は泣いた、そしてクレーリアが必死に最後の気力で治してくれた時にはクレーリアに抱きつき泣いた。


 そして、『あの人』が捨てられると言う話を母と股男がしていたのを盗み聞きしてると、母に捕まり、『あの人』の部屋に入れられ、木の板を渡された、少し待つと私の義父となる『あの人』がやって来た。


 表情はのっぺりとしていたが私を見るとぎこちない笑顔が心が燃える様に熱くなり、痛く引き締められる、そこからは、義父の鬼の表情を見てからは記憶が無かった。 


 それから、義父は故郷に帰るから一緒に暮らそうねと涙を溜めた瞳と震える声で言われた、そしてミリムを見ると眼は非常に鋭く、呪詛を吐いていた。



 そして現在はこの森での暮らしに今は満足している。


 ミリムは蟷螂師匠に剣の訓練をしてもらっており、私は熊師匠のクマママさんに花冠を使って頭に乗せて上げると嬉しそうに「くま〜」と鳴くのがとても可愛い、そして、クマ師匠や他の生物に虐められてる風に見えると、ブチギレて自分の夫を半殺しにして、他の生物は殆ど動けなくなるまで半殺しにして左手で持ち上げメンチを切り、次襲って来ると殺すを雰囲気で教えていた。


 そこからか、クマ奥さん達が集まり談笑したり、花の装飾品を作るととても喜ばれる様になって雄クマさん達が雌クマさん達にアプローチするのに何が良いかを良く相談してくる様になり、この森でとても馴染めた気がした。

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