学園ミステリ

「よし、これで大体完了かな」

 文化祭用の部誌の編纂の方には目処がついた。通常の部誌については外部の印刷屋に頼むため、安く上げるためにも締め切りが結構早いのだ。

「お疲れさま、なお部長、いや、編集長かな」

 そう言って、さくらが濃い目に入れた紅茶入りのマグカップを差し出してきた。これに自前のの牛乳をたっぷり入れて飲むのが最近の流行りになっている。


「そう言えば、最近投稿頻度が落ちてたけど、やっぱり、編集大変だった?」

 ちょっと申し訳無さそうな顔をして訊いてきた。

「あー、編集どうこうより、ちょっと執筆内容を見直そうと思ってるんだ。ほら、もうすぐ学園ミステリのコンテストがあっただろ、それ用のを書いてみようかなー、と思って……既に挫折してる」

「先輩、学園ミステリを書くんですか? クラスのみんなで殺し合って一人ずつ容疑者がいなくなるやつですね」

葉月はづきちゃん、それはミステリというより、デスゲームだと思うよ」

 学園ミステリで人が死んでいくようなのは中々難しいと思う。学園で殺人事件は普通はそんなに起きないものだ。そして、殺人事件とかを除いて学園ミステリを考えた場合、それこそミステリの核とも言える謎部分が思いつかない。


「実際のところ、学校って平和だよね。ミステリになりそうなネタはそうそう落ちてないし……」

 これまで書いてたのが短編、むしろ、エピソード単位で完結するような形式ばかりだったため、長編、しかも、ミステリ執筆のためにプロットを練ろうとしても全然思いつかない。

「物騒じゃない学園ミステリってそもそも何を題材にしたらいいんだろ……」


「学園ミステリの有名どころの小説を参考にしてみたらどうですか?」

紅葉もみじちゃんの意見はど正論何だけどね、ちょっとだけ読んでみたら、こんな案でいくかなー、って思ってたのと思いっきり被りそうだったりして、読み進めると難易度が上がりそうで困ってたりする」

「私は別にネタが被ってても、調理法が違えばそれで良いと思うよ」

 確かに、桜の言う通りではあるんだけど、それはそれで何となく悔しい。もっとも、ネタだけではなく、今の俺にはもっと切実な問題があるのだ。


「ネタ以前に、文章の質として、長編に耐えうる文章が今のとこ書けないのが一番の問題なんだよね。777文字縛りで始めて、最近は1エピソードあたり1000文字前後になったけど、それより長いのが書けない」


「あー、何となくわかる」

「確かに、そもそも、最近は短歌の31文字でより短くなってましたね」

 くっ、確かにその通りではあるが、ちょっと笑ったように言われるとつらい。とりあえず、どうしようもなく進まない長編は諦めて二万字位でリハビリしたほうが良いだろうか……




―― 解説 ――


このエピソードも結局、本文部分は1100文字となっています。

さくっと2000-3000時位書けないと長編辛そうな気がしますね。


学園ミステリですが、どんな感じか参考にしようと検索すると、「氷菓」とかがTVアニメ化されてたこともあり、目につくわけです。

で、実のところ私、「氷菓」がどんな話か全く知らなかったんですね。

ちょっと読んで、あー、古典部なのかー、ふむふむ、うわー、ネタかぶりするーってなっております。

いや、前からおすすめされてはいたんですが、むしろ今まで読んでなくて良かったとも思いましたw

多分、読んでたらこの、「文芸部」のシリーズ書いてないです。

学園ミステリとしては、文芸部の創設ネタで書こうかと思ってたんですが、「氷菓」の3章、および、アニメ1話ちょい見た現在の段階で読むべきか読まざるべきか悩んでいます。

展開的に過去話とか被りそうな雰囲気がぷんぷんするじゃないですかぁ。


それはともかく、小説とアニメを比較しながら見てみると、単に小説での表現ではないアニメならではの演出とか、カットされた部分とかあって中々面白いです。

読んだり見たりしていると書く時間がなくなるのが問題ですね。





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