物語の最初の印象と、最後まで読んだ後の印象が、がらりと変化する構成に驚かされました。ただの青春ドラマと侮るなかれ。この物語は、青よりももっと深く、切ない、群青色。一気読み推奨です。そして、最後にあとがきを読むことで、この深い沼にもう一度ハマってしまうのです。この恋でも愛でもないふたりの思い出のひと欠片に、胸を打たれました。たくさんの方に読んでいただきたい、とても素敵な作品です。
それは海水に体温を奪われるからこそ感じる、自分自身の体温のような。芯のある静かな熱、のようなものを感じました。