一応幽霊は出てくるのですが、というか主人公が幽霊なのですが(!)、全く怪談では御座いやせんので安心してお読みくんなせえ――とついつい、読み終わった直後に書いているためお江戸言葉が伝染します!
ハマハマ様のほかの作品もそうなのですが、このお江戸情緒がいいんですよね~♪
お話時代は家族の絆を描いた感動物語です。
ほのぼのではありますが、クライマックス前にはハラハラさせられる事件も起こります。
笑いあり、事件ありで、巧みな起承転結を備えた作品。
短編の鑑ですね!
読む人を選ばない素敵な小説ですので、ぜひ読んでみて下さい!
【賢いヒロイン中編コンテスト応募作品】【全13話完結済】
いまだ幽霊や妖怪が存在感を持つ懐かしい時代、明治の日本が舞台のファンタジー・ラブコメです。
仏壇屋「由乃屋」のせがれで何故か幽霊が見える青年、仁太。
その祖父で20年前に亡くなった妻を溺愛し続けている仁左衛門。
その妻で幽霊として二人を見守る由乃ばあちゃん。この由乃を語り部として物語が進みます。
まず何と言ってもこの語り口が!作者の得意とする女性による一人称の優しげでコミカルな語り口が癖になります!ほんわかする!
庭に立っている柳の古木に宿った精がその仁太に恋をして、幽霊の由乃と合体するとあら不思議、18歳当時のカワイイ由乃として受肉!若かりし頃の由乃と瓜二つの「お柳」として、仁太にアプローチしていきます。
亡くした両親と触れ合いたい仁太と、それを手助けしたいお柳。仁太を通さねば話ができない仁左衛門と由乃。幽霊と人間と精霊の、一筋縄ではいかない複雑な人間模様には大いに惹き込まれました。
見える見えない!触れる触れない!このもどかしさ!
個人的にはお柳を見て「だって由乃じゃもん」と熱狂するお爺ちゃんが最高にツボでした(笑)
中編から長編化する事を見越した構成なので、今後の展開にも期待が持てるハートフルな作品です。この機会に是非ご一読下さい。
そしてこれが面白かったという方は、同じ作者による「やぶ医者の女房」も強くお勧めいたします。