魔物から国を守るため、苦しい思いをしながら決壊を張り続けている《国守りの魔女》のルーシェ。
しかし無実の罪を着せられてお役御免となり、婚約者である王子からも捨てられてしまう。
今まで国を守るために頑張ってきた女の子に何と言う仕打ち! お前らに人の心はないのかー!
するとそんな読者の気持ちを代弁してくれる人が。それはルーシェの幼馴染みの青年、ジオ。彼はルーシェを虐げた人達とは違い彼女の事を信じ、ラブな雰囲気を出してくれています。
ルーシェの受けた仕打ちは酷かったけど、彼がいてくれたおかげで世の中捨てたもんじゃないって思えました。
ルーシェもそんなジオの事が気になっているけど、自分の気持ちの正体に中々気づけない鈍感さんです。
けどそこがいい!
本作では他にも、恋する女の子が多数登場しますけど、そのどれもが素敵。
特に気に入ったのが、物語中盤に登場するエマという侯爵令嬢。かつて自分を助けてくれた男性、ユリウスの事が大好きで、何度もアタックする姿は可愛さと力強さを感じました。
何をしようと何をされようと、ただ静かに微笑んでいるだけ。婚約者である王子からそんなことを言われ、人形姫とあだ名され、挙句濡れ衣を着せられ婚約破棄されてしまったルーシェ。
もっとも例え婚約破棄なんてされなくても、前述のようなことを言う相手とは、結婚しても幸せになんてなれないと思いますけど。
これには、微笑んでいるだけの人形姫だったルーシェにも、悲しみが、それに、怒りたって込み上げてきます。
そんなルーシェから人形姫である仮面を剥がしたのが、ルーシェの幼なじみであるジオ。
彼に促され、ルーシェが今まで言えなかった本音を吐き出すところは、序盤の大きな見どころ。
それから二人は、もうこんな国にはいられないと隣国へ向かうのですが、そこで出会ったのは素敵な暖かい人達でした。
同じ作者様の書かれた「妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る」のスピンオフでもある本作。
当然そちらのキャラも登場するのですが、エンディングの後幸せに暮らしているのが見たいだの、あのキャラとあのキャラはどうなっただの、前作ファンが見たいと思っているもの、バッチリ書かれています。
もちろん、本作から読んでも問題なし。
人形姫なんてやめたルーシェの幸せ、見届けてやりましょう。