第6話
「じゃあ今日で1学期は終わるけれど、今年は受験生だから勉強を疎かにしないように」
終業式を終え、教室に戻ると担任の先生がそう言った。
先生の言葉にクラスメイト達は面倒くさそうにしている。
俺もその内の1人だが。
午前だけの日程だけだったため、早々に鞄を持って海と待ち合わせをしている屋上へ向かう。
「海~」
屋上の錆びた扉を開けて、海を呼ぶ。
海はすぐに振り向いてくれた。
「待った?」
「ううん。私もさっき来たばっかり」
「じゃあいいか」
2人で並んで空を見上げる。
暑くはあるが風の通りが良く、体感はいつもより涼しかった。
「いつも駐輪場なのになんで今日は屋上で待ち合わせだったんだ?」
「今日部活がないらしいから駐輪場混むかなって思ったから。あと、素直に屋上に上がってみたかった」
「なるほど」
確かに、普段は使われていない屋上の鍵が開いているというのは珍しいことだと思う。
上から下校する生徒を眺めてみるのも悪くはない。
「なぁ」
「ん~?」
「夏休みさ、海行かね?」
「勉強は?」
「いいじゃんそんなの」
俺がそういうと、海は少し困ったような表情をした。
そしてその表情とは逆に海の答えは意外にもOKで、俺らは夏休みに入ってすぐに行くことになった。
海と2人で遊びに行ったことは何度もある。
でも今回は今までとは違い、泊まりで海に行くことになった。
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