第4話 需要と供給
物には限度があり数には、限りがあるのはご存知だろう。
その作成する道具には設計図があり材料のロードマップつまりは辿るべき工程があるのだが、それを再現出来ない場合、他の試みを試さないといけない。
例えば、動物の皮を鞣した革。
これが無ければ革製品が出来ない。
バックを作ろうにも即席で出来るのは草や木の皮を剥いで作る植物繊維の籠だ。
それを踏まえて、魔法で作った道具はどうだろう?
例えば、発明家と技術者が同じ人物で頭のレシピを継ぎ接ぎに書いて自分にだけ解読できる様に保存していたとすれば。
本人にはその価値が判り、他の人からすればただのゴミ
さて、もう解るだろうか、羊皮紙の紙の束や植物由来の植物紙が普及しなさすぎて木の板に言語を書き札として使用するこの世界、書物が高額な上に識字率が低く、技術やレシピなどが秘伝と呼ばれる上に直伝にる、その価値は途轍もなく高い。
それを踏まえて、あるポーターの作った空間魔法の収納バッグがあったとする。
それを卸す人物消失、設計図パーティー内でゴミとして廃棄された、卸した店は突然の解雇により在庫の数が品薄状態で価格高騰、詰まりは被害甚大。
一般冒険者パーティーのダンジョンアタックで稼げる平均金額は銀貨十五〜二十枚
初心者の冒険者パーティーの稼げる金額は銅貨三十枚程度
ベテランから一級になると金貨十〜十三枚
では空間魔法の収納バッグの値段はと言うと
供給時は金貨一枚と銀貨三十枚で供給不安定になった後の価格はと言うと、金貨三十枚になる。
冒険者の街の宿屋が銅貨三枚から金貨十枚までの振れ幅があり、酒場などの飲食店の値段は安くて銅貨三枚から銀貨五枚、屋台は銅貨三枚から銀貨一枚。
そんな中、食料、飲料、道具など魔物の素材が合計二百個入る空間魔法の収納バッグ、これがあればダンジョンアタックしても多く稼げる訳だが、 冒険者の一日に最低限必要な金額は銅貨六枚から九枚である。
とあるポーターが【クロム】から居なくなって四年後
そんな冒険者の街【クロム】で、冒険者達の不満が膨れ上がっていた。
とある酒場
深夜の酒場で愚痴る冒険者が居た。
「クソ、ダンジョンで稼げねぇ」
顔に傷のある若者が木のジャッキを優しくテーブルに置きながら血を吐く様に呟いた。
相席している仲間がポツリと批判した。
「食事してんだから、クソとかうんことか下をぶち込まないでくれる? うんこ食ってる気分になるぜ」
仲間は無表情で食事をしながら「美味いけどよ」とこぼす。
「だがよぉ、【マイスター】が居た時にゃ、稼げてたんなぁ、それが、物価高騰、粗悪品流出、終いには回復薬のポッション、んん"、ポーションだって値上げしたし」
ジャッキを持ち上げまた飲み、そっと置く
「稼げねぇ」と血吐く様にまた呟く。
仲間が慰める様にぶっこむ
「風俗って知ってるか」
これまた無表情で呟く仲間に戦慄した表情を向ける傷ありの若者
「女もそうだが、モグモグ、ムグッ、 男も『穴』あんだろ、男は【ダンジョン】に夢、見ちまうんだ」
それを聞いてた他のテーブルの冒険者も食べるのを止め、下を向く。 相席してる仲間達はお通夜の様に表情が優れない。
酒場でその仲間以外がこう思った。
(おめぇが言うな!)
だが、仲間は食事を邪魔された事が不服なのか言う。
「そらぁ、【アタック】すんだろぉ? 相手もスッキリ、こっちもスッキリホクホク、な? 鍛冶屋のおっちゃんに言われた時、納得しちまったぜ」
仲間はダンディキメた様なドヤ顔をしてテーブルに料金の銅貨を置いて酒場から出ていった。
一方その頃、とあるパーティーホームでは、非常にパーティー内環境最悪まで落ちていた
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