第353話 代理交渉
「遅くなりました、ゴウさんの代理を任されたククリといいます。」
交渉で遅れを取っていた魔族の所に強力な援軍が来ることになる。
「姫様何故此処に!」
アクラは膝をつき臣下の礼をとる。
「アクラ、私は今ゴウ様の代理で来ております、臣下の礼は不要ですよ。」
「ゴウ様の代理なら尚の事必要かと。」
「そうですね、ならば受けましょう。」
魔族がゴウをどのように思っているかわかる一面であった。
「ククリさん、あなたがゴウさんの代理とはどういう事ですか?ゴウさんは何処に?」
「ゴウ様は今立つことも出来ない状態ですので代わりに参りました。
一応ゴウ様から委任状にサインも貰っています。」
ククリは委任状を見せる、そこには今回の交渉に対してククリに任せ、その責任はゴウにあるとまで書かれている。
「えっ、しかし、魔族のいえ魔王の娘であるククリさんが代理だと公平性に欠けるのでは無いでしょうか?せめてミユキさんがお越しくださるのが筋では無いでしょうか?」
「ミユキ様も立てない状態です、従って私が来たという次第です。」
「待ってください!立てない状態とはどういう事ですか、その説明をお願いします。」
「・・しかし少しばかり激しい運動をなされて身体中が筋肉痛になられているだけです。」
「筋肉痛・・・国との交渉にそのような理由で・・・」
「クロエ王女、ゴウさんに取って貴方がたはその程度なのです、一応殺すような真似は控えてくれと伝言を頂いておりますのでそれに従うつもりでは有ります。」
「お待ち下さい、ゴウさんは私を側室にお望みのはず、私達の扱いが悪いのは後でゴウさんに叱られると思いますよ。」
「ゴウさんがクロエ王女を側室に?そのようなお話は聞いておりません。」
「聞くも何もククリさんに伝えていないだけではないでしょうか。」
「それなら委任状を預かった際に配慮を求められたはずです。
それが無かったということはクロエ王女の事を側室という話にはならないはず、いったい何処から側室の話が出たのでしょか?」
「それは・・・」
クロエは根拠を言おうとするがローズが聞いた話、しかも諜報活動で得た話な為に根拠と示せるものでは無い。
「確かにクロエ王女のような美人を侍らしたいと思う男性は多くいるでしょう、ですがゴウ様を同じと思わない方がよろしいと思います。」
「そんな・・・ゴウ様に確認させてください!」
「ゴウ様は今人に会えないお姿なので確認してもらう事は出来ません。」
「立てない、人に会えない、とはいったいゴウさんに何をしたんですか!」
「ナニをしたなんて・・・そんな恥ずかしい事を言える訳ないじゃないですか。」
先程まで凛としていたククリが急に恥ずかしそうにクネクネする姿が全てを語っていたのだった・・・
異世界旅行 カティ @fortune-Katty
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