スーサイド・ステップ

無花果

母はイチジクが好きらしい。

私はイチジクのシロップ漬けのあの独特の甘さがどうしても苦手で食べることが出来ない。

「貴女には分からないでしょうね。勿体ない。」

母は私がわからない良さを自分は理解出来ることに心酔しているようだ。

実際は勿体ないなんて思っていないんだろう。

所詮、自分の分身である子供より優位に立ちたいだけなのだろう。