*登場人物一覧【夏季】*



*夏(なつ)愛称なし

 夏の宮の主。男性体。虹色の髪によさこいの衣装のような袖なし長はっぴがとにかく目立つ。楽しいことが大好きで、労働は遊びの一環だと主張する。夏の宮の面々には体を鍛えることを推奨し、他宮も巻き込んで運動会や球技大会を催したりする。多少強引だが、非常に部下想いである。つばきの天敵。移動手段は光。一人称は「わたし」



*立夏(りっか)愛称なし

 七番目の二十四節気。女性体。二十歳を越えたばかりに見える。みずみずしい肌に白いレースのワンピースが似合う。髪は肩より下くらいの長さで、とろりと甘そうなチョコレート色のストレート。誰に対しても言葉遣いが丁寧で、五月の風のように爽やかな娘。趣味はバレエやミュージカル観賞。移動手段は光。一人称は「私」


*蛙始鳴(かわずはじめてなく)愛称・蛙(かわず)

 立夏の初候。女性体。年は三十前後。髪は緑色の外はねボブで、平凡な顔立ちだが愛嬌は抜群。間延び口調。面倒見が良いがおせっかい焼きとも言う。いつもにこにこしていて、一人でいる者を見つけるとつい放っておけなくて声をかけてしまうが、それが失敗だった場合ひどく落ち込む。本来なら夜の方が得意だが、その時々に合わせて活動時間を変えている。一人称は「わたし」


*蚯蚓出(みみずいずる)愛称・ミズル

 立夏の次候。男性体。センター分けの前髪の長さが顎まである。二十代後半。飲み会とかは基本嫌い。鳥全般も大嫌い。つばきは天敵。警戒心が強いが仲良くなればかなり親切。外食は誰と行ってもおひとりさま飯。雨水と穀雨を尊敬している。一人称は「ボク」


*竹笋生(たけのこしょうず)愛称・タケ

 立夏の末候。男性体。十歳くらい。見た目は子ども、頭脳も子ども。楽しいと思うとすぐに飛びつく瞬発力は暦随一。長距離走は苦手。集中力も皆無だが楽しければ持続する。一人称は「おいら」



*小満(しょうまん)愛称なし

 八番目の二十四節気。女性体。小柄で寸胴体型の三十路くらい。茶髪ボブ。たすき掛けした着物の上にサロペットを穿いている。色気なし、機能性重視。なかなか言うことを聞かない部下二名に手を焼きつつも、うまいことあしらう。一人称は「あたし」


*蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)愛称・蚕(かいこ)

 小満の初候。女性体。二十歳くらい。髪は生糸を束にしたようなストレート。花魁のように堂々と着物の肩口を広げ、前で結んだ帯の片方を長く垂らす。陽に弱いので外に出たくない。物静かで頑固。カイコガの特徴として飲食はしなくても問題ないが、紅につられて口にしたりする。一人称は「あたくし」


*紅花栄(べにばなさかう)愛称・紅(べに)

 小満の次候。女性体。妖麗な美女。イメージカラーは紅色。胸もとを大きく広げた袖なしの着物に、髪は紅色のベリーショート。化粧は濃いめ。なぜかいつも気怠そう。同僚の蚕起食桑かいこおきてくわをはむと常に行動を共にする。一人称は「私」


*麦秋至(むぎのときいたる)愛称・麦(むぎ)

 小満の末候。女性体。健全で血色がよく、顔にはそばかすが散っている。麦わら帽子を被り、小麦色のふわふわした長髪をふたつ結びの三つ編みにしている。絣の着物にモンペと肌の露出がほとんどないが、乳が大きいことはよくわかる。穏やかでやさしい性格。あまり動かない同僚二人の代わりによく働く。小麦はもちろん好きだが、お米も大好き。小満といつも一緒にいる。一人称は「わたし」



*芒種(ぼうしゅ)愛称なし

 九番目の二十四節気。女性体。五十代。着物を十八世紀のヨーロッパドレス風にして着こなす貴婦人。紅茶が大好きで、毎日部下たちとアフタヌーンティーを楽しむ。梅子には悩まされているが、娘のように愛おしい。立春と仲が良く、月に一度二人でお互いの手料理を振る舞う会を開いて、そこに暦たちを招いている。趣味は絵画鑑賞。一人称は「アタシ」


*蟷螂生(かまきりしょうず)愛称・キリショウ

 芒種の初候。男性体。茶髪に鮮やかな黄緑のメッシュ、前開きのグレーのベストの下は裸。そこに黄色のネクタイを絞めている。七分丈の細身のパンツはピンクで奇抜オブ奇抜。同僚女子二人のパシリ。語尾の「ッス」が口癖。「女の子をもてはやすのが自分の生き甲斐ッス。都合が良かろうが、頼られて嫌な気はしない!」。一人称は「自分」


*腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)愛称・ほたる

 芒種の次候。女性体。蛍色の目をした美少女。夜の色をした髪は肩で長さをそろえている。藍色の浴衣。つばきに夢中。でもうまく話しかけられなくていつもストーカーのようになる。一人称は「わたし」


*梅子黄(うめのみきばむ)愛称・梅子(うめこ)

 芒種の末候。女性体。浅緑に毛先だけ梔子色くちなしいろの髪をツインテールにし、くるくる巻いている。前髪には梅の花のピン。春季の鴻雁北こうがんかえるに憧れを抱く。ほたると二人で恋にきゃあきゃあ言うのが楽しい。亥神にはねられてから大事な筆を落とすようになり、前より神経質になった。一人称は「あたし」



*夏至(げし)愛称・夏至ちゃん(夏のみ使用)

 十番目の二十四節気。夏季唯一の両性体。紛うことなき両性具有。夕立を束にしたような長髪に白の着流し、中世的な相貌。幽霊のようだが、話せば夏至らしくあたたかな暦。話し出すとマシンガントークになりがち。一人称は「わたし」


*乃東枯(なつかれくさかるる)愛称・かるる

 夏至の初候。女性体。乃東生なつかれくさしょうずの姉。フリルで縁取られた着物を好む四十半ばの女性。任期中に夏至の日があるからかウキウキと楽しげな暦。誰かを彩りたくなるのは習性のようなもの。雀を気に入っているが、雀からは密かに避けられている。一人称は「あたし」。


*菖蒲華(あやめはなさく)愛称・あやめ、あやめ姐さん

 夏至の次候。女性体。暦三大姐さんの一人。薄紫の短髪に黄色い瞳、白い唇。無口でほとんど口を開かないが、頼られると黙って良くしてくれる。一人静かに雨を愛でるのが好き。一人称は「わたし」


*半夏生(はんげしょうず)愛称・半夏(はんげ)

 夏至の末候であり雑節も兼任する唯一の暦。男性体。牛若丸のような着物に被衣かずきを被る十四くらいの美少年。化粧を施し、濃紫の髪を高い位置でポニーテールにしている。横笛、三味線、笙、鼓など和楽器なら何でもござれ。一人称は「私」



*小暑(しょうしょ)愛称なし

 十一番目の二十四節気。男性体。七十代くらいの好々爺。色黒、細身で筋肉質。短く刈られた白髪頭、綺麗な富士額。身動きのとりやすい鯉口シャツに股引の江戸前スタイル。手先が器用。思慮深く、夏の相談相手になったりもする。つばきが慕う珍しい人物。一人称は「アタシ」


*温風至(あつかぜいたる)愛称・温風(あつかぜ)

 小暑の初候。男性体。秋季の涼風至すずかぜいたるの兄。同僚の蓮始開はすはじめてひらくと付き合っている。燃えるような赤毛の短髪。明るくおおざっぱで妹思い。本来はしっかりもので頼りになる男だが、亥神にはねられてからは毎年夏に高熱を出すようになった。一人称は「オレ」


*蓮始開(はすはじめてひらく)愛称・蓮(れん)

 小暑の次候。女性体。同僚の温風至あつかぜいたると付き合っている。華奢でうなじの綺麗な美人。白地に紫の蓮の花の浴衣。先に行くほど濃くなる桃色の髪を温風からもらった玉簪でまとめている。真面目で頑張り過ぎる時があり、これまではそれを温風がうまいことセーブしてあげていたが……。一人称は「わたし」


*鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)愛称・鷹乃(たかの)

 小暑の末候。女性体。赤い眼鏡のつり目女子。実は睫毛バチバチ。鳶色とびいろの髪をバレッタでとめている。服装は黒いパンツスーツ。無駄を嫌う合理主義者。口調は丁寧だが少々手厳しい。上司である小暑を敬愛している。一人称は「私」



*大暑(たいしょ)愛称なし

 十二番目の二十四節気。男性体。五十代なかばの夏季大好きおじさん。身長は百七十センチくらい。つやつや光る坊主頭にビール腹。基本は白いタンクトップに短パンという、田舎のおじさんによくいるタイプ。土潤溽暑とは夫婦関係。ビール大好き! 冬季の乃東生なつかれくさしょうずとは飲み仲間。上司の夏とはわりと気が合う。一人称は「おれ」


*桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)愛称・桐花(きりか)

 大暑の初候。女性体。藍染の雪花絞りの浴衣に日本髪。結婚に憧れを持ち、同僚の土潤溽暑つちうるおうてむしあつしを師事し花嫁修業に精を出す。玄鳥至のことを候補の一人としてロックオンしている。一人称は「わたくし」


*土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)愛称・暑子(あつこ)

 大暑の次候。女性体。五十代。小太りのおばさま。白地に朝顔柄の浴衣がよく似合う。同僚・桐始結花きりはじめてはなをむすぶの花嫁修業の師匠。上司の大暑とは夫婦関係。ガーデニングが好き。よくかるると芒種とお茶をしている。女たる者、強く美しくあれ。一人称は「あたくし」


*大雨時行(たいうときどきふる)愛称・大雨(たいう)

 大暑の末候。女性体。身長百四十五センチと小柄な女性。秋季の霎時施こさめときどきふるの姉。二十歳。上向きの鼻がチャームポイント。紺色のひまわり柄の浴衣を着ている。一度泣けば声をあげて大泣きし、なかなか泣き止まない。もともと感受性が鋭く傷つきやすいところに亥神にはねられたので悪化した。一人称は「あたし」


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