第12話 悪食

ーー32ーーーーーーーーーーーーーーーー


ライナーが 帰りしな トルーヴィルの

家の 上空を 飛んで いると

手紙を 持って 来たで あろう 兵士が

いる ので 近くの 茂みに 着地し


「ああ また 来てくれたんだね」


と 声を かけると


「ライナー様 探しましたよ

今は どこに 住んで おられるの

ですか??」


と 聞いて 来る ので


「それは ちょっと 言えない

ここまで 取りに 来るから

もう 探さないでイイよ」


そう 兵士に 伝えると


「わかりました

ここで 何日でも 待ちます

必ず 取りに 来て 下さいね」


汗だくに なり ながら 笑顔で

答える 兵士


「うん そうするよ

ご苦労で あった!」


「はッ!」


ねぎらいの 言葉を 言うと

さっそうと 馬に 乗る 兵士


「おい 手紙は??」


ライナーは 肝心の 手紙を

受け取って ない事に 気付いて 言う


「そうでした

失礼いたします」


馬から 飛び降り 手紙を ライナーに 手渡し

また 馬に乗り さって ゆく


「あれも 大変そうだな」


よくよく 考えて みれは さきほど

10数人の 兵士を 溺死させたが

この手紙を 持って 来る 兵士も

立ち位置で そう なって いる

可能性も ある


「恐ろしいな」


怒りに まかせて 虫けらの

ように あやめて しまう


「もう 考えるのは よそう」


ライナーは なぜか 後味の 悪さを

感じ つつ 帰路に つく


「あっ ライナー!」


フラフラ歩く ライナーを メイナが

見つけて かけよって来る

そして きつく 抱きしめる


「よかった 無事で」


メイナの 目に 光る ものが ある


「ああ なんとか やっつけたよ」


ニヤッと 笑って みせる ライナー


「やっつけたって もしかして」


不安そうな 顔に なる メイナ


「ああ やった」


少し 小声に なる ライナー


「大丈夫かな

もっと ひどい事に ならないと

イイんだけど」


思わず 眉間に シワが よる メイナ


「うん そう思って 1人 のこらず

やったから」


あくまで 冷静に 言う ライナー


「そう・・・なんだ」


目を 丸く する メイナ


「ちょっと つかれたな

横に ならせてくれ」


メイナの 反応を 見て いたたまれなく

なり 家に 入ろうと すると


「ありがとう

妻も よろこんで いると 思うよ」


メイナの父と 握手する


「うん よろこんで くれて いたら

イイんだけど」


なにか 自信が なくなり

弱気に なる ライナー


「絶対に よろこんでいるさ」


メイナの父に 励まされ

気を とり もどす ライナー


「さ さ 中へ 入って」


「・・・はい」


藁のラグに 寝ころがると

ニパも 横に なる


「ニパ あと お願いね」


メイナが ニパに ライナーの

様子を 見るように たのむ


「うん まかせといて!」


ニパは 手を ふると ライナーに 抱きつき


「もう むちゃ しないでね」


と 上目づかいで 言うと


「ああ もう やらない」


少し やすらぎを 感じる ライナー

だんだん 意識が 遠のいて いく


「手紙を 持って来てくれる

兵士だ」


しかし その兵士が 剣を ぬく


「やめろ もう あやめたくない」


しかし ライナーが はなつ

ファイアボールが 兵士に 直撃し

胴体と 頭が はなれてゆく


「あーッ」


ライナーは 藁のラグの上で

大汗を かき めざめる


「ハァハァ

夢か・・・」


あたりは 真っ暗で 隣には ニパが

寝息を たてて いる


「・・・」


夜風を あびたく なった ライナーは

こっそりと 外に 出る


「・・・月が あかるいな」


森を かけぬける 風が ここちよい

ぼんやりと 遠くを 見て いると


「見たぞ お前の 活躍」


と 背後から 声が する


「誰だッ」


ビクッと なりながら 後ろを ふりかえると

顔を 隠して いる 人がいる

そいつが その 布を 脱ぐと 鬼だ

鬼が 立って いる


「わらわの名は シャーロン

きさま 魔王の体を 好き 勝手に

使って おるの」


腕組みをし のけぞりながら

名乗る シャーロン


「なんだ お前 よく見たら

茂みで 俺の手を ペロペロ なめたヤツだな」


逃がそうと したが 手を つかみ 舐め

まわした 変な ヤツだ


「あッ あれはァ

条件反射と いうもので つい」


顔が 赤くなる シャーロン


「条件反射だと??

お前は 魔王の なんなんだ??」


あやしいヤツの 正体が 知りたい

ライナー


「・・ト」


「なんだ 聞こえない」


「・ット」


「いや 全然 聞こえないって」


「わらわは 魔王様の ペット

なのぉーーー」


火が 出そうな ほど 顔を 真っ赤に

する シャーロン


「ペットって その ペットだよな」


キョトンと する ライナー


「なんども 聞くでないわ」


眉毛を ピクピク させて いるが

顔は 赤い ままだ


「そりゃあ キミみたいに かわいくて

スタイル 抜群なら そばに おきたい

気持ちも わかるけど」


ため息を 吐き出すように 言う

ライナー


「わっ なっ そんなウソ

見抜けぬ とでも 思ったか」


あたふたする シャーロン


「ウソじゃない 本当だ」


真顔で まっすぐ シャーロンを

見つめる ライナー


「わー 見るな」


シャーロンは 曲がった ツノを

両手で 隠す


「その ツノも チャーミングだよ

よく 見せて」


「・・・ん」


シャーロンは 素直に ツノから 手を

はなし だらりと 下げる


「ほら なんか キラキラしてる」


月明かりに 照らされ 結晶が 輝いて

いる

ライナーが シャーロンの ツノを

なでると


「ひゃあああ」


と 変な 声を 出す シャーロン


「イヤだったかな??」


異常な 反応に おどろく ライナー


「イヤじゃない」


「どうしたの」


「だって 誰にも さわられた事

なかったから」


「どうだった??」


「きもち・・・よかった」


「そう・・・なんだ」


なにか ヤバそう なので

手を ひっこめようと すると

ライナーの手を ガッと つかむ

シャーロン


「もっと なでて」


「そう なっちゃうよね~」


なでていると 息づかいが あらく

なっていく シャーロン


「ああ やっぱりかぁ」


ライナーは ツノを なでて いる

だけである

シャーロンは それで 気持ち

よく なり 自分の 胸や 股を

もみだした


「そう なっちゃう気は してた」


小一時間


「また もう1人 ふえたな・・・」


ライナーに 10本のツメが ささる

ほど キツく 抱きしめる シャーロン


「あのね

魔王に 体を 取り戻すように

言われて いるの」


ふるえる声で ささやく シャーロン


「まぁ そんな事だろうとは

思ったよ」


半笑いで 言う ライナー


「でも 魔王より あなたの

方がイイわ」


そう言うと 頬を ライナーの 頬に

スリスリする シャーロン


「そりゃあ どうも」



ーー33ーーーーーーーーーーーーーーーー


「よし 誰も 来てないな」


次の日 ライナーは 水源地に 1人で

行き 兵士が 来て いない 事を 確認すると


「とりま 毎日 確認して おけば

大丈夫だろ」


と 言い 水源地を あとに する


「しかし 回復魔法を 使って いた所を

たくさんの 人に 見られたのは

マズかったのでは・・・」


川が 流れている のを すわって

ながめながら 今後 また 兵士たちが

来た時に どう対策を しようか 悩む

ライナー


「まぁ 今 考えた とこで

答えは出ない よな」


頭を 掻きながら 立ち上がると

瞬間移動で トルーヴィルの

家まで 行く ことにする


「そろそろ 手紙が 来る頃だ」


ライナーは まわりを 確認し

素早く 手を 動かす

そして 光に つつまれ 消える

トルーヴィルの 家の 上空に

ライナーは 転送され

眼下には 小さく なった

石造りの 家が 見える

だが 雰囲気が おかしい

家の 周りを 10人ほどの

騎兵隊が とり囲んで いるのだ


「なんだ あいつら

なに やってやがる」


動き から どうやら 出入口を

探して いる ようだが


「入れっこねえよ

トルーヴィルと 同等以上の 魔法使い じゃ

ないと 穴を 開けるのも 無理だよ」


しかし 上空に いたら 会話が

聞こえない


「しかたないな

退散するまで 茂み に隠れるか」


そう言い 茂みに 着地する

ライナー だが


「ちょっと 見えないよ」


茂みの 奥から 小声が する


「うぐッ」


思わず 大声が 出そうに なり ながら

すんでの ところで たえる

ライナー

ふり返ると シャーロンも 隠れて

いて はちあわせに なる


「ここで なに してる??」


ビックリ して ドギマギする

ライナー


「だって トルーヴィルの 監視を

するように 言われて いるの」


ほっぺたを ふくらまし

すねるように 言う

シャーロン


「魔導師トルーヴィルを

倒すためにか」


少し あせる ライナー


「うん 最初は 魔王様に

その 計画を 聞かされて・・・

でも 今は 違うの」


両手に 拳を にぎり 必死に うったえる

シャーロン


「なにが どう違うんだ」


あぐらをかき 腕組みする ライナー


「だって どの道 トルーヴィルが

死んで しまうと あなたも 死んで

しまうでしょ」


両手の 人差し指を 合わせ イジイジ

する シャーロン


「えっ そんな話は 聞いて ないぞ

本当なのか」


ショックを 受ける ライナー


「だって トルーヴィルの 魔力で

その首が つながって いるって

ことは そうじゃなくて??」


あらためて 考えると そうかも

知れない


「それなら あいつら

蹴散らす しか ないよね

昨日 み・た・い・に・」


ライナーは シャーロンに 思い切り

背中を 押され 茂みから 出て しまった


「バカバカ・・・

ハハハ」


「おお

手紙を 持って 来たのですが

たくさん 兵士が いまして」


手前に いつも 手紙を 持って来て

くれる 兵士

向こうに 屈強な 騎兵隊

が トルーヴィルの 出て 来るのを

待ち構えて いる


「そっ

そうみたい だねぇ」


今 見たぞ 感の ライナー


「聞けば トルーヴィルに 昨日の

事を 聞きたい らしいのですが

特別軍事作戦らしく 詳細は

わからないのです」


残念そうな 兵士


「あーそう

トルーヴィルは 誰にも 会いたがらない

から 無駄だと 言っといて

それじゃあ 俺は ここで」


早く 話を きりあげる ライナー


「あっ あいつ

昨日 水源地で 見たぞ!!」


騎兵隊の 向こうに 一般兵が いて

そいつが ライナーを 指さして 言う


「えっ 人ちがいでしょう」


騎兵隊の 1人が 言う


「いや 見た!」


兵士は かなり自信 ありげだ


「こら この方は ライナー様だ

失礼な 事を 言うでないわァ」


騎兵隊で ひときわ 豪華な 人物が 言う


「どうも 部下が 無礼な ふるまいを

申し訳ございません」


豪華な 人物が 馬から 降り

丁重に 謝罪する


「あっ まぁ 勘違い する事も

あるよね」


心が 広い ライナー


「トルーヴィル様は 誰にも

会いたく ない みたい だから

出直した方が 良いぞ」


手紙を 持って 来て くれる 兵士が

助け舟を 出して くれる


「うむ そのようですな

ものども 引きあげだ!」


豪華な 人が みんなに 命令を

出す


「はッ」


ドドド


騎兵隊が さってゆく

この 手紙を 持って 来て くれる

兵士に 感謝しないとと 思う ライナー


「いつも ご苦労」


「いえいえ また明日 来ます」


笑い ながら 答える 兵士


「それは エリザベトが 手紙を

書いたら って 事だよな」


ニヤリと 笑う ライナー


「必ず 書きますよ あの方なら」


「だな」


笑い合う 二人


「ではッ

これにて」


「うむ」


なんとか 丸く おさまった

ような

でも 目撃者は 確実に いたワケだし

複雑な 気分な ライナー


「どうした ものか・・・」


ライナーが 立ちつくして いると

後ろ から ハグ される


「ねーえー

あいつら 殺さないんだー

なんなら わらわが 殺しても

イイんだけどな~」


ふおんな事を 口走る シャーロン


「いや ちょっと 泳がせて

みたい」


適当に 言って 茶を にごす ライナー


「なるほどー

雑魚は まとめた方が おいしい

もんね」


ジュルッと クチの まわりを なめる

シャーロン


「いや 喰わねえよ」


真顔で つっこむ ライナー


「えーっ

食べないのー

もったいないなぁ」


すごく 残念そうな シャーロン


「まさか だけど

昨日 池で 溺死させた ヤツら」


一瞬 イヤな 予感が する ライナー


「うん 食べた」


「ん・・・へ」


「だって もったいないじゃん

無益な 殺生は」


頬を 赤く して 手を ワナワナ

さす シャーロン


「あっ それで 食べて くれた んだ

ありがと・・・って

なるか!

毒は 大丈夫なのか??」


一応 心配してみる ライナー


「うん スパイス程度だったよ

でも エルフには 効果あって

残念だったね」


とぼけた顔を する シャーロン


「スパイス程度・・・か

くやしいな」


ライナーは 自分の手を じっと 見る

そこから こぼれゆく 命


「みんな 助ける」


小声で つぶやく ライナー


「えっ なんて 言ったの??」


シャーロンは 聞きもらす


「シャーロンの お腹

丈夫で よかったなって

言ったんだよ」


また ごまかす ライナー


「あはは

また ほめられたのだー」


のー天気な シャーロン


「いや もう なるべくなら

人間を 喰わないで くれ

たのむ」


懇願する ライナー


「それは ライナーの たのみと

あっても 聞く わけには いかない」


肩を すくめ 首を ふる シャーロン


「なんでだ??」


「どうしても」


特別な 理由でも あるのか

一歩も 引かない


「うーん そうか

でも 理由なく やって食べるのは ダメ

だぞ」


さとすように 言う ライナー


「うーん そうする」



ーー34ーーーーーーーーーーーーーーーー


ライナーは 深く なやむ

今朝 トルーヴィルの家の前で

騎兵隊を 見るまでは 100パーセント

パーティーを すっぽかす つもり

だった

しかし 状況が ガラッと 変わって

しまい 下手を すると

討伐命令でも 出される 可能性が

ある


「なんとか ならないかな」


パーティーには 行きたく ない

しかし もはや 行かざるを えない


「誰かに 相談したい」


そこで はたと 考える

某国の 若き王妃と 恋仲で

その女との あいだに 赤ちゃんまで

できるかも しれないが

招待された パーティーに

行きたくは ない けど行かなければ

ならない


「メイナに 相談・・・

いやいや 絶対に 行くなと 言う

のが オチだよな」


メイナが 怒り くるう さまが

まぶたに 浮かぶ


「それなら ニパなら どうか??

うーん 行くなとは 言わないが

一緒に ついて 行くと 言う だろうな」


ニパが 腕に しがみつくのが

想像できる


「ヴィタネは クチが 軽いし

アズルは ウワサや ゴシップ 大好物

って 雰囲気だし」


彼女たちに うっかり 話すと

大変 マズい事に なるのは

容易に 想像できる


「シャーロンも 下手に

相談すれば」


「なんなら ひとおもいに

喰って やろうか??」


なんて 事に なって ムシャムシャ

食べられた日には とり返しが つかない


「イヤ まずいって」


頭を 横にふる ライナー


「マヌエスかぁ

でも マヌエスに やんわりと

断って もらうとして

二人で ひっそり 会って いたなんて

そっちの方が 問題として デカいか」


エリザベトが 不信感から ヤバい事を

やりかねない


「あとは モルグン

彼女なら 相談しても・・・」


そう思い モルグンの 家まで

瞬間移動 すると

モルグンの 家の 様子も

おかしい

こっちにも 騎兵隊が やって

来て いるのだ


「チッ」


あせりを 感じる ライナー

家の 裏手に まわって 茂みに

隠れる


「おい 居たか??」


「いや こっちには いない」


どうやら 危険を 察知して

逃れた らしい

とりあえず ホッと する ライナー


「でも もう 会えないのかな」


ドドド


走り 去ってゆく 騎兵隊を 見ながら

ボンヤリと して いると

一匹の黒猫が 姿を あらわす


「ナーガ

お前 無事だったんだな」


モルグンの 飼って いる 相棒が

あらわれたと 思って いると


「フフフ

勇者様 わたしよ わ・た・し」


雰囲気が ナーガ の それと 違う


「えっ モルグンか??」


ビックリして すわったまま のけぞる

ライナー


「そうよ

あなたに バレないなら

わたしも たいした ものね」


目を 細めて 言う モルグン


「そうかぁ よかった

心配したよ」


ホッと 胸を なで おろす ライナー


「ほんとにー

まぁ お世辞でも うれしいわ」


シッポを グネグネ する モルグン


「お世辞じゃあ ないよ」


真剣な顔を する ライナー


「フフ ありがと」


猫なのに めちゃくちゃ 笑顔な

モルグンは ライナーの 頬に

キスする


「なんか くすぐったいな」


猫の毛が ゾワゾワ あたる


「うん 今 猫に なってるから

でも ベロは ザラザラよ

ためして みる??」


ペロッと 舌を 出す モルグン


「バター犬じゃあ あるまいし

しないよ そんな」


顔色が 赤くなる ライナー


「あー 女だった時は やってた

んだね~」


ルンルンと 頭を 動かす モルグン


「だから してないってば」


プンスカ 怒る ライナー


「あはっ 冗談よ

勇者様 おもしろい子ねぇ」


ライナーを いじって 楽しんで いる

モルグン


「笑い事じゃあ ないわ

今は 男と して 生きているん

だから」


腕組みをし モルグンに つめ寄る


「はいはい」


全然 意に かいさない モルグン


「もーッ」


モルグンの 頭を 両手で つかみ

グニグニする ライナー


「ところで わたしに 逢いに

来てくれたの??」


モルグンの 言葉に グニグニする

手を 止める ライナー


「あっ うん

えーっと こんな時に アレだけど

・・・」


簡潔に しかし 魔法の事は

ふせて 説明する


「・・・なるほど

まぁ わたしなら 無害だから

相談しやすいわね」


ちょっと 自虐的に 言う モルグン


「いや そんな意味合いは

なくてね」


なにやら 順位的な 話に なりそう

だから 軌道修正する ライナー


「いや 全然イイのよ

たよって くれるのは

単純に うれしいし

困り事を 解決する のも

魔女の仕事だからね」


達観した 風の もの言いをする

モルグン


「パーティーには 行くのが

無難よね

とりあえず それで

しばらくは 安定しそう」


そう アドバイスして くれる

モルグン


「しばらく・・・」


なにか ひっかかりを 感じる

ライナー


「そう

あなた もしかして 魔法が

使えたり するの??」


核心を つく質問に ギクッとなる

ライナー


「・・・ちょっとだけ」


とっさに お茶を にごす


「そう・・・

まぁ 誰にも 言わないから

安心して」


なにかを さっした モルグン


「うん・・・

それで」


ライナーは 聞きたいような

聞きたくないような

複雑な 気分に なる


「・・・今は 言えないけど

もっと たくさん 死ぬかも」


モルグンは 慎重に 言葉を 選んで

つたえる


「・・・なんとか

ならないか」


うたがう事なく 解決策を 問う

ライナー


「うーん エリザベトとの

仲が 悪く ならないように」


無難な 回答に とどめる

モルグン


「そう だよね・・・」


覚悟を 決める ライナー


「大丈夫 これから わたしが

勇者様と ずっと 一緒に

いるから」


ニヤニヤする モルグン


「えっ えー

そうなの??」


おどろきを 隠せない ライナー


「うん

イヤかな??」


ちょっと 反応に ネガティブな

部分を 感じる モルグン


「いや

全然 問題ない けど」


冷静に なって 考えてみれば

いろいろ 都合が イイかもと

感じる ライナー


「だって あなたのせいで

こっちは おたずね者よ

責任とりなさい!」


ワザと 怒って みせる モルグン


「なんてね」


ペロッと 舌を 出す モルグン


「うん ホント ごめんね」


手を 合わせ あやまる ライナー


「ヤダ イイのよ

それより メイナと ニパは

仲良く してるかな??」


急に 真顔に なる モルグン


「あの二人なら 激しい バトル

して トルーヴィルの 家を

ぶっ壊して ヤツが 自分だけの

家を 作り なおして 俺たち

今は エルフの里に 居候してるよ」


簡単な 説明を する


「あちゃー

やっちゃったんだ

二人とも ケガ なかったのかな??」


苦虫を かみ潰した ような 顔に なる

モルグン


「うん 二人とも すごい回復力だよ」


おどろきの 表情を 見せる

ライナー


「うん エルフと 沼地の・・・

まぁ 回復は 早いよね」


言い よどむ モルグン


「えっ なんか今 言いかけ

なかった??」


言葉が ひっかかる ライナー


「いーや 言って ないよ」


モルグンは 少し あせる


「ホントかよ」


モルグンの 目を 見つめる

ライナー


「本人が 言って ないのに

わたしから 言う事じゃないわ」

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