第14話 一人目のヒロイン

「スズ。これを。」


「えっ!?・・・これって・・・」


「ああ土の髪飾りだ。ようやく見つけてね。」


「シュン・・・でも、どうして?」


「俺はスズのパーティーメンバーだぜ。魔法が不発の度に悲しい顔するのを俺が知らないとでも?」


本当はすぐに渡したかったんだよ。連続で不発だったら泣きそうな顔してたからな。気づいてないふりしながらフォローするのは大変だった。うん。俺良く頑張った。


「受け取ってくれるよな?」


「うん・・・ありがとう。でもどこで?」


「日曜日に土のダンジョンに行ってたんだ。土の髪飾りって言うぐらいだから土のダンジョンならって思ってね。それで運良く宝箱見つけたら更に運良くそれが入ってたんだ。」


「私の為に・・・一人で・・・」


よしよし。感激してるな。好感度マックス200にこれでいったのは間違いないだろ。なんといっても攻略アイテムだからな。


一応アレックスに謝っとくか。悪いアレックス。お前が攻略するヒロイン、俺が先にもらっちゃったぜ。


「ありがとう!」


感極まったスズが抱きついてきた。


きたーーーー!


スズに抱きつかれたよ。ここに転生させてくれた誰か。ありがとーーー!


うっ目の前にスズの顔が・・・これはそのままキスする流れか?スズも顔が赤い。いやここは学校だし周りも見てる。焦らなくてもここは紳士に。


「付けて見てくれないか?きっとスズに似合うよ。」


「うん。」


逃げたな?ヘタレ!と思っただろう?うるさい。だまれ!俺だってキスしたいさ。だけどしようとして拒否られたらどうする?


そんな事になったら俺は生きていけないぞ。シュンは良いヤツだけどそうゆうのは。とかいわれたらどうするだ?


ヘタレ?なんとでも言えばいい。俺だってわかってる。しなかった事を瞬間で後悔したさ。それが俺だ。


スズは土の髪飾りを付けて、俺の前でくるっと回った。


「どう?・・・かな?」


「メッチャ似合ってるよ!」


「そ、そう?・・・ありがと。」


スズの顔を赤くなってるのがわかった。


(顔が赤くなってるな。可愛いな~。とりあえずこれで一人目のヒロイン攻略完了だな。あれ?でも攻略ってどうなるんだ?告白とかしてないしされてないぞ?ゲームだったら攻略アイテムを渡したら自然と付き合ってたからリアルじゃどうなのかわからないな・・・。告白してないのに付き合うっていうのもありえないもんな~。・・・はっ!!!もしかして俺がスズに告白しなきゃいけなかったのか?まずい・・・今更なんて言えばいいんだ・・・)


「じゃ、じゃあ地下20階まで無事に来れた事だし帰るか?」


「う、うん・・・。」


スズはモジモジしながら近づいてきて俺の手を握った。


「えっ!?」


「え~っと・・・ダメ?」


(うおぉーーーー。きたーーーー。スズから手を握ってくれたぞ。心臓バクバクだ。落ち着け。落ち着けシュン。爽やかに答えるんだ。俺もスズと手を繋げてうれしいって。そうすれば万事うまくいくぞ。すー。はー。すー。はー。)


「いや俺もスズと手を握りたかったからうれしいよ。」


(よし言えたぞ。がんばった俺。よくやったシュン。この世界に来て一番頑張った瞬間だな。)


そして、スズと手を握ってダンジョンを後にした俺はそのままスズを食事に誘った。


(まだだ。食事で雰囲気を作って告白だ。今なら絶対成功するはずだ。そのままデンジャラスに行きたい所だけど、そこまではさすがに勇気が出ない。行きたいけど・・・)


スズと食事をする事になったが、昨日までの仲の良さはどこにいったのか。お互い気まずいのか会話が続かなかった。それもそうだろう。話そうと相手の顔を見ると一気に顔が赤くなりうまくしゃべれないかった。


(俺って恋愛経験そんなにないんだよな~。ゲームの中じゃプロ級だったけど、あれって基本選択肢があって選ぶだけだもんな。どうする?どうする俺?こんな事ならもっとパッシモに色々聞いておけばよかった。)


俺は覚悟を決めてスズに話掛けた。


「スズは土の髪飾りも手に入ったしこれからどうするんだ?」


「うん・・・もっと魔法をうまくなりたい。折角学校に来たんだし。それに・・・もっとシュンと仲良くなりたい。」


(ん?最後の方はうまく聞こえなかったが俺と仲良くなりたいって言ったよな?言ったよな?)


「そうか。俺もスズと一緒に9つのダンジョンをクリアしたい。これからも一緒に居てくれるか?」


「うん!もちろん!」


(俺の今の実力ならこの辺がベストか。本当ならこれから俺の部屋に来ないかとか、酒でも飲みに行く?って話す所だけど断られたらと思ったら言葉が出ない・・・いや酒はまだダメか。まあ明日からもクラスは一緒だし時間はまだあるんだ。焦る事はないか。)


その後も色々と話しをして食事をした事で更に仲は深まった。


そして帰り際・・・


「今日はありがとう。その・・・シュンのお陰で魔法がうまく使えないのが直ってうれしかった。だから・・・」


スズが近づいてきて俺の頬にキスをした。


「これはお礼。」


そう言ってスズは寮へと走って行った。


(キスされた。キスされた。頬にキスされたぞ!!これはもうそういう事だよな。ヤッターーーー。テンション爆上がりだ!!ようやくナインデスティニーの世界に来たって実感したぞ。ありがとう神様!!!!)


俺は走り去っていくスズを眺めながらここに来させてくれた神様に感謝するのだった。


だがこの時俺は忘れていた。ナインデスティニーはヒロインと付き合い出してからが始まりのエロゲだという事を・・・







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勇者?魔王?いやただの村人です。転生したからにはとことん楽しむ。ヒロインは全員俺のモノだ! ベルピー @hiromi0033

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