暇：想像日常劇場

執事のばあや

クラス内お嬢様率が世界で見てもトップクラスに低いであろう私のクラスの唯一のお嬢様。お嬢様といっても、ｵｰﾎﾎﾎみたいな裕福家庭特有の草の生やし方はしない、ちゃんと人ができているお嬢様だ。

でもお嬢様なので、少しだけ人と違うところがある。使用人がいること。身の回りの世話や送迎をやっているんだろうなとは思うのだけど、私には気になる点がある。

彼女の使用人は高齢の女性なのだ。

…別にいい。ちょっと気になるだけで。

相場は『じいや』なんじゃないのと思うだけで。

『ばあや』はいても外に出るタイプじゃないんじゃないかって。家の中のイメージなだけで。どうしてもキッチンでご飯を作っているイメージがあるだけで。

送迎の瞬間を見ることがある。長めのリムジン。それを運転する『ばあや』。

お嬢様、お待ちしておりましたよ。と言わんばかりに、かけていたサングラスをクイッと頭上にあげて、ウインクをするのだ。

…別にいい。ちょっと気になるだけで。

おばあがするには、少々格好つけすぎだなぁと思うだけで。自分に酔っているのも少しばかりあるんじゃないかと邪推してしまうだけで。

そもそもオープンカーでやることなんじゃないのと思うだけで。一旦窓を開けるくだりが、ダサさをプラスしてしまっているのではないかと思うだけで。

『ばあや』は今日も、お嬢様と共にやってくる。私は私でなんやかんや気になってしまうので、ファンクラブとか出来るのも時間の問題かな。

…出来ないか。さすがに。