財宝か、死か

「おい、ここに入って何刻過ぎた?」

「まだ一刻ですぜ、旦那」


 入った時には岩肌が覗いていた洞窟からの盗掘路は、すでに煉瓦レンガ造りの、古代建築めいた通路へと変化していた。

 案内役の小男――実際には古代建築の周囲を漁っては宝物の欠片を小金に変える、盗掘者の類だ――を先頭に、幾人かの群れが、団子のように通路を進んでいた。

 彼らの歩みは、非常に遅い。そこまで広くも高くもない通路に、護衛やらをぎっしりと詰めたせいだ。


「クソッ。本当に古代ハティマ帝国の財宝とやらはあるんだろうな?」

「知りませんよ。噂じゃそうなってますけど、旦那がそのお連れさんに聞いた方が早いんじゃないですかね?」

「チッ!」


 団子の中央部、でっぷりとした男が歩を進める。傍らには首輪をはめられ、鎖で繋がれた少女が一人。身なりは良いが表情は消え失せ、引っ張られるがままに歩いている。太った男がモノを聞こうとしても、光の消えた瞳で何事かをつぶやくばかりだった。更に彼らの周囲は、豪奢な装備に身を包んだ、屈強な男三人によって固められていた。


「……さっさと歩け!」


 でっぷりとした男は、苛立ち任せに女を繋ぐ鎖を引く。女はああ、とうめき声を上げ、とたとたと付き従わされる。囲む男どもは、下卑た瞳でそれを笑った。つまるところ、彼らはそういう集まりだった。


「しかしですよ。いかに貿易商とはいえ、旦那自らここまで来ますかねえ」

「なにを言う。貿易とは目利きが大事なのだ。商品を自ら見定めずして、なにが商人か」

「違ぇねえ」


 なんたることか。男たちの目的はあまりにも浅ましいものであった。彼らは古代帝国の財宝を、己の商品としていずこかに売りさばこうとしているのだ。

 しかしこれらは、無法な行いではあるが違法ではない。小男がやっている商売を、さらに大規模にしているだけなのだ。その行為を裁く法が、現時点においては定められていない。それだけが、彼らの行為を許諾せしめていた。


「しかし遠いな……」


 でっぷりとした男が、腕で汗を拭った。松明の火が煉瓦に跳ね返され、こうこうと辺りは照らされている。煉瓦造りは精巧で凹凸もなく、古代帝国の技術の高さを窺わせた。


「横合いから、無理やり侵入してますからね。どんな罠が待ち受けているやら」


 旦那の言に、小男がうっかりとこぼした。大枚につられて案内役を引き受けたが、はっきりと言えば彼も生命だけは惜しかった。


「わかっている。だからこそ、肉壁を……」


 貿易商が残忍に残忍を重ねている事実を吐こうとしたその時、唐突にカチリという音が彼らの耳を叩いた。同時に煉瓦の壁が、音を立てて横滑りする。しかも彼らの左右、両面でだ。


「!」


 瞬間、下穿き以外は身につけていない、肉体壮健なる男たちが飛び出した。全方位に身体を差し向け、貿易商と女、案内人を守る盾となる。先に貿易商が「肉壁」なる言葉を出していたが、彼らこそがまさにそれだ。

 借金で首が回らなくなった者、あるいは他人の借金のカタにされた者。数にして六人。いずれも貿易商自身が選んだ、彼自慢の防御装置だった。


 バシュッ!


 一瞬空気の抜けるような音がしたかと思えば、次に訪れたのは矢玉の雨嵐だった。両側面、煉瓦の下に隠されていた壁面の穴から、貿易商たちに向けてざあざあと矢が降り注ぐ。そしてなんたることか。肉壁扱いを受けている男たちは、武器や装具の類を許されていない。必然、彼らは。


「っぐ!」

「あああ!」


 矢玉の雨を真っ向から受け、早々に生命を失っていく。しかし、倒れることさえも許されない。身体が崩折れそうになる度に、装備に身を固めた男どもが無理くり引っ立たせていた。だが――


「……」


 その嵐の中、一人自我を持って立ち続ける男がいた。傍目には気付き難いが、彼の身体は薄ぼんやりと光っていた。火噴き山のように赤く、蛇の如く蠢く長髪。隆々たる筋肉。小高い山を思わせるような肉体は、でっぷり太った貿易商に影を落とすほどだ。矢をめつける目はくすぶった黄金色をしており、顔は五角形の盾を思わせるいかつさだった。


「……」


 無限にさえ等しいと思えるような時間の中、男は無言のままに立ち続けていた。いかなる加護によりてか、彼は生命を保ち続けていた。

 いや、よくよく見れば幾本かの矢は刺さっている。刺さってはいるが類稀なる筋肉を通らず、また致命には至らぬような箇所にしか刺さっていない。

 そうして震えるだけの時間が、ただただ過ぎていく。そんな中で、嵐が止んでいることに気付いたのは誰だったか。屈強な男の一人が、恐る恐る顔を上げた。


「おお……」


 残忍なる性分であるこの男も、この時ばかりは脳裏で生命神へ感謝を述べた。それほどまでに、矢玉の嵐は恐怖であった。

 事実、肉壁は六人中五人がその役割を十全に果たし、冥界へと旅立っていた。しかし男に述懐はない。死ぬべき者が、役割を果たして死んだ。それだけだった。


「……」


 続いて防御を解いたのは、先に述べた自我持つ肉壁であった。下穿き以外は素肌で、武器さえ持たぬというのに、彼の身体にはわずかな傷しか生まれていなかった。無論、流れる血もさほどではない。肉体、未だ壮健であった。男は、肉壁と目を合わせた。


「優秀な盾だったようだな」

「五体を剣盾とするのは、おれたちの誇りだ」

「なるほど。今後も我々に尽くすが良い」


 男に少しでも知識があれば、肉壁の風貌が南方蛮族のそれに近しいことに気付けたであろう。だが、男にしてみれば肉壁は肉壁であり、死ぬべき者である。それ以上の価値は、持ち合わせてはいなかった。


「……助かった!」

「肉壁が効いたようだな。しかし矢が刺さった程度で死ぬとは貧弱な」

「…………」


 ややあって、最重要護衛対象だった三人も顔を上げた。全員、傷一つなく無事であった。残りの屈強なる護衛も顔を上げる。彼らは死に至った肉壁を蹴倒し、その弱さを罵った。死した肉壁はみな、ボロ布じみた、悲惨なありさまだった。


「さあ、先を急ぐぞ。次はヘマなど許さん。ここを出たらムチ……」


 ひょうっ、ふつっ。


 雇用主が、全員を急き立てようとした。まさにその時だった。一陣の風が吹いたかと思えば、次の瞬間、彼の喉には矢が突き立てられていた。


「うち、に……」


 時が止まったかのようにゆっくりと、仰向けに貿易商が倒れていく。即死である。

 いつの間に掻い潜ったのかと思わされるほどの、正確な一撃。護衛と小男、そして肉壁が全周囲を確認する。しかし下手人は、影も形も見えなかった。


「冗談じゃない。オイラはかえ……っぐ!」


 真っ先に背を向けようとした小男が、またしてもはやき矢玉に撃ち抜かれる。しかし今度は、出処が見えた。


「前!」

「応ッ!」


 三人の護衛が、反射的に動く。防御を固め、装備に刻まれた鋼鉄神を讃える紋様を光らせる。だがそれさえも容赦なく――


「ぐうおっ!?」

「あっぐ!」

「ぐああっ!」


 いかなる仕掛けか次々と喉笛を撃ち抜かれ、たちまち一矢にて絶命した。その連射の速さは、神々が下手人かとさえ疑うほどであった。


「……っ」


 残されたのは枷の少女と意志ある肉壁。男は身体をほのかに光らせ、少女を置いて前方へ進んだ。次の瞬間、また風が吹く。


 ひょうっ、ふつっ。


 おお、少女は目を閉じた。彼女を置いて男が進んだのは、護りの意志、その現れだったのだろう。しかしその思いもまた、疾風の矢玉の前には……


「……見えた」


 少女の目を開かせる、声が響いた。低い声であった。少女の見た背中は雄々しく、隆々としたものであった。広く、矢玉だらけの廊下にもかかわらず、それらを圧して光り輝いていた。


「後少し遅れたら、おれも冥界神のみもとだったか……」


 しばしの時を経た後、大きな男が少女の方を向いた。その右手には矢と、それによって生まれたであろう、滴る血があった。


「あな、たは」


 少女はここで、初めて口を開いた。男は、少し立ち止まった後、ゆっくりと応じた。


「ガノン。ラーカンツの、ガノンだ」

「ガノン」

「そうだ、ガノンだ」


 少女はぱくぱくとその名を繰り返した。それはあたかも、己にその名を染み込ませるかのようであった。しばらくその行動が続いた後、少女は、ガノンの想定を超える言葉を繰り出した。


「ではガノン様に、たってのお願いがございます」

「む?」


 ガノンは訝しんだ。さもありなん。残忍なる貿易商に引きずられていただけだったはずの女が、突如として己に願いを託そうとし始めたのだから。しかし少女は構わず、緑色をした目を突き付け、のたまった。


「このまま前進し、真に財宝があるのかを知りたいのです。貴方の力を見込んで、ご同行を願いたく」

「なん、だと」


 ガノンは面食らった。彼が戦以外で負の表情をあらわにするのは、大変に珍しいことであった。だがそれを知らない少女は、さらに言葉を折り重ねた。


「不躾とは承知しております。ですが、事がこうなった以上。わたくしには祖先の財宝、その真実を知る義務が発生いたしました」

「義務」


 オウム返しの言葉を発しつつ、ガノンは考え込んだ。己は、故あって二束三文のボメダ金貨で売られた身。雇い主どもの発言は、せいぜい夢見人か誇大妄想かと切り捨てていた。またそうすることで、連中の所業から目を背け、肉壁の仕事に徹していた側面もあった。しかし少女の発言を鑑みるに、一縷の望みがあり得るというのか。ならば。


「良かろう。乗っても構わん。だがおれも、元はと言えば金で動く戦士だ。報酬がいる」

「もちろんです。謝礼は払わねばなりません」


 半分は脅しも含んだガノンの言葉にしかし、少女はコクリとうなずいた。続けて、彼女なりの見通しを語る。


「見てわかる通り、残念ながら今の我が身には差し出せるものはございません。ですが、仮にこの先、真に財宝があれば」

「その内より、か」

「はい」


 少女の曇りなき瞳が、ガノンを見据えた。南方蛮人は、再び考え込んだ。少しの間を置いて、彼は重ねて尋ねた。


「おまえは、先刻まで正気を失っていたかに見えていたが」

「ええ。祖先の宝を不届き者に荒らされると思うと、とても正気など」

「……腕を出せ」


 ガノンは唐突に、少女に要求した。言われるがままに、腕が出される。二つの腕は手錠の如く、鎖と腕輪で繋がれていた。

 ガノンは口内で戦神に祈りを捧げ、指で斜め十字――バッテンのような軌跡を描いた。戦ならぬ行為に導きを得る、詫びの意味。直後。鎖へ向けて、ほのかに光る右腕を振り下ろした。


「ハッ!」


 すると、なんたることか。蛮人の右腕は柔らかい肉を断つかのように、両の手を繋ぐ鎖を分断せしめたのだ。ガノンはそのまま、首の鎖をも断ち切り、短くした。少女は思わず、口をあんぐりと開けた。


「これは」

「見てくれは悪いが、多少は動けるようになるだろう」

「では」

「おれは雇われの身だ。だが、全滅は寝覚めが悪い」


 ガノンは少女に背を向けた。あくまで信じたわけではない。言い聞かせるように、先に弓が来たった方角に向かう。そして、無骨に告げた。


「どうせ進むのだろう。付いて来い」

「は、はい!」


 ガノンの耳に、とたとたと近付く足音が響いた。


 ***


 そうしてまた、一刻の時が過ぎた。男は、否、男と少女は、自らの意志で煉瓦造りの道を突き進んでいた。

 あの罠と不可思議な矢玉の襲来以降、遺跡からの反撃は確認できない。そしてここまで、道は一本道だった。これからも、一本道のように見える。そして下っているとも、上っているとも判断がつかなかった。

 男――ラーカンツのガノンは、三歩後ろに付き従う少女に向かい、口を開いた。


「道は、合っているのか」

「この造りが続いているのであれば、おそらくは。その、私とて」

「そうか」


 男は、のしのしと道を進む。右手から滴っていた血も、いつしか止まっていた。くすぶった黄金色に宿る視線は、今も暗き道の向こうを見つめている。

 彼らの視界は、ガノンが振るう【使徒】の力――戦神せんじんの加護――によるほのかな光と、先刻拾った松明――護衛の投げ捨てたもの――のみによって構築されている。少女はその背を見ながら、意を決して男に尋ねた。


「どうして」

「む?」

「どうして、わたくしの言を信じてくださったのですか。妄想や夢見など、切り捨てようと思えば」

「切り捨てることはできたぞ、文明人」


 強い発言が、煉瓦造りの壁を叩く。少女は思わず、軽く身をすくめた。今から戻ると言われてしまえば、ここまで来た意味が消えてしまう。それは彼女にとって、恐怖極まりないことであった。しかし男は、言葉を続けた。


「だが、それで死なれても寝覚めが悪い。前にも言ったぞ」

「はい……」


 ガノンの厳しい声に少女は声を落とした。だが事実として、二人の関係はその程度でしかない。契約自体もなし崩しのようなもので、口約束でしかなかった。しかし、続いて響いた言葉は。


「安心しろ。なし崩しだが、おれはおまえと先に進む」

「はい」


 彼女に、当面の希望をもたらすには十分だった。彼女は、胸の前で手を握る。ガノンが断ち切った手錠の残り香が、今も腕輪として手首に残されていた。それは首元も、同じであった。

 彼女は、思う。自身が彼に、報いるには。だが今の時点でそれは、やはり。だから彼女は、顔を上げて宣言した。


「わかりました。仮にこの先。貴方に託すに足るものがなかった時。わたくしはこの命をもって贖いましょう」

「……いいだろう」


 三歩先からの声は、低く、重い。勝手に命を賭けられて、迷惑に思っているのであろうか。少女は逡巡し、沈黙を嫌うようにまた口を開いた。


「……気にならぬのですか」

「なにがだ」

「私の名とか、いかにしてこのようなことになっているのか、とか」

「それを知ったところで、先行きが開けるわけでもないだろう」


 ガノンは、前を見たままに応じた。雇われの身の上で、そこまで踏み込むわけにはいかぬ。そう考えていた。

 ましてや、今のガノンはまだ少女に気を許してはいなかった。寝覚めが悪くなる故にこうして先導しているが、そもそもが夢見人じみた話である。はっきりと言って、心を打ち明け合う理由にはなり得なかった。


「……」


 そんなガノンの物言いに、少女はまたも沈黙する。その時、突如として二人の前後に煉瓦状の壁が這い出した。


「むっ」

「ええっ」


 前後の行く手を塞がれ、ガノンは少女を太い腕で制した。少女は小さくうなずき、ガノンの背中へと隠れる。しかしそれこそが、この遺跡の秘めた悪辣なる罠だった。


「むぐうっ!?」


 少女が隠れた後方の壁から、やにわに煉瓦造りの腕が生えた。それは彼女の口元を押さえつけ、壁の中へと引きずり込まんとする。


「ぬんっ!」


 しかし、彼女が声を上げたのが幸いだった。南方蛮人はすぐさま振り向くと、ほの光る右のかいなで、煉瓦造りの腕に大振りの一撃を叩き込む。見事に入った一撃の重みは、煉瓦造りの腕を一本るには十分な破壊力だった。解放された少女は、再度ガノンの背後へと滑り込む。今度はピッタリと張り付き、引き剥がされぬように備えた。


「――――!」


 腕の持ち主のものであろうか。奇怪な叫びが、四方よもを挟まれた空間に響き渡った。男は即座に防御の姿勢へと移行し、空間の中央に陣取る。


「これは……」

「娘、後ろに目を向けろ」

「……っ」

「いいから向けろ」

「はい」


 動揺を隠せぬ少女に、ガノンが活を入れる。少女はわずかにためらうも、意を決してガノンに背を預けた。そんな彼女に、ガノンはやるべきことを告げていく。


「そのまま気を配れ。腕が生えたら、おれに告げろ」

「は、はい!」


 ガノンは、腕の生えた壁に対して正対を崩していない。そして恐るべきことに、奪ったはずの腕が修復されつつあった。そして。


「なるほど。寓話にありし岩石怪人ゴーレムか。合点がいく」


 壁に擬態していたのか、いかなる仕掛けか。壁から抜け出てくる怪物モンスターあり。煉瓦を積み上げた身体に、煉瓦造りの四肢と頭部。ガノンも大きいが、こちらもまた、ガノンよりも頭一つ大きかった。


「……不足なし、か」


 ガノンは口内にて、小さく戦神への感謝を告げた。続けて、かつて聞かされた夜咄の寓話より、かの怪物モンスターへの対処を探る。

 いわく。岩石怪人ゴーレムは核を砕けば崩れ去るという。だが、それには――


「ぬうっ!」

「きゃあああっ!」


 床を砕く打ち下ろしの一撃に、ガノンは少女をさらって飛び退いた。戦神の加護が彼に恐るべき跳躍力を与えるが、少女一人を抱えての戦は、さしもの彼にも難しいものだった。

 つまるところ、かの怪物モンスターによる苛烈なる攻撃をかわし得た者にしか、岩石怪人ゴーレムの核を砕く機会は訪れぬのだ。すなわち只の人間には、もはや難行である。


「……そこにいろ。一歩たりとて動くな」

「はい……」


 ガノンは少女を隅に置き、五体に気を張り巡らせる。こうなってはもはや、追加の怪物モンスターがいる可能性は捨てる他なかった。

 仮に存在していたら? その時は戦神に詫びつつ、冥界へと旅立つのだ。岩石怪人と、それに伍する敵が相手なのだ。いと厳しき戦神とて、許し給うであろう。


「ふう……」


 ガノンは息を吸い、そして吐いた。常の通りに、気は満ち満ちていた。戦神からの導きが、彼に道を指し示していた。敵対者の頭部、人間で言えば『目』の辺り。ぼんやりと、緑に光るものあり。岩石怪人ゴーレムの核であると、彼は直感していた。


「応ッ!」


 岩石怪人が動くのを見て、ガノンは床を蹴った。硬い地面が、彼に十分な蹴り足を授ける。右の打ち下ろしをかわすと、肘上に着地。そしてすぐ跳ねる。


「――!」


 唸り声か。あるいは軋む音か。轟音を立てつつ、怪物の左腕が動く。大振りの横薙ぎ。ガノンを壁に叩きつけんと振るわれる、当たれば絶命にも至らん一撃。ただし、当たればだが。


「ハッ!」


 彼の信じる戦神の導き――実際には【使徒】へともたらされる加護――により、ガノンにはすべてが牛歩の如く見えていた。致命級の横薙ぎ、その腕を足場に、更に彼は蹴上がった。そして。


「イヤシャアアア!」


 蛮声咆哮。岩石怪人ゴーレムの頭部に、右の一閃を叩き込む。たちまちのうちに煉瓦造りが崩れ、緑色の核があらわとなる。その時、ガノンの瞳が強く光った。常人ならざる滞空力で、彼は左腕を顔面へと突っ込ませた。


「――!」

「オアアアッ!」


 蛮人と怪物が、互いに獣じみた『声』を張り上げる。しかし勝ったのは、正体不明なる遺跡の意志よりも、確固たる戦神の加護だった。瓦礫の崩れる音を引き連れつつ、ガノンが左腕を引っこ抜く。その掌には、緑の発光球体が備わっていた。


「フンッ!」


 胴体を蹴って飛び退きながら、彼は球体を己の握力で破壊する。煉瓦造りの怪物は、追撃さえもままならぬまま、サラサラと崩折れていく。土と石塊いしくれに、還っていく。しばしの後に生まれたのは、小山であった。ガノンの背丈ほどまでに、構成物が積み上がったのだ。


「……」


 少女は今こそ、息を呑んだ。己の身の上さえも忘れて、ガノンの姿を注視していた。

 罠なる矢雨を耐え抜き、いかなる技か見当もつかぬ絶命の一矢を掴み取り、そして今、己よりも巨大なる怪物を無力化せしめた。

 彼女は、己の判断をここに確信した。彼であれば、道を開くどころではなく。


「ガノン様」


 少女は、神々を崇めるかのようにひざまずき、両の手を合わせて宣誓した。


「わたくしの名は、ララ・ウスタ・アリマージュ・ハティマ。かの帝国の縁に連なる、真なる末裔でございます。どうか、どうか貴方様の手で、わたくしに先祖の威容を拝ませてくださいませ」

「……」


 突然の願掛けに、ガノンは言葉を失った。意を決したとみられる少女の顔を、まじまじと見つめる。

 鼻筋はスラリとしており、唇は小さい。貿易商に引き合わされた際には光を失っていた目は、今や希望と願望に満ち溢れ、緑色の、煌々とした光を宿していた。

 先刻まではとてもそうとは見られなかったはずだというのに、今や少女は、うつくしきものとなっていた。


「……証拠は、あるのか」


 力なく、ガノンは口を開いた。先には聞く気にもなれなかった言葉も、今なら聞ける気がした。もちろんという声が返り、少女はおもむろに、気品ある白の服からペンダントを取り出した。その蓋をガノンが開けると、先の岩石怪人ゴーレムの核よりも、遥かに眩い光が彼を灼いた。


「皇帝一族に伝わるとされる、みどりのクリスタルです。帝国が滅びてはや千年とさえ伝わる中、一度も輝きを失ったことはないといいます」

「ふむ」


 ガノンは考えた。考えたが、結論は変わらなかった。今更戻ったところで、なに一つ己に益はない。ならば、進む他に可能性はないのだ。


「条件は変わらん。道が合っていれば付いて来い」


 努めて低い声で、蛮人は乙女に告げる。気が付けば、再び道は開けていた。


 ***


 かくてまた、男と美少女は歩みを進めた。かつては狭かった道は、いつしか二人の幅、その倍以上に広がっていた。いずこから灯りを取り入れているのか、通路自体の光量も増しているようだった。


「いよいよ近いのか、文明人」

「おそらくは」


 少女の声に、ガノンは腰を落とした。警戒の構えである。さもありなん、貿易商を一矢にて撃ち抜き、三人の重装護衛をも一撃で葬り去った謎の弓兵が、この遺跡にはいまだ隠されているのだ。

 仮にここから先も一本道だったとしても、遺跡内部にいる限りは先方が優位である。こちらにできることは初撃を外し、一息に間合いを詰めること。それだけだった。先に見逃されたのは、おそらく運でしかない。


「おまえは何故に、ここにいる」


 思考の中で、ガノンは少女に身の上を問うた。きっかけを探したというよりは、ほんの少しの雑談を求めたというのが正しかった。黒髪を後頭部にまとめた大陸東部系の少女は、どこか世捨て人じみて空虚に答えた。


「父が、骰子サイコロ賭博で大きな借金を負いまして」

「ふむ」


 あまりにもよくある話に、ガノンはむしろ興味をそそられた。骰子サイコロ賭博といえば、街の酒場ですらやられるような遊びである。種類も数の大小を競うものから、役の有無を争うものまで幾重もあった。あえて記すのであれば、熟達者ならばイカサマも容易なものである。続けろと、彼は仕草だけで少女に告げた。


「今思えば、最初から狙われていたのでしょう」


 少女がその小さな口から悪漢どもの企みをつまびらかにする。最初は急に、父の羽振りが良くなった。しかし少し経つとその顔が陰り、やがて怒りっぽくなり、家の金までも持ち出し、そして最後に。


「大枚になった借金の証文を持って、あの貿易商が現れたのです。『私にクリスタルを添えて差し出せば、借金を棒引きにする』と」


 少女の声が震えているのを、ガノンはその優れた聴覚で悟っていた。少女の胸の内で、未だ処理し切れぬ怒りと悲しみが渦巻いている。そのことをわかり得ぬほど、この蛮人は愚鈍ではなかった。


「もういい」


 ガノンは努めて、いかめしく告げた。その先については、おおよそ推測がつく。彼なりの、情けでもあった。


「ともかく、この遺跡の真実を明かす。その先は、それからだ」


 重々しく話し、また一歩を踏む。そうして一歩を重ねる内、その時は唐突に訪れた。風が、遺跡の中で吹いたのだ。


「っ」


 ガノンのくすぶった黄金色が、にわかに光る。間に合うか、間に合わざるか。気合一閃、彼は吠えた!


「キエエエーーーッ!」


 おお、見よ。ガノンの右手が、黒きやじりを叩き落とす。寸前とはいえ、見事なまでの迎撃である。そして彼の瞳は、遂に下手人、黒き影を捉えた。

 遠くを見据えれば行く先に道はなく、煉瓦造りの壁がそびえ立っていた。さてはここがついの地か。ガノンは腰を落とし、少女に告げた。


「じっとしていろ」

「はい」


 少女の声からは、先刻のような揺れは消え去っていた。ならばと、彼はさらに通告する。


「仮におれが倒されたら、全速力で来た道を戻れ」

「それは」

「言っている。全滅は寝覚めが悪い」


 彼女がガノンに頼み込んだ目的を鑑みれば、それは無慈悲にも等しい言葉だろう。ガノンはそれでも、己の意志を告げた。少女のためではない。己のためにだ。


「……はい」


 なにかを飲み込むような声色が、ガノンの耳を叩く。蛮人はその声を背に受けながら、黒き影へと進んでいった。まず彼の目を引いたのは、影の武装だった。さして長くない、背丈の七割ほどの黒槍――穂先まで黒かった――を、右の手に提げていた。


「続けざまがないかと思えば、持ち替えたか」

「……」


 影は答えぬ。全身を黒の装備に身を固めた守り手は、兜さえもが顔を覆い尽くしている。間隙があるのは目元のみであった。これでは、正体の確認さえもままならない。


「ぬんっ!」


 だからガノンは、限界まで強烈に踏み込んだ。いかに戦神の導きがあろうとも、無手では不利は明らかだった。ならば、懐へと飛び込まねば。しかし。


「……」


 槍兵の動きは、滑らかだった。提げていた槍を構えたかと思えば、恐るべき速さで連続の突きを浴びせてきたのだ。左右に逃れようが関係なく、槍の一撃が弾幕じみて襲い掛かって来た。

 さしもの戦神の【使徒】も、これには回避が精一杯だった。攻め手を与えぬように動きながら、ガノンは十歩の間合いを取った。ところが。


「……」


 槍兵の動きは俊敏そのものだった。稲妻の如く、ためらいもなく踏み込んで来た。たちまちガノンは、極限の回避を強いられる。突きの嵐が、その身を苛む。戦神の導きをもってしても、避けるのが精一杯だった。


「ぐぬおっ!」


 苦し紛れに蹴上げた足が、槍の持ち手を跳ね上げる。蛮人はそのまま、三回のバク転で間合いを広げた。だが、そこで動きは止めなかった。衝撃を吸収するために屈めた膝を、前進のエネルギーへと変えていく。


「ぬ、う、ん!」


 低く唸りながら、彼は進む。大きな身体を低く押さえ付け、左右に、ジグザグに突き進む。上から突き刺して来るような、げに凄まじき槍の軌道。しかし奉ずる神に指し示されて、彼は巧みにかわしていく。詰まる。詰まる。間合いが詰まる。


「かあっ!」


 その一撃は、二歩の間合いから訪れた。跳び上がるかのような突き上げの一撃が、槍の雨を裂いて、正面から槍兵へと襲い掛かった。

 ほの光る一撃が、回避を上回る速さで槍兵の顎へと突き刺さる。槍兵の身体は、当然の如く仰け反った。顔をも覆う兜が、剥がされていく。


 カラァン……!


 兜が煉瓦を叩く音が、少々甲高く響く。しかしガノンは、恐るべき事象に戦慄していた。背後で固唾を呑む少女さえもが、絶句していた。なぜなら――


「これは……古代の機巧からくり、か……?」


 剥がされた兜の下にあったのが、人の顔ではなかったからだ。そこにあったのは、ゴーレムの核にも似ている緑玉りょくぎょくの眼と、ガノンにはわかり得ぬ、謎めいた鉄造りの機巧からくりであった。

 しかしガノンに、おののいている暇はなかった。


「――――――――!!!」


 刹那、戦士が凄まじき音をがなり立てた。少女は耳を塞ぎ、ガノンは三歩飛び退いた。だが、槍兵の変容はそれだけにとどまらなかった。直後、緑玉の目は赤へと変わり、鉄造りの機巧がカチカチカチと異様な速さで蠢動を開始した。そして。


「――――――!」

「ぐぬうっ!?」


 ガノンに、先よりもさらに速い突きが襲い掛かった。しかもそこには、刈り取るような足技までもが組み込まれていた。人の身にはなし得ぬほどの凄まじい技が、彼の身を苛んでいく。


「ちいいいっ!」


 ガノンは唸った。戦神の導きは消えていないが、それをもってしても、異様な速度と変則ぶりだ。あまりの変化に、付いていくのがやっとだった。しかしそうも言ってはいられない。ガノンは意を決し、まっすぐに立つ。襲い来るのは、人智を超えた、機巧槍兵の鋭い突き。


「――!」

「ここだっ!」


 ガノンはあえて回るような足さばきを使い、槍をかわしてぐるりと踏み込んだ。そのまま左拳を繰り出し、鉄へと叩き付ける。横合いを引っ叩くような形で、一撃が入る。しかし。


「ぬうっ!」


 槍兵が繰り出した真横への足技が、ガノンの踏み込みを押し殺した。鈍い音が両者に響き、決定的な一撃を妨げる。


「くっ……」

「――」


 鉄を殴りつけた痛みを、蛮族は口の端を噛むことで押さえ付けた。常人ならば、手の甲を砕きかねない技である。それでもガノンが戦い得るのは、まさに戦神の導き――実際には加護――によるものだった。

 だが、彼が拳を痛めるに足る損傷を、鋼鉄機巧槍兵も負っていた。ガノンから見て右の頬が、大きくひしゃげていた。戦闘継続はともかくとして、見てくれがよろしくない。


「――」


 槍兵が、槍を投げ捨てる。続けて、腰に提げていた剣を抜いた。黒い剣である。真っ黒であった。形は美しくあるが、それだけだった。


「――」


 荒武者じみた鋭い踏み込みが、蛮人を襲った。一歩で踏み込むような、直線的な一撃。ガノンはかわす。戦神の導きが、それを可能にしている。しかし反撃には至らない。至れない。

 紋様も文言もない、ただの剣。だが、機巧からくりに裏付けられた恐るべき速さが、戦神の【使徒】さえも釘付けにしていた。


「――――!」

「早い、が、避けれんことはない!」


 ガノンは避ける。避け続ける。時折剣に混じって繰り出される手足も、ギリギリのところでかわしていく。

 しかしガノンは、人間である。血の通った、呼吸を伴う人間である。身体は少しずつ削られ、流血も重なっていく。加速と停止を強いられる呼吸は千々に乱れ、徐々に荒いものへと変わっていった。


「ガノン様!」


 離れたところに立つ、少女が叫ぶ。彼女から見れば、ガノンはいたく不利に見えた。痛ましかった。自身に戦いの力がないことを、こうまで呪ったことはない。彼女からしてみれば、戦うことを諦められてもおかしくなかった。


「そこで待っていろ、文明人」


 だが蛮人は、低い声で短く告げる。彼は回避を重ねながら呼吸を整え、戦神への謝罪と、誓句を述べた。

 彼は己を焼き直す。死を恐れ、動きを鈍らせた自分を罵倒する。死を恐れぬ覚悟なくして、なにが戦神を奉ずる者か。戦神とは、覚悟ある者にこそ、真の祝福をもたらすのだ!


「オオオッ!」


 見よ。ガノンの身体が今こそ光を帯びた。紅玉の目をわななかせた機巧戦士の鋭い突きを、彼は前進しながら半身でかわした。次の瞬間、左の腕で殴打の構え。その拳が目指すのは、赤く燃え滾る敵手の瞳――


「フンハッ!」


 蛮声一閃。ガノンの左腕が、鋼鉄機巧の顔面を征す。拳から血を流しつつも、彼はその腕を振り切る。不可思議な液体に手を汚しながらも、ガノンは見事に機巧戦士の顔面を撃ち抜いた。


「…………」


 機巧戦士が、物言わぬままに膝を折る。やはり岩石怪人ゴーレムと同じく、その『目』こそが核をなすものだったのだろう。違いがあるとすれば、崩壊せずに倒れたことであろうか。

 内実は分からねど、敵手は動きを止めた。ガノンにしてみれば、それで十分だった。


「……変わらんな」


 程なくして、蛮人の興味は煉瓦造りの壁へと移った。拳で砕こうにも分厚さが感じられ、行き止まりと考えるのが正しく見える。しかし、ならばなぜ。


「ここまで一本道だったか」

「ええ」


 少女の声に、ガノンは驚く。気が付けば、自称とはいえあの帝室に連なる者が隣に立っていた。そしてガノンに、閃くものがよぎった。


「娘、アレを出せ」

「アレとは」

「おれに見せた、みどりのクリスタルだ」

「は、はい」


 最初は飲み込めなかった少女だったが、即座に指示通りに動き、クリスタルを出す。眩い光が、再びガノンを灼いた。


「壁にかざしてみろ」

「はい」


 ガノンは重ねて指示を下す。これでなにも起きないようであれば、少女をくびって帰る他なし。少女の覚悟に、答える他無し。そう定めた、その時。


「壁が」

「おお」


 少女の声に、蛮人でさえもが息を呑んだ。いかなる隠し彫りの技術か、みどりに照らされた壁が紋章を描いていた。その意匠、蛮人にはわからねど、末裔たる少女にははっきりとわかる。己が血を引く、かの古代帝国ハティマの紋章だ。

 そして壁は、重苦しい音を立てて横滑りを開始した。ガノンの読み通りにそれは分厚く、人の力では如何ともし難いものであった。


「行きましょう」


 ガノンの血に塗れた手に、柔らかいものが触れる。ララ・ウスタ・アリマージュ・ハティマの手だ。汚れたものに、触れてはならぬ。ガノンは剥がそうとした。しかし少女は、それ以上の力で彼の手を引いた。


「貴方がこじ開けたこの扉。わたくしは絶対に先を見るのです」


 ガノンを見つめる彼女の瞳は、今や緑に輝いていた。結局彼は、引かれるがままに道を進んだ。そして。


「わあ……」

「……」


 四半刻も進まぬ間に、彼らの前には純然たる宝物庫が現れていた。

 帝室に連なる少女は、その威容に感嘆の声を漏らした。

 下穿き以外なに一つ持たぬ赤髪の蛮人は、無言のままに宝物を見つめていた。

 ハティマ帝室の宝物は、山の如く積み上がるのではなく、種類ごとに整理されていた。滅ぼした各地の、贅を尽くされた王冠。各地から接収したと思しき、首飾りや宝石の数々。剣だけでなく、槍に弓、盾、薙刀、棒状の武具。

 金銀財宝だけでなく、武器類に至るまでもが、千年を経てなお、整然と置かれていた。


「どうやら、『当たり』だったようだな……」


 ガノンは、手持ち無沙汰に言葉を漏らした。彼とて戦士として、いくつかの遺跡に挑んだことはある。しかし大抵の場合は「ハズレ」だった。例えば盗掘済みであったり、ある時は滅びた都市の痕跡だったり。

 こうして絶大なる宝物に行き当たったのは、初めてのことだった。


「はい。しかし……」


 ハティマの少女は、顔を曇らせた。明るい声色に、わずかな陰。ガノンには、その理由が見えていた。


「アレの装備から袋をさらうにせよ、足りんな。盗賊に狙われもする」

「はい……」


 そう。此度の宝物は、あまりにも絶大過ぎた。二人で少々さらうにせよ、目立てば盗賊や他の商人に狙われる。少女の顔は、ますます曇った。そこでガノンは、経験からの選択肢を差し出した。


「証拠として少量を頂戴し、いずれ専門の者を連れて戻って来る。それしかあるまい」

「そう、ですね……」


 ララは、名残惜しげに宝物庫を見た。しかしガノンは気付いている。彼女の懐には、すでに少量の宝物が納められていた。とはいえ、本当に最低限度なのだが。


「戻るぞ。外が何刻かは知らないが、おれたちはここに長居しすぎた」


 ガノンは、少女を促した。しかし少女は気付く。ガノンはなに一つ、宝物庫の物を手にしていない。報酬として差し出すと、最初に提示したはずだが。


「あの」

「なんだ」

「宝物は。報酬として……」

「ああ、それか」


 少女の言を遮り、ガノンはスタスタと宝物庫を出た。すでに倒れた機巧戦士が、力なく剣を取り落としている。彼は抜身のままのそれを拾った。


「これが悪くなさげなのでな。どこかの街で鞘を仕立てる。そして」


 蛮人は続けて、近くに捨てられていた槍をも拾った。黒き剣に、黒き槍。二つの武具を手に、彼は至極真剣に言った。


「娘。おまえを近くの街まで送る代わりに、この槍も頂いていく。売れば、鞘の足しにはなるだろうよ」


 財宝か、死か・完

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