勉強よりも恋したい

あいくま

第1話

序章


授業が全て終わり、帰り支度をする。やれやれ、久しぶりに1人で帰れそうだ。ここ数日できていない溜まった勉強をこなすチャンスである。このチャンスを逃す訳にはいかない。あいつに見つかる前に帰ってしまおう。そう決め込んで教室を出る。


そこでどたっ!と音がする。背筋がスーッと冷たくなるのを感じる。おそるおそる振り返ってみると……


「やぁやぁ!偶然出会ったね。出会っちゃったね!さぁ、一緒に帰ろっ!」


見つかってしまった。はぁ、とため息をひとつ。こうなったらもう、逃げても逃げても追いかけてくるので諦めるしかない。


「どうせ嫌だって言っても着いてくるだろ?いいよ帰ってやるよおたんこなす」

「はぁ?!この絶世美女系JKの私に向かっておたんこなすとは何事だァ?こんな輩にはおしおきだ!」


そう言って頭をグリグリされる。

さして痛くもない、むしろくすぐったいが勝る攻撃に僕は耐えられず逃れようとする。


周りから見れば、甘ったるく、羨ましい日常である。だが、俺にとっては迷惑でしかない。


実際のところ彼女の言う絶世美女JKというのは正解である。クラス1、いや学校1と言っても不足はないくらい美女である。スポーツ万能、勉強もできて人付き合いも上手い。まさに傍から見れば完璧な女子高生だ。


対して俺はカースト底辺もいいところ。端っこで勉強と読書が趣味のいわゆるど陰キャだ。本来なら彼女の姿をお目にかかることも叶わない。


そんな俺が彼女とつるむことになったのは……


他でもない。あれが原因だろう。




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勉強よりも恋したい あいくま @yuuki_zekken

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