courage of war durm ~戦場に輝く太鼓の音色〜
岩 大志
第1話 始まりの太鼓
「頃合い、か…。」
隻眼の将は小高い山の上で平野を見下ろし呟いた。
「すっ。」
振り向きざまに、その男は右手をおもむろに上げた。
控えている数人の男達がそれに気付くと後方へ走って行った。
(よもや、この戦…か。)
男は登り始めようとした太陽に願うかのように言った。
合図を受けた数人の男たちが走った先には数十人の人の群れがあった。
「合図じゃ。」
一人の男は静かに言う。
「はっ。」
その声の方を向き、その一行の一人が言う。
男は持っている小さな旗を掲げる。
そこには「
一行の視線は一斉にその旗に集まり、そして動き出す。
「そ~れ!!!」
威勢の良い掛け声がこだました。
「えいや!!!」
その掛け声に呼応するように、勇ましい男の声が響く。
と、同時に
「ドン!!ドン!!ドン!!ドドン!!」
「ドン!!ドン!!ドン!!ドドン!!」
太鼓の音色が森を切り裂いていった。
「そいや!!」
旗を持ち上げた男が合いの手を入れる。
「ドン!!ドン!!ドン!!ドドン!!!!」
太鼓は更に強く叩かれる。
小高い山の上から叩かれる力強い太鼓の振動に、平野にいる幾千の兵が身震いした。
今にも叫び出したい高揚感を必死に抑えている所をみると、良く規律の守られた兵団とみられる。
兵士は、小隊長の掛け声を待つ。
そして
「おおおおお!」
と、小隊長と思われる騎馬武者が叫ぶ。
「おおおおおおお!!!!!!」
幾千の兵が続く。
声は塊となり空を突き抜ける。
「ドン!!ドン!!ドン!!ドドン!!!」
山からの太鼓も負けじとそのバチで応える。
そして、ゆっくりと動き出す。
進む先を一点に見つめ、歩調を合わせながらの行軍。
誰一人として臆病な面構えの者はいない。
そこへ騎馬武者の将が叫んだ。
「突撃~!!!!!」
「おおおおお!!!!」
幾千の兵は一斉に叫びながら走り出した。
向かうは
『妻女山』
第一話 完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます