第3話 ぶっころーさん耳の秘密にきょどる。

「どうやら僕は運がいいらしい……。」

俯きながら僕はポツリと言います。


「え?何です?」

「僕は運がいいと言ったのですよ!こんなに簡単にあなたに会えるなんてね!勝負だ!この犬野郎!今日こそは……今夜こそは!あなたを殺ります!」


「犬野郎って!わたしライカンスロープなので狼ですからね!このふくろう野郎!」


僕には狼も犬も変わりないだろうと思えますが……。

それより、この狼。僕をふくろうと言いやがったのは許せませんね!!


「こ……この狼野郎!僕の方こそ みみずく だ!」


(かかりましたね)

「あら?本当ですか?わたし見ましたよ?あなたを先日ねずみーランドで。」

「な!な……なんのことですか!」


「あなたのそのカラフルな耳……。ねずみーランドで買った「光る耳」をファーで飾ったもの……ではありませんか? この迷探偵らいかんさんにはお見通しですよ? カ・ツ・ラ・さ・ん!」


「!?」


「ぶっころーさん。 あなた実は…… ふくろう ですね?」


「な……なにを……言って……」


「みんな思ってましたよ!!その変なカラーリング!模造の毛じゃないかって!実は耳が取り付け可能な「かつらふくろう野郎」じゃないかって!」


「ふぁ……。ぼ……僕h、みみzくだい!!!」


「あら。焦りが尋常じゃないですね。これ以上言うと大手本屋の大人の事情でわたし逝きそうなので、お口にチャックをしておきますか。」


くっ。しばらく見ないうちに、らいかんさんの攻撃力が上がっていますね。

流石に効きましたが、まだ戦える!僕はまだ奴を殺れる!


 ◇


「らいかんさん!騒がしいけどどうしたの?早く逝きましょうよ!ゆりぞう神様の古民家レストランの開店ぱーてぃ♪……って、あれ?何この『ふくろう』。」


村の中から、聖騎士の女性が出てきました。

どいつもこいつも「ふくろう」……僕こころが折れそうです。



「アナリーさん。この『ふくろう』はぶっころーさん。本屋さんのバイトです。」

「へぇ。そのバイトさんと口喧嘩?」


ふたりは僕についてお話を始めました。

回復するまでは、黙って聞いておくことにします。



「良くわからないのですが、毎回『左目に何かを宿した殺し屋』のなんたらって痛いことを言いながら襲ってくるのですよ。この『ふくろう』。」


「え?本屋でバイトの殺し屋なの?悪い『ふくろう』じゃない! 初心者冒険者のらいかんさんには荷が重いわ! 私も一緒に戦ってあげる!」


「いや……大丈夫ですアナリーさん!! それに参戦されるときっと私。また、あなたに『魔物と間違えられて』切られて逝きますもの。」


「もう大丈夫よ!私は聖騎士アナリー!世界初の獣魔冒険者であるらいかんさんを、毎回『敵の魔物と間違えて切る』なんてことある訳ないわ!」


「あ……うん。」

(これ絶対切られますね……わたし。あ。唐突にこんな話になって、初見さんはわかりませんよね?わたし、何時もこのお話↓みたいに仲間に切られている逝くのです。 https://kakuyomu.jp/works/16817330653870648603/episodes/16817330654538327254 )


 ◇


どうやら、この聖騎士さんは狼野郎の味方のようです。

しかし、こいつの周りには聖者やら、聖女やら、聖騎士やらと魔物ライカンスロープとは思えない味方が隣にいますね。


聖騎士の女性が、狼野郎に聞きます。

「でも、何でこの「ぶっころーさん」は「らいかんさん」を殺りに来ているの?」


「……さぁ?」

「え?」


「毎回襲ってくる度に聞くのですが、話している途中に歩くのですよね。このふくろう……。」

「それって……まさか3歩?」


「ふくろうだか、みみずくだか知りませんが、所詮『鳥』ですからね……。」(とほい目


むむむ。このふたり。

このぶっころーさんを、更に侮辱した気がします。


分が悪い…分かっている!でも僕は!!!


僕は闘志を燃やし、この狼野郎らいかんさんを必ずここで殺ると改めて誓います!

お前を絶対ぶっころー!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る