第10話

「まぁ、男なんて簡単に捕まえらるけれど

 大体つまんないんだもん。可愛い子ぶれば終わり。

 ほんっと脳がないよねぇ」

ケタケタ笑う胡羽。

可愛いのは名前だけで甘やかされて生かされてきたのだろう。

世の中を舐めているような発言しか出てこない。

「んで?べらべら喋ってるけど俺は君と毛頭付き合う気はないんだけど?」

こんな奴、こっちから御免だ。

しかし胡羽はニヤニヤしている。気味悪い。

「...あんた、親いないんでしょ?それに仕送りってこの場合言うのかわかんないけど

 その額も減ってきていると。そんなんで大丈夫なのかなぁ~?」

...人の内に首を突っ込むとはなんて屑だ。

だがその通りなわけで。もうじき学校もやめにしようかと思っていた。

「別に、策はあるさ」

端的に動揺を見せないように、述べた。

俺の回答を無視するかのように話の展開的に予想できる条件を胡羽は提示した。

「私と付き合ってくれたら、そうねぇ..3日間付き合ってくれたら800万円あげるわ」

...額がおかしいし旨い話には裏がある。

横目で見た宇津月は俯いている。

いつから俺はそんな屑男にされたんだ?

疑問に思いながら

「まぁ、かなりの額だが、俺はこの話を蹴る」

「え?「聞こえなかったか?【け・る】と言ったんだ」

 いやでもかなりの額よ?!あなたも欲しいはず...」

お金にしか興味がないのは人としてどうなのかと品性を疑うが...

黙っていると、胡羽は

「3時間、3時間だけでいいから彼を貸して!同じ額を払うから!」

宇津月に懇願する胡羽。

対して宇津月は困って様子だ。

「...彼がいいなら私はいいけど」

「別に3時間なら俺も構わないが...」

二人の了承が取れたのを聞いていたのか一番奥のカーテンが開く音が聞こえた。

誰かと思っていると、SP...?いや、ボディガード?

「お嬢様。この者はお屋敷につれていきますがよろしいでしょうか?」

「ん。あぁ、逃げられるのはこまるから丁重にね」

「了解しました」

とドラマみたいな会話をボケーと聞いていると、

「すみません」と言われた後、俺は担がれ、リムジンに放り込まれた。


__


しばらく待っているとドアが急に開き、

でっかい屋敷が見えた。

またまたボケーとしていると、

「失礼します」と言われた後、俺は担がれ、屋敷に放り込まれた。

無駄に広い屋敷には所謂メイドらしき人が複数名居た。

といっても彼らは普通の白パーカーに青のジーンズという

テンプレみたいな恰好を全員しているからだ。

まぁ、ラフっぽさがあってこっちも気が楽ではある。

そんな指定服メイドに「コーヒーはお飲みになられますか?」と聞かれたので、

「..ミルク50mlほど入れたのをお願いします」と答えておいた。

暫くしてコーヒーを飲んでいると

胡羽がカバンを持ってきて、

「ほれ、800万」と渡してきた。

「..流石に外だと目立つから口座に入れてほしい....」とボソボソ言うと、

「まぁ、それもそうね」と言い、

一人のメイドに口座に入れるように指示しはじめた。

こいつには常識があるのかないのかわからない。


指名し終えると、別室に案内され、コーヒーは飲み切らずに終わった。


___


「それで、本題なんだけど...」

と胡羽は話を切り出してきた。

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