第11話

「あんたが謙虚にいられる理由を教えてほしいの」

アホというか金持ちだからなのかもしれないが、金の使い方が荒すぎる。

「...それを聞くために800万払うとか、他にもっといい人がいるだろ?

 なんで俺なんだ?話をするならそこからだ」

「そうねぇ、あんた小2の頃に黒髪のクソガキを助けたの覚えてる?」

クソガキ、小2...??

「記憶にないし俺はそんなことはしてない気がするが?」

「まぁあんたのことだからそういうと思ったわ。

 とにかく私はあんたにその時助けられたのよ。

 んでお礼をしたいって言ったらあんた

 「そのお礼は大丈夫。君が君にお礼をすればいい」

 なんて言って意味が分からなくて困ってたらあんた消えてんだもん」

うーん..普通に人違いのような........

「クソガキって、初対面で靴踏んできた?」

「それ私」

間髪いれずに返答した感じ間違いはないように思えた。

「んじゃなんで俺が謙虚でいられるかを聞きたいんだよな?」

「あぁ」

偉そうな態度だ。ムカつくが、落ち着け俺。

「...俺には親がいない。だから何をしても基本的に怒るのは担任ぐらいだろう。

 でも怒られるとかそういう問題じゃないと思ってる。

 誰かを幸せにすることをして、その人が他の人を幸せにして。

 そうなったらいいなって思ってる。

 まぁ、現実不幸の連鎖ばっかりでみんな誰かを陥れるのに必死で実現は程遠いだろうしこんな能天気な考えを持っている人間はそうそういないから無理だろうな。

 ま、君はマネしないほうがいいと思うぞ。

 他人あっちは永遠に攻撃してくるのにこっちは永遠に我慢するようなもんだ。

 ただイライラするだけだからな。やめとけ。

 これでいいか?」

「ん。どうも」

そう言い俺は解放された。

リムジンがまだ家の前に止まっており、

まだ誰かいるのかと思ったら送ってるようで、

準備されているのに断るのもと思い甘えさせてもらった。

進まぬ車の運転手に気になったことを訊ねた。

「胡羽さんは、前々からあの性格でしたか?」

「...何故そう思ったのですか?」

「僕は確かに彼女を助けたかもしれません。

 それに覚えはあります。しかし靴ははずです。

 一度あった人は顔を覚える主義なので、わかるんです」

「成程。そうですね。確かに胡羽様は前々からあのような性格では

 ありませんでした。あなたも可哀そうな人です。」

意味深なことを言う運転

「何が可哀そうなのか理解に苦しみますが?」

「そうですね、胡羽様は人の復讐する時の顔が堪らなく好きなお方です。

 私が言うのもなんですが、悪趣味だと思っています」

俺には容易に想像がついた。

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ヤンデレちゃんは俺のことが大好きみたいです 鷹簸 @tacahishi-13

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