異世界お姉さん。幼馴染みのお姉さん、異世界にいたお姉さん、異世界から来たお姉さん。

夕日ゆうや

姉なる者

あんず。死ぬな!」

雷斗らいと!」

 俺と幼馴染みの杏がトラックに轢かれて、昇天した。





 と思ったら、目が覚めて俺はライトという名で異世界にいた!?

 最初は戸惑いはしたものの、俺には三人の姉がいるらしい。

 一番上のアン、二番目のモモ、三番目のリン。

「あーあ。お米食べたい」

 この世界では、お米はなく、パンと野菜のスープが多い。

 おおよそ中世ヨーロッパといった感じか。

「お米? 私の国にもあったよ! ライト」

 そう言って立ち上がるアン。

「もしかして……日本?」

「そう! 日本!」

「お前ら、異世界転生者か?」

 三番目のリンがぎろっと目をむいて訊ねてくる。

「あ。バレた。でも女神とかには会っていないね」

 俺はそう言うとコクコクと頷く。

「あら。わたしの大事な姉弟きょうだいたちに転生者がいるのね」

 感慨深そうにモモが言う。

「ボクも転生者だよ。アビロクロという国だけどね。そこではビリヤニが有名だったね」

 異世界転生者。それも別の世界から来たと言うことか。

「まあ、わたしがライトを全身全霊で愛するわ」

「そんなことないもん! 私が一番愛しているわ。幼馴染みだし!」

「異国の雰囲気をまとったボクなんか、どうだい?」

 え。なんでお姉さんがたが、俺を巡って争っているのだ?


 俺はしばし呆然とし、三人の姉から寵愛を受ける。


 俺はこの三人を愛することができるのだろうか。

 というか、姉って問題ないのか?


 分からない。


 でも彼女たちと真剣に向き合おうと思う。

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異世界お姉さん。幼馴染みのお姉さん、異世界にいたお姉さん、異世界から来たお姉さん。 夕日ゆうや @PT03wing

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