毎日更新チャレンジ!!

 旧校舎の端の方にある文芸部の部室は日当たりが悪いおかけで夏でもそこまで暑くはならない。

 とはいえ、扇風機だけで乗り越えるには最近の夏は暑すぎる。

 つまり、執筆をするには部室よりは冷房の効いた図書室の方が適しており、必然的に部室から足が遠のくということだ。


「部室にくるのも久しぶり、一年、いや、一年三ヶ月ぶりぐらいに思えるな」

 部室には葉月はづき紅葉もみじの双子の後輩だけだ。


「入ってくるなりメタったセリフはやめてください。それにそれは先輩が図書室にこもりっきりだからじゃないですか?」

「実際には三日ぶりぐらいですよ。それで、一段落したから部室に来たと思って良いんですか?」

 若干口が悪い方が葉月だ。


「一段落というか……」


なおはネタに尽きて気分転換に来たってわけよね。もしくは愚痴りに」

 部室の入口に立ち止まっていた俺を押し込んでさくらはドアを閉めた。


「あ、桜先輩もお久しぶりです?」

「いや、桜先輩は毎日顔をだしてたでしょ」


 桜には部室の開け閉めをお願いしてたので毎日来ていたはずだ。


「それで、実際のところ先輩はどうして図書館にこもりっきりだったんですか?」


「とある小説投稿サイトがあってな、前回は月の初めから7日間連続投稿を3回行うイベントがあったんだ」


「あー、そういえば先輩参加してましたね。デイリーミッションって言いながら……」


「そう、そのイベントが今回もあるかと思ったんだけど、月初めにアナウンスがなかったので油断していたら……」


「あったんですね。ぷぷっ」

 葉月が肩を震わせている。


「今月はゴタゴタもあったしないものと思ってだんだよ。しかも、前回の7✕3の21日間ではなく、23日間の毎日更新チャレンジに日数増えてるし、おのれ運営悪どい」


「いや別に運営が悪どいわけではないと思うよ。参加してるのは直だし――」

 桜の冷静なツッコミに心が痛む。

「――それに、夏休みの日記とか毎日書いてたことを思えば難しいことではないんじゃない?」


「あぁ、有りましたね夏休みの日記。毎日じゃなくて良かったはずだけど私は毎日書いてました」

「紅葉は真面目だからねぇ。私は紅葉のを見ながら書いてました」


「いや、それは胸を張って言えることなのか?」


「そういう直も夏休みの終わり頃には私のを見せてもらいに来てたじゃない」


「うっ……そもそも、日記とか作文とか読書感想文とか無茶苦茶苦手なんだよ」


「先輩ってそれでいて毎日更新チャレンジをしてるんですよね。まあ、馬鹿ですか? というか、存在自体が矛盾の塊になってません?」


 まあ、わからないでもないので反論しづらい。


「ほら、ソシャゲのデイリーミッションやイベントはこなさないと。なんだけどねー、流石に予定外でもあってネタ切れもネタ切れで後10日程をどうごまかそうか困ってる。そもそも、いつもプロット書かずに自転車操業で書いてるから一行先は無なんだけど、それに加えて締め切りも迫ってというか目の前に締め切りしかない」

 今度こそはプロット作ってから書こうかと思っていたネタもプロットなしで放出し終えてしまった……


「それは直の自業自得だし、こうして部室で愚痴るのもネタになるからいいんじゃない。あ、そういえば先生が直というか文芸部の部長を呼んでたよ。部活周りで数日用事があるらしいって」


 弱り目に祟り目、忙しい時に限って更に用事が入ることが確定した……




―― 解説 ――


いや、本当にいつぶりにこの『文芸部 部活日誌』を書くかなと確認したら一年三ヶ月ぶりで驚愕しています。

しかも、そういえば去年は学園ミステリを書こうと思って諦めたし、とりあえず書くかぁと思ってたのに既に書かれていたこの衝撃よ。

この後の毎日更新チャレンジのお茶を濁すネタが一つ潰されて途方にくれていたりもするのです。


今回の毎日更新チャレンジはとりあえず新作の『TRPG風ダンジョンはじめました ~ミリしらTRPG β0.5~』を投入しています。


https://kakuyomu.jp/works/16818093078503610584


まあ、続きをどうするか困ってはいるのですが……







 






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文芸部 部活日誌 水城みつは @mituha

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