第5話 崩壊

とあるパーティーホームではあからさまに気分最悪の白地に緑で統一されたスカートにスリットの入った修道服を着て、真ん中にXと刺繍をされた目隠しをした輝くプラチナブランドの女性、《神聖聖母》クレーリア•フォン•アルカンシェルが対面に座る女性に苛立ちを隠さずに表していた。


「シンシア、貴方【森の巫女】の資格を失いましたね? それと同時に能力の低下も見られます。」


 「そうだ、私が娘を産んだからだな、それがどうした? まだまだ【聖光】も放てるが不服か?」


 シンシアは尊大に無い胸の前で腕を組み座ってる


 それが気に入らないクレーリアは【彼】の前では絶対しなかった「チッ!」と舌打ちをして言う。


 「では、貴方風に言うと、 用済みだから、故郷に消えろ! っと言えば判りますか?」


 クレーリアとしては神職としても、自分の用事的にも欲しかった【彼】を抜けさせた、パーティーにはもう用も無ければ支える意味すら無かった。


パーティーの運営、財政状況、物資、食事代に家賃、その他諸々を【彼】に押し付けてた目の前の怨敵ゴミを世間的に抹殺、裏で抹殺、政治的に抹殺まで考えて限界し達している状態なのだ。


「私はあんな田舎にもう興味も無いし、ある程度すれば両親を王都に住まわせて、王都のダンジョンで稼ぎたい所でもあるしな」


 反省すらせず世間話の様に未来設計をしている。


 そんな中クレーリアがにっこりと微笑みながら爆弾を放った。


 「その両親さんなのですが、ある教会で聴いた話にやると、魔樹トレントに昇華されたそうですよ?」


 「なんだと!!」


シンシアは堪らずテーブルを両手で叩き身を乗り出した。


 「本当ですよ〜 私【聖樹】様の加護を賜っていまして、他の御方の加護も授かっているので、植物に話し掛けるだけで【聖樹】様と交信できてしまうのです。」


 クレーリアは小首を傾げた


シンシアにはそれが堪らなく腹が立った


 「そんなにパーティーが抜けたいなら抜けるといい!」


 顔を真っ赤にして敵意を向けるシンシア、だが、シンシアの頭の中では理解していた。


クレーリアに手を出せば光の壁の障壁に阻まれ光の槍が自分の心臓を容赦なく貫くと。


 そしてクレーリアが好きだからこそ下半身が消失して死にかけていた【彼】を、半狂乱になりながらも左目を犠牲にして治癒の繭で包み、癒した事も。


 だから、【彼】を騙してヨモテルと寝ていた事をバラした時の表情も【彼】を捨てた時の表情にも悦を覚えた、そして【彼】は私の道具なのだから、私が声を掛けるだけで戻ってくる事も確定している。


 「でも残念だ、クレーリアが抜けても【彼】には会えないぞ、私がこのパーティーへ再び引き戻して管理人としてホームへ戻すのだからなぁ」


 

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