優しさを自分にも……
華ノ月
優しさ
私はよく人に言われている言葉があります。
「○○さんってすごく優しいよね」
「○○さんの優しさは癒されるよ」
「○○さんのその優しさが人を惹きつけるんだろうね」
よくそんな言葉をかけられました。
でも、私は別に人に好かれたくてそうしているわけではないのです。
ただ、そういう性格なだけなのです。
でも、その性格故に人にいい様に利用されることもありました。
騙されることも多々ありました。
ずいぶん昔、大切だった人に言われた言葉があります。
今でもその言葉が忘れられません。
その頃、私はその優しいと言われる性格故に自分の体を酷使していた時期がありました。
確かに私の中には「人に優しくありたい」という思いがあります。
それは、偽善ではなく本当に優しくありたいと思っていたからです。でも、それが人によっては「利用しやすい人」と捉えるそうで、ある人にはいい様に使われていました。
でも、その「優しい性格」が災いして、どんどんある人の要求はエスカレートしていき、いっぱいいっぱいになり、遂に心を病んでしまいました。
でも、それでも私はその人のことを嫌いになれなかったのです。もっと頑張ったらちゃんと自分を見てくれるかもしれないという思いで必死に優しく接しながら尽くしていきました。
ですが、その人にとっては私は都合のいい人というだけで私のその優しさを自分が楽するために利用していただけだったのです。
私は昔から人の「笑顔」が大好きでした。
子供の頃、人に優しくしたことで「ありがとう!」と、笑顔で答えてくれたのがとても嬉しかったのを今でもはっきり覚えています。そして、その時に私自身もとても幸せな気持ちになれたのです。
中には「偽善者」っていう人もいるかもしれません。でも、そうではなくてそれが「私」という人間なのです。
自分軸で生活していませんでした。
いつもいつも周りの人を優先していて、自分のことはないがしろにしていたのです。
なので、自分のことはいつも後回しにしていて、精神状態が良くなくても周りの人たちに優しく接していました。
なぜなら、優しくすることで周りが笑ってくれることが何よりの喜びだったからです。
そして、自分を後回しにしていたツケがきて精神を病んでしまった時です。
そんな状態でも人に優しい私に大切だった人が言った言葉が今でも忘れられません。
「○○は十分優しいよ。でも、自分を後回しにしてまで優しくある必要は無いよ?
自分を犠牲にしてまで人に尽くす必要もない。
その優しさが○○の性格だってことも分かってる。
でも出来る事なら、
その優しさを自分に向けてあげなよ……」
そう言われたのです。
人の笑顔を見ることが好きだった私は私自身には全然優しくできていなかったのです。
それから、私は自分を労わる事にも目を向けるようにしました。
そうすることで、ちょっとずつですが自分が楽になっていることを感じています。
それに、中途半端な優しさは逆に相手がその後で不幸になる可能性がある事も分かりました。
私が思う「優しさ」という言葉は、時にはその人のために厳しいことも言わなきゃいけないということです。
「優しさ」は使い方を間違えると「甘やかし」になってしまい、場合によっては相手を不幸にしてしまったり、成長が出来なくなってしまったりするときがあります。
そのことを学んでからは、友だちや仕事場でも「本当の優しさ」で接するように心がけています。
友達にも時には厳しい言葉を言います。
ですが、友だちに言われました。
「○○の言葉って、厳しい言葉だけどハッとさせられるよね。私の周りにはそんなことを言ってくれる人がいないから、○○の言葉って本当にその人のことを想うから言う言葉なんだなっていうことがすごく分かる。なかなかそこまで言ってくれる人っていないから、私にとって○○って貴重な友達だよね」
私は今でも友達でいてくれている人たちには本当の意味で優しくありたいと感じています。
だから、友だちがそう言ってくれた時はとても嬉しかったです。
世の中には「優しい人」が沢山いると思います。
そして、その「優しさ」故に人に利用されている方も沢山いると思います。
私はそんな方たちにメッセージを送りたいです。
「誰にでも優しくする必要なんてないよ。
大切な人に本当の優しさで接してあげることが大事。
そして、その優しさを自分にも向けてあげて……。
そうすれば、本当に心が穏やかになって、本当の意味での優しい人になれるよ。
自分を大切にして労わってあげてください。
時には思い切り自分で自分を甘やかして下さい。
大丈夫。
そんな優しいあなたを大切な人はちゃんと受け止めてくれます」
優しさを自分にも…… 華ノ月 @hananotuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます