第13話 深酒

ーー35ーーーーーーーーーーーーーーーー


周りに 人が いない事を

確認し


「肩に 乗って」


と モルグンを 手招きし 自分の肩に

乗せる ライナー


「・・・ッ」


「なんか 逢い引き みたいで

興奮するわね」


鼻息が 荒くなる モルグン


「あっ そうそう

ソファーの 所に ステッキが

あるから それを 持って」


猫状態の モルグンは 棒状の

物が 持てない

ライナーが 腰ひもの ところへ

さす


「人間の 状態に 戻って くれないか」


見た目は 猫だが 重さは モルグンと

変わらない から ズシッと

肩に くる


「イイじゃないの~」


ライナーの ひたいに スリスリする

モルグン


「・・・まぁ イイか」


気分は 悪くない ライナー


「それじゃあ 瞬間移動

するぞ」


「イイわよ」


ライナーは 素早く 手を 動かす

次の 瞬間 エルフの里の 上空に

転送される


「ちょっ・・・

雑ねぇ」


目を 丸くする モルグン


「ヤバッ」


モルグンは 後ろ足を すべらせてしまい

ライナーの 肩から 落下する


「キャアー」


木を さく ような 女の 悲鳴が

こだまする


「あぶないッ」


地面スレスレで 猫を 救う

ライナー


「ふぅー

ギリ 助かったぜ」


あせりを 隠せない ライナー

ふと 池に つき落とした 兵士の顔が

浮かんだ


「ちょっと なんで 高さの

調節が 出来ないのよー」


かなり ビックリした モルグン


「ごめん 独学だから 調整がね」


頭を 掻く ライナー


「最初に 言って おくべきだったな

なぜ 肩に乗せたのか」


反省する ライナー


「んもう

わたしが 手取り 足取り おしえて

あげる」


鼻を ならし ノリノリに 首を

左右に 動かす モルグン


「あのー

今 ビジュアルが 完全に 猫なん

だけど」


冷めた声で つっこむ ライナー


「イイ女風に 言って みたんだけど

しまらないね」


首を かしげ ニッコリ笑う モルグン


「さてと エルフの里に 入るよ」


「ええ いつでも 大丈夫よ」


コケが はえている エリアの

中心の 古木の 前まで 歩く


「入りたいと 思えば 入れる から」


「なにそれ

・・・あれ おいてかないでよ」


ライナーの 姿が 一瞬で 消える

今にも くちそうな 大木の 前で

ウロウロ する猫


「入りたいって思う 考える

入りたい 入りたい」


スーッと 入って いく

モルグン


「おい 遅かったな」


腕組みして 仁王立ちする ライナー


「なんか 頭が クラクラするわ

ここ 人間が いて 大丈夫かしら」


なにかしらの 刺激を うったえる

モルグン


「いや 猫じゃん」


ニヤッと 笑う ライナー


「いや そういう意味じゃなくて」


苦笑いする モルグン


「あーっ ライナー

帰って きたんだね」


ライナーの 話し声を 聞きつけ

メイナが やって来る


「おう 水源地は 異常なかったぞ」


手を 腰におき 笑いかける ライナー


「それなら よかった」


やっと 普通の 笑顔に なる

メイナ


「あれ その猫

モルグンの 相棒に そっくりね」


ライナーの 足に スリスリする猫に

目が とまる メイナ


「ああ こい・・・」


「モルグンの 相棒 ナーガだ」


ライナーの 言葉を さえぎるように

発言する 猫


「やっぱり そうだね

でも 少し 声が 高い 気が」


声色は あきらかに 違う


「ちょっと ノドの調子が

コホンコホン」


咳払いする 猫


「大丈夫??」


ちょっと 心配する メイナ


「うん 大丈夫

ありがとう」


そう言うと モルグンは

ペコリと こうべを 下げてから

ライナーの 肩に 飛び乗る


「おい なんで ウソを」


小声で モルグンに 問いただす

ライナー


「だって 嫉妬って みにくいものを

向けられ たく ないもの」


すまし顔の モルグン


「まぁ 絶対モメるよな」


ニパは なんとなく 納得して

くれるだろうが

メイナは モルグンが 猫に 変身して

いると わかれば 必ず 割って 入る

だろう ことは 想像に かたくない


「でも いつか バレないか

ヒヤヒヤするな」


「うん ドキドキ するわね」


そう 言うと モルグンは

ライナーの 耳の 中を 舐める


「ひぁっ」


ライナーは 思わず 悲鳴を

あげる


「ちょっと」


メイナが ジトッとした 目線で

ライナーを 見る


「い・・・いや・・・

なんでもない」


冷や汗が 出る ライナー


「あやしい」


ライナーを ニラむ メイナ


「本当に なんでもないや

ハハハ・・・」


「なら イイんだけど」


そう言うと 向こうに 行く メイナ


「うんうん」


まるで うなずく 人形と化す


「けっこう 尻に しかれ

ちゃって ない??」


耳打ちする モルグン


「もう 波風が たつのは

ゴメンだよ」


メイナと ニパの バトルを

思い出す


「魔王様も 丸く なったものね」


目を ほそめる モルグン


「そもそも 俺は 中身が

魔王じゃあないの

知ってるくせに」


挑発され 少し ムッと

なる ライナー


「そうよね 勇者様

フーッ」


ワザと 耳に 息を かける

モルグン


「もう 耳もとで おちょくんな」


「わあ モルグンの 相棒の 黒猫だー」


ニパが ライナーを 見つけて

駆け寄って 猫に 気付く


「でも 違うね この子」


ギクりと なる ライナーと モルグン


「わかった 相棒の相棒だ」


なんか 自分で 解決 するニパ


「そろそろ 夕食の 準備を

しないとな」


ライナーは 思い切り ごまかす


「うん 本当は ゴブリンの

集落で 食べようと 思っていた

食材を こっちに 持って 来たから」


少し さみしげに 言う ニパ


「ごめんね いろいろ あって

今日は 行けなくて」


手を 合わせ あやまる

ライナー


「うん でも 明日は 絶対に

行こうね」


両手で 拳を にぎり

タテに ふる ニパ


「うん 必ず 行こう」


ニパの 拳を そっと 手で つつむ

ライナー


「やったー

絶対 満足させるから」


跳びはねて よろこぶ ニパ


「う・・・うん

期待しとくよ」


苦笑いの ライナー


「ゴブリンの集落に 明日 行くの??」


モルグンは イヤそうに 聞く


「うん 泊まる 約束なんだ」


フッと ため息を 吐きながら 言う

ライナー


「えっ あんな所に 泊まるの

正気??」


ショックを かくし きれない

モルグン


「ニパが どうしても って 聞かない

んだ 我慢して くれよ」


ほとほと 困っている


「ウーン」


「1泊だけなんだ それで

丸く おさまるから」


説得する ライナー


「あら あの子の 尻にも

しかれてるんだ

最高ね」


いじわるを 言う モルグン


「やめてくれよー」


つらそうな顔を する


「あなただって ニパが

ゴブリン じゃあない事ぐらいは

見抜いているでしょ」


ズバッと 言う モルグン


「うん ヒントを くれよ」


たのみこむ ライナー


「ひんとって なに」


「なんか こう 正解が わかりそうな

そんな ニュアンスで」


身振りで 伝えようと する

ライナー


「だから 本人に 聞いてよ」


つっけんどん


「そんな 本当は コワい存在なのかな??」


隠された 正体が 知りたいような

恐ろしいような


「大丈夫 魔物の たぐいじゃない

から」



ーー36ーーーーーーーーーーーーーーーー


「バカ野郎

居ませんでした とか どの面さげて

報告に 来てんだ」


騎士団長の グリエルが モルグンを

つれて 来ない 兵士たちを ののしる


ドゴン


テーブルを けり上げ ひっくり返す

グリエル

さんらんする 夕食


「グリエル様・・・

もう一度 捜索して まいります

今 しばらく 猶予を」


こんがんする 兵士


「さっさと 行ってこい!!」


どなりちらす グリエル


「はッ」


そそくさと さって行く 兵士


「ったく 酒が マズく ならあ」


思い切り 悪態が出る グリエル


「に しても」


行方不明だった兵士たちが

近くの 池で 見るも 無残な

状態で 発見される

死因は 毒か 溺死なのだが

肉が えぐられ 内臓が 飛び出て

いるのだ


「死んだ 後で その肉を 喰らった

のか それとも 殺したヤツと

喰ったヤツは 別なのか」


考えこむ グリエル

ロウソクに 蛾が ふれて 燃える

騎士団長を やっているだけに

亡くなった 兵士の 遺族からの

突き上げを 一身に 受けている のだ


「てきとうで イイんだ

とりあえず 素行が あやしそうな

ヤツを 2~3人 つかまえて

晒して あとは ギロチンに

かける

それで 遺族は 納得するんだ

首が 胴体と 別れるのを

見たがっている」


めちゃくちゃな 事を 口走る

グリエル

容疑さえ かけてしまえば

首に ロープを かけ

塔の 上から つき落とす事も ある


「野蛮な ヤツは みんな 殺す」


グリエルの 目は 血走って いる


「酒は どうした!!

全然 たりんぞ」


あたりちらす グリエル


「はい ただいま おもち

いたします」


給仕係が あわてて 持ってくる


「早く しろ

ギロチンに かけるぞ」


クチの 端を ゆがませ

にらみつける

グリエル


その頃


「この 猫 よく食べるわね」


ニパと ライナーが 作った料理を

一心不乱に 食べる モルグン


「ウワゥウワゥウワゥ」


最初 小さい皿に 盛っていたが


「ちょっと すぐ 食べ終わるから

大皿で ちょうだい」


と 言うモルグンに


「あんまり 食べすぎるなよ」


ライナーは ひそかに モルグンの

体重増加が 気に なっている


「だって あまりに おいしくて

量が あれじゃあ たりないわぁ」


と モルグンに 手放しで

ほめられて テレる ライナー


「もう 一生ついて いくから

覚悟して よね」


ニヤリと 笑う モルグン


「一生って 大げさな

肩に 乗るなら ダイエットだな」


腕組みして 言う ライナー


「だいえっと??」


ピンと きていない モルグン


「誰が 一生 いっしょに

いてくれ だって??

キミは モルグンの ところの

猫じゃないか

モルグンが 許可しても

わたしが しません!!」


ついに 猫に まで 嫉妬心を もやす

メイナ


「おい 相手は 猫だぞ

正気に なれよ」


制止する ライナー

酒を 呑みほすメイナ


「うるへー」


ちょっと ろれつの 回らなく なる

メイナ


「あーあ

呑みすぎ なんだよ

すっげー 絡んで くるじゃん」


なんか 嫌気が してくる

ライナー


「まだ 呑みたり ませーん」


連日 呑んでも 平気な メイナ


「ちょっと 酔っぱらってんじゃねえか」


少し 心配に なる ライナー


「じぇんじぇじぇ 酔ってまれん」


から元気の メイナ


「もう そのくらいに

しときなよー」


なにか どっと疲労が 出て くる

ライナー


「これが 呑まずに いりょりょる

かよ もっと 呑ましょろよ」


本音が 出る メイナ


「あーーっ

ダメだこりゃ」


お手上げな ライナーを 他所目に

酒を 取りに フラフラと 向こうへ

行く メイナ


「ハハハ 豪快に 呑んで おる

普段は めったに 呑まんのにな」


エルフの里の 住人が 話しかけて

くる


「そうなんですね」


情けない 顔になる ライナー


「時に ライナー殿に おりいって

相談が あるのじゃが」


急に かしこまって ライナーを

ビックリさせる 住人


「なんでしょう??」


なにか 特別な 話しでも する

雰囲気を 出して くる


「恥ずかしい話だが

この里の 若い 男は ほとんど

死んで しまった」


悲しそうに 語りだす 住人


「そうなんですね」


惨状を 思い出す ライナー


「そこでじゃ

ここで 落ち着いて みるのも

イイんじゃないかと

そういう話なのだが

どうだろう」


つめよって くる 住人


「うーん

ちょっと 考えさせて もらって

イイですか」


ちょっと 即答を 回避する

ライナー


「うむ かまわんよ

何年でも 待つからね」


エルフが 何年でもと言うと

とてつもない時間軸の 話しに

聞こえる


「そうですか」


ライナーは また 兵士が エルフの里に

手を 出して 来たら 殺すだろう

しかし 結局 それが この里や

メイナに とって プラスに なるのか

もっと 根本的に 大きな船という

問題点に とりくみ

大きな木を 必要としない

ように する方が 遠回りでも

解決に 近付く ような 気が する


「やっぱり 西の国に 行って

大きな木を 切らない方法を

エリザベトを 通じて 国王に

だしんする」


言うのは 簡単だが 一国の王に

意見できる 立場に ない事は

十分 しょうち しているし

エリザベトと デキてるなんて

知れたらと 思うと

ちゅうちょ して しまう


「でも なぁ

やおらそんな話を もちかけると

変に 疑いを かけられ ないか」


考え こむ ライナー


「どうしたんですかぁ??」


ニパが 心配そうに ライナーの

顔色を 見る


「ああ ちょっと いろんな事が

ありすぎて 頭が ふっとう

しそう なんだよ」


ライナーが そう言うと


「そーなんだ」


と言い ニパは 自身の 胸に

ライナーの 頭を うずめる


「あたいと 1つずつ 解決して

いこう」


「ん゛ん」


「よしよし」


ニパに 頭を なでられ リラックス

する ライナー


「ぷはぁ

ありがとう ニパ」


なぜか 気分が よく なる

ライナー


「えへへ

どういたしまして」


下唇を 人差し指で なぞりながら

ほほえむ ニパ

そして 立ち上がり 向こうに

行く


「うん」


「デレデレ しちゃって

なんか 腹たってきたな」


モルグンも 少なからず

嫉妬心が あるようで


「耳を かみ切って やろうか」


するどい 牙を 見せるように

笑う モルグン


「おい お前まで なに 言い出す

んだ 冗談は やめてくれよ」


おどけて みせる ライナー


「フフフ 冗談じゃあないわ

今夜 シて くれないと

本当に 耳が なくなるかもよ」


ライナーに せまる モルグン


「いや さすがに 猫と どう

やって」


鼻で 笑う ライナー


「みんなが 寝たら わたしは

元の 姿に 一旦 戻るから その時

に シましょ」


耳打ちする モルグン


「でも みんなに 気付かれると

マズいしなぁ」


少し しぶる ライナー


「それじゃあ みんなの いない

ところまで 行きましょ」


瞬間移動の 魔法のことを

あんに しさ する

モルグン


「う・・・うん」


完全に 丸め こまれる ライナー


「決まりね」



ーー37ーーーーーーーーーーーーーーーー


宮殿の 周辺は 昼間の けんそうが

ウソの ように 静まりかえり

どこからか フクロウの 鳴く声が

ひびいて いる

しかし その宮殿の中の 一角では

昼間の ような 明るさの 部屋が あり

どごうが とんでいる


「やい 仕立て屋!!

全然 注文したのと 違うじゃ

ないの」


怒り まくって いるのは

エリザベトだ

パーティーで 着る 衣装の事で

もめている


「もうしわけ ございません

どのように いたせば よろしい

ので??」


困り 声を 出す 仕立て屋の男

何日も 押し問答が くりかえされて

いる

今日も 深夜まで 要求を 出しつづけて

いる エリザベトに つき合わされて

いるのだ


「羽根よ!!」


エリザベトは 頭に かぶっている

真っ赤な 帽子のサイドを 指さす


「全然 たりないの!!」


両手を 上下に ふり うったえる


「あの この前は お帽子の

羽根が おおすぎて 前が 見えないと

おっしゃって いらしたので

減らしま・・・」


「やかましいわ

あたしが 増やせって 言ってん

だから 増やせば イイの

増やせ 増やせ 増やせ」


仕立て屋が 話し終わる前に かぶせる

ように まくしたてる

エリザベト


「さようで ございますか」


またか という 顔の

仕立て屋

日々 要求が エスカレートする


「どの 羽根を どのくらい

増やしましょうか??」


あくまでも ていちょうに たずねる

仕立て屋


「まず クジャクね

持って 来てるわよね??」


クジャクの 羽根は 高級品で

あまり 数が そろえられない


「はい ございます」


そこまでは 想定内と 言わんばかりに

落ち着きを よそおう 仕立て屋


「今 1本しか ついてないけど 10本に

して」


サラッと 無茶苦茶な事を 言う

エリザベト


「すいません 今日 お持ち

いたしましたのは 5本と なって

おりまして すぐ 手配いたします」


内心 ドキドキと 心臓が 飛び出し

そうなのを おさえる 仕立て屋


「きさま パーティは 明後日なのよ

絞首台に のぼりたいの??」


とんでもない事を 口走る

エリザベト だが それが

実行できる 地位な だけに

ただの じょうだんでは ない

と いうのは みんな 承知している


「ひぇぇ ごかんべんを

すぐ 取りに 行かせてますので

おい!!」


仕立て屋が 雑用係の女を

呼ぶ


「はい 今 持って来ます」


雑用係は ゆっくり 部屋を 出る


「急ぎなさい 羽根を 全部ね」


目を つりあげ 指示する

仕立て屋


「はい」


雑用係は 毎度の事だし

疲労も たまっているので

のんびり 歩いて いく


「どうも 失礼 いたしまして」


ドッと 変な 汗が 出る 仕立て屋


「あと ダチョウの 羽根も」


さらなる要求を する

エリザベト


「ダチョウの 羽根は 今は 2本ですが

いかがいたしましょう」


笑顔が ひきつる 仕立て屋


「これも 10本に して」


またしても 無茶苦茶を 言う

エリザベト


「すいません

ただ今 在庫を あわせても6本ほど

なので 8本で いかがでしょう」


手揉みし 説得を こころみる

仕立て屋


「いーや

10本って 言ったら 10本なの

まげられないわ」


かたくなに 我を通す

エリザベト

ライナーには ベストな 状態で

逢いたいと いう けなげさが

そうさせる

イイように 解釈すれば ではあるが


「そこを なんとか」


さらに 変な 汗を かく

仕立て屋


「絞首台」


冷たく ひびきわたる声


「わかりました

街じゅうを はってでも 探して

持って 来ます!」


語尾は もう ヤケクソに なって

しまった 仕立て屋


「うむ

あと 極楽鳥の 羽根も 追加で」


ここに きわまる 要求

エリザベトは したり顔だが


「ヒイエエエエエエエ」


仕立て屋の ようすが おかしい

白目を むいて そっとう

したのだ


「おい どうした」


少し 心配を する

エリザベト


「ふァーァ」


その 一部始終を 見ていた

使用人の女が 連日の こうけいに

あくびをする


「きさま

今 あくびを したな」


エリザベトの げきりんに

ふれる 使用人


「いいえ めっそうもない」


いつもの事と サラッと 流す

使用人


「次 やったら わかっているわよね」


するどく にらみつける

エリザベト


「・・・はい」


仕方なしに カラ返事する

使用人


「ちょっと いつまで 寝てるのよ」


床に 倒れている 仕立て屋の

わき腹を 思い切り ける

エリザベト


「ぐふっ・・・ はっ

ここは」


強制的に 現実に もどされる

仕立て屋


「あなた イイどきょう

してるじゃない

それなりの かくごが あるのかしら??」


仕立て屋の 胸ぐらを つかみ

すごむ エリザベト


「ヒイイ」


宮殿に 仕立て屋の 悲鳴が

ひびく


その頃


みんなが 寝静まった夜

窓から 外を 見て いると

一匹の 猫が いる


「ちょっと ライナー

早くステッキ 持って来て」


激しく 腰を ふる モルグン


「ああ やっぱり 元の姿に

戻るには 必要だよね」


右手で 器用に ステッキを

回す ライナー


「ちょっと イジワルしないでよ

早く シたいんだから」


シッポを 激しく 回す モルグン


「フフン」


ライナーは 体の あちらこちらで

ステッキを 回す


「もう ジラさないで」


じだんだを 踏む モルグン


「この前は 好きに

やってくれたね」


洞窟内で シた時を 思い出す

ライナー


「今日は あなたの 好きに

してイイからぁ」


半ベソ状態の モルグン


「本当にー??」


ニャッと 笑う ライナー


「本当よ だから」


ほほえむ モルグン


「うーん わかった

それじゃあ」


ライナーも 外に出て

地面に ステッキを 置くと

前足で つかむ 猫

みるみるうちに モルグン

本来の セクシーな 体に もどる


「よくも イジメて くれたわね

仕返し してやるんだから

覚悟しなさい」


笑い ながら そう言うと

ステッキを 向ける

モルグン

ライナーは おびえた風の ポーズを

とり おどける


「ひええ やっぱり

そうなるんだ~」


瞬間移動する モルグンと

ライナー


小一時間


「ハァハァハァ

やっぱり わたしが・・・ぅん

見込んだ だけある 男だわ」


息も たえだえな モルグン


「それは どうも」

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