第1.5話 僕の学校[後編]

昼休み、僕は、スパークルさんと一緒に学校をブラブラと回った。噂通り、ものすごく広かった。校舎はとても新しく綺麗で、食堂のご飯も美味しそうだった。それに、プライベートビーチまである。僕は、改めてここは夢ではないかと思った。ほっぺを思いっきり引っ張り夢かどうかを確認する。やっぱり夢じゃなかった。めちゃくちゃ痛い。


僕の行動を見ていたスパークルさんは、「面白いやつだな!」と言い笑っていた。


ちょっと自分でも恥ずかしかった。



 その後、食堂へ行き、スパークルさんが、おすすめだと教えてくれたトリマヨ丼を食べた。スパークルさんも同じのを食べていた。


食べ終わった後、スパークルさんから質問された。

「ジュントム。なんで俺にまで敬語で話すんだ?」


「えっと……それは……」

僕は、一瞬言おうか迷った。


「俺らもう友達なんだから普通に喋ってもいいんだぜ。」


「分かっていますけど、年上の人には敬語を使わないとって思って。」


「年上って…お前いったい何歳だ?」


「えっ今年で十三歳です。」


「十三歳⁉︎本当に俺より年下だ。」


「スパークルさんは……?」


「……十五だ。それより、お前そんな歳でS組なんてすごいよ。」


「えっなんでですか?」


「S組って成績がいい子が推薦されて入れるクラス。簡単には入れないんだぜ。」


僕は、この時凄く驚いた。僕は、ただお母さんからこの学校行きたい?って聞かれて、うんって答えただけなのに。僕何も試験受けてないのにどういうこと?でも、スパークルさんもすごいよな〜褒めてあげよう。

「そう言うスパークルさんもすごいですよ!掲示板で見ましたけど校内で三位だなんてすごいです!」

僕は、心にあった感情を丸ごと声に出して言った。


すると、ちょっとほっぺを赤くさせたスパークルさんが言った。

「まぁあれは、ただのまぐれだよ。そんなことよりお前に言っておきたいことがあるんだ。」


言っておきたいことって一体なんだろう。


「敬語で話すことは、お前の好きなようにしろ。でも、俺らもう友達なんだから・・・・俺のことサフィアって呼んでいいぞ。」

スパールさんは、恥ずかしくほッペを少し赤くして言った。

かなり勇気を振り絞ったんだろう。


「わかりました。サフィアさん!」

僕は、ちょっと照れた。女の子の名前をファーストネームで呼ぶなんて初めてのことだから。サフィアってなんだかいい名前だな〜と僕は思った。


 食堂を出て、サフィアさんと少し話した後、

サフィアさんは、次の授業の準備のために更衣室へ向かった。そして、僕は、教室に向かった。

 


体育の授業は、僕がこの学校に来て初めての印象に残ったことだと思う。初めは、準備運動と柔軟、補強運動をした。アンリさんと柔軟と補強運動のペアになった。腕立て三十回はきつかったな〜コーチが鬼すぎる。しかも、体育は、女子と混合だ。なんだか気まずい。そう思った。


柔軟と補強運動が終わり、コーチが

「整列‼︎」と言って、生徒たちを並ばせた。


そしてコーチが、今日の体育の内容を話し始めた。

「今日は、新学期最初の授業だ。そこで、今日は、みんな大好きなドッジボールをやるぞ‼︎」

そう言うとコーチは、ドヤ顔をした。


生徒たちの反応は分かれた。こんなのやりたくないと思っている人、(やった!先生神!!)と思っている人がいた。僕は、どちらかとうとすごく楽しみでやりたかった。だけど、サフィアさんとアンリさんの顔を見ると二人とも嫌そうな顔をしていた。特にサフィアさんは、落ち込んでいるような感じがすごくした。でも、二人ともすぐにシャッキとして喜んでいるような雰囲気を出していた。いったい今の顔は何だったんだろう?

 

チーム分けをやり、ドッジボールが始まった。アンリさんは、僕と同じチーム、サフィアさんは、相手チームだった。ボールがとても早く、うまくかわさないと大怪我をすると思った。

その時、たまたまそこにボールがあり、僕は、それを拾った。向こうの外野からアンリさんが、手を振っていた。たぶんこっちに投げろという意味だろう。そう僕は察して、ボールを投げた。すると、偶然かも知れないが、ボールは、相手チームの方へ行き、そして相手に当たった。しかも二人だ。

僕のチームは、歓声を上げていた。

「あいつすごいな‼︎」、「ナイス!」など

声をかけられた。

「ジュントムくん、カッコいい!」と言った女の子の声も聞こえた。僕は、こんなにみんなから褒められるとは思わなかったので凄く嬉しかった。



 ドッジボールは、どんどん進み、アンリさんが内野に加わり、ますますハードになった。そして、僕のチームが五人、相手チームが八人になった。ボールは、相手チームの内野のところに入った。そのボールを目つきの悪いヤンキー系の男の子が拾った。何やらこちらをにらんでいる。


すると、その子は、僕に向けて強いボールを投げてきた。僕は、素早くボールを避けた。すると相手側の外野からまた僕に向かってボールを投げた。

この時僕は、察した。僕の実力を試しているんじゃないかと。その予感は的中した。またあのヤンキー系の男の子が僕に向かって投げてきた。僕は、また避けた。それが何回も続き、いろんな方向からボールが飛んできてそれを避け続けた。


アンリさんが、

「ジュントム、だいじょうぶか?もうやめた方が……」


と心配されたが、僕は正直まだやれると思ったので

「はい。大丈夫です。」

と言い、顔から流れた汗を手で拭いた。


そして、内野からヤンキー系の男の子が投げたボールを上手いことキャッチした。ヤンキー系の男の子やその友達は、それを見て、驚いた表情をしている。

チャンスだ。そう思い、僕は、思いっきりボールを投げた。すると、ボールが相手のチームに当たり、そして、跳ね返り一回、二回と違う人に当たった。トリプルアウトだ。周りのみんなは、口を開けて固まっていた。僕も信じられなかった。こんなこと初めてだから。ただ、僕は、相手チームを一人だけでも当てようとしただけなのに。


すると突然、ヤンキー系の男の子が笑い出して僕に言った。

「やっぱおまえただもんじゃねーや。お前の実力は、本物らしい。コントロールもさすがだ。

俺、お前のこと気に入ったよ!後でメール交換しようぜ!もうお前を狙わねーよ。」


「あっ………はい。」

僕は、何となく返事をした。良い人なのか悪い人なのかわからない。でも気に入ってくれたことには、ちょっと嬉しかった。


「さあ、試合を続けようぜ!」

そうヤンキー系の男の子が言い、その子の友達とこそこそ話していた。作戦会議をしているのかな?そう僕は思った。


 

一分ぐらい経って、ヤンキー系の男の子がボールを持って構えた。あの子は、僕を狙わないって言ってたな。と僕は、思い出し、あの子を信じた。ボールが投げられた。ボールは、あの子の言う通りに僕には、来なかったが、横にいた気弱そうな男の子の顔面に当たった。その男の子は、涙目になっていた。すると、相手チームの内野から笑い声が聞こえた。その正体は、ヤンキー系の男の子とその子の隣にいた男の子だった。


「ナイス!顔面キャッチ!(笑)」

ヤンキー系の男の子が笑いながら言った。


それに続いて隣にいる男の子が

「おいおい。ちゃんと避けなきゃダメじゃんw」

と笑いながら言った。


「ごっごめん……。」

と気弱そうな男の子は、涙目になりながら言った。


僕は、たぶん事故だなと思いその光景を眺めていた。

気弱そうな男の子は、当たったから出ようとしたのかすぐに外野の方へ向かった。

すると突然、「おい!(怒)」と怒鳴りつけるような声が聞こえた。ヤンキー系の男の子だ。


その子は、内野の線ギリギリまで行き、気弱そうな男の子の胸ぐらを掴んだ。そしてこう言った。

「お前、まだアウトじゃないぞ!」


アウトじゃない?どう言うことだろう?僕は、考えた。


すると、ヤンキー系の男の子が、

「コーチ、首から上にボールが当たってもセーフですよね?」

とコーチに尋ねた。


コーチは、首を縦に振った。


そうか、顔に当たってもセーフなのか。と僕は納得した。


気弱そうな男の子は、それを受け入れて、戻った。ボールは、たまたま外に転がり、相手チームの外野が拾った。その男の子が投げようとした瞬間、ヤンキー系の男の子がその子に何かしらの合図をしていた。その合図がわかったのかその男の子は、ニヤリと笑い、ボールを投げた。ボールは、気弱そうな男の子の頭に強く当たった。偶然なのかなと僕は思った。だが、その後ヤンキー系の男の子が、もう一度強く投げて、気弱そうな男の子の顔面に当てた。その子の顔は傷だらけになってていた。


僕は、この時気づいた。これは偶然なんかじゃない。必然的にその子に当ててるんだと。僕は、その子を助けようとして、歩こうとした。だが、ボールを何回も避け続けたせいで、両足が痺れてつってしまった。喋れないほど痛い。だから、アンリさんに一緒に行ってもらおうと思ってアンリさんの方向を見た。


アンリさんは、下を向いて、絶望したような顔をしていた。


僕は、驚き、慌てて周りを見渡した。

すると、そこには、気弱そうな男の子の様子を見て、クスクス笑う人が十人ぐらいいた。頭おかしいのか?それとも苦しんでいる様子を見るのが嬉しいのか?僕は、この時怒りが湧き出た。しかも他の人は、みんな下を向いて見ないようにしている。


相手チームの外野にいたサフィアさんは、頭を抱えて下を向き、苦しんでいるような顔をしていた。しかも、コーチは、前を向いてぼーっとしていた。たぶん現実逃避をしているか、あるいは、何かあるのかも知れないと僕は、察した。


僕は、諦めようとしたが、気弱そうな男の子が、何回も顔や頭にボールを当てられ、ついに鼻から血を出していた。もう僕は、この状況に耐えられなかった。だってもうこれ以上、苦しんでいる姿を見たくなかったから。足のつりも少しはマシになり、喋れるようになった。だから僕は、勇気を出してもう止めるように言おうとした。


突然、

「もう、やめて!!!」

僕より先に止めるように言った人がいた。その人は、今日、転校してきた女の子だ。名前は、たしか…そうだ。マノン・ニコルだ。マノンさんは、相手チームの外野から 内野まで無理やり向かった。


「何お前勝手に入ってきてんだよ?」

ヤンキー系の男の子が、マノンさんに向かって言った。


だが、マノンさんは、そんなことどうでも良いと言うようにヤンキー系の男の子に

「何で、何回もあの子の顔や頭にボールを当てているの?あの子が苦しんでいる姿を見るのが楽しいの?」

と言った。そしてみんなの顔を見て、

「みんなもこの状況、おかしいと思わないの?知らないふりをするなんて卑怯だよ。私、もうこの状況、見てるだけで辛いよ。」

と言った。


なんて凄い子なんだと僕は、思った。周りのみんなは、驚いたような顔をしていた。マノンさんは、気弱そうな男の子のそばに行き、大丈夫かどうか声をかけた。だが、気弱そうな男の子は、何も言わなかった。


ヤンキー系の男の子は、その様子を見て、

「おい、てめぇ、さっきから何しているんだ?なんであいつに声をかけている?」

と言った。


すると、マノンさんは、彼を睨みつけた。次の瞬間、僕は、衝撃的なものを見た。なんと、マノンさんは、ヤンキー系の男の子の顔面に向かって平手打ちをしたのだった。


そんなことして凄いと思うけど、逆に心配だな。だって見た目でヤンキーっぽい男の子にそんなことしたら逆にやられるんじゃないのかと考えたからだ。僕の考えは、的中していた。


ヤンキー系の男の子は、怒ったような顔でマノンさんを睨みつけたからだ。


「何しやがるんだこの野郎‼」

ヤンキー系の男の子は、そう言い、拳を振り下ろそうとした。


これは、やばい。どうしよう。僕は、目をつぶった。


だが、音はしなかった。僕は、恐る恐る目を開けて、何があったのか確認した。そこには、殴りかかろうとしたヤンキー系の男の子の手を止めていた金髪の背の高い女の子がいた。


「もうやめましょうライアン。こんなことしても面白くないわよ。」

とその女の子は言い、ポンとヤンキー系の男の子の方においた。すると、


「……わかったよ。」

とヤンキー系の男の子がボソッと言い、腕を下ろした。


金髪の女の子は、マノンさんに向かって、

「うちの彼氏がごめんなさい。私からしっかり言っておくから。」

と言った。


マノンさんは、こくんとうなずいた。そして、金髪の女の子は、コーチの目を見て、何かしらの合図を送った。


コーチは、それを察して笛を吹いた。

「試合終了だ。五対五で引き分け!お前ら、よく頑張ったな。もうすぐチャイムがなるから、各自解散!」

そうコーチは言った。


みんなは、「はい‼︎」と言い、ゾロゾロと体育館を出て行くのを見た。僕は、アンリさんに足がつったことを言い、アンリさんの手を貸した。横にサフィアさんが来て、アンリさんと二人で今日の僕の姿を褒め合いっこしていた。僕は、ものすごく恥ずかしかった。

そこに突然、さっきの金髪の女の子が、来て僕に近寄った。


「フラムスくん、今日のドッジボール、本当に凄かったよ。やっぱりフラムスくんは、凄いんのね。うふふ、なんかありがとう。」

と僕に言い、Vサインを送ってきた。そして、金髪の女の子は、その子の友達の方へ戻って行った。


試合中から思っていたけど、やっぱり不思議な子だな。パッと見て友達も多そうだ。まるで、みんなを引っ張って動かせる王様みたいだ。僕は、そう思った。


金髪の女の子が去った後、サフィアさんが、僕に

「お前、よかったな。あいつに気に入られて。お前は、幸運なやつだよ。」

と落ち着いた声で言ってきた。


僕は、サフィアさんの言葉になぜかピンと来なかった。その言葉に疑問を抱きながら、僕は、サフィアとアンリさんと一緒に体育館を後にした。

 


あの言葉の真実は、まだこの僕は知らなかった。いや、知らない方が良かったのか?まあいいや。



※(マノン視点)


 私は、放課後に校舎裏に来てとセリーナちゃんからメールがきて、今向かっている。本当に広い校舎だから迷いそう。

 やっと校舎の裏に着いた。そこには、セリーナと九人ぐらいの女の子が、こっちを睨みつけていた。そして、


セリーナは、私の胸ぐらを掴み、

「お前、校則破ったな。よくも私の彼氏に平手打ちしたわね。」

と言って私に向かって平手打ちをした。


私は、何がどうなっているかわからなかった。すごく痛い。私は、セリーナの顔を見た。


セリーナは、ニヤリと笑い私に言った。

「いい気味だわ。私の彼氏は、私自身。つまり、私を傷つけたことと同じことよ。だからお前は、もう私達のグループから抜けて。ムカつくから。後、明日からあなたは、ターゲットになってもらうわ。これは命令よ。従いなさい。」


私は、全てを理解した。「はい。」と言うしかなかった。私は、泣くこと以外何もできなかった。

周りの女の子は、そんな私を見て笑っていた。

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DSTORY王政 菊菜・ω・ @kikunahaoishi

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