第8話

――1限目終了後


「次、数学小テストだけど大丈夫か?」

「えっ?そうなの?全然勉強してない……」

「……さちはいつも数学100点近く取ってるから大丈夫だろ」

「まあね。数学は得意だよ」

「数学得意って羨ましいよ。俺は70点くらいしか取れねーよ」

「全然いいじゃん!私、理科とか低いとき60点だよ?」

「ははっ。さちでもそんな点取るんだ」

「何それー」

理科嫌いだもん。でも数学は得意なんだよなぁ……。将来文系と理系、どっちに進むべきなのやら……。



――小テスト終わり


今回のテストはケアレスミスがない限り100点の自信ある。ケアレスミスありませんように……。

「終わった、色んな意味で」

「そんな?」

「最後の方分かんなかったし……。さちはできるからそういうことが言えるんだよ」

「えー……じゃあ後で教えてあげよっか?数学」

「えっ?いいのか?」

「そ・の・代・わ・り!私に理科教えて!得意でしょ?」

「……まあな。おっし、教えてやるよ」

「やったぁ!ありがと!」

ふっふっふ〜。何気なく勉強デートに誘うことに成功。楽しみだなぁ……!

「いつがいい?」

「今週の土曜俺練習試合あるから、日曜とかどうだ?」

「大丈夫だよ!」

練習試合かぁ……。見に行ってみたいけどさすがに無理だよね……。

「土曜の練習試合、来るか?」

「えっ?」

「顧問に許可取れたら、だけどな」

「……行きたい、けど……逆にいいの?」

「いいんだよ。……さちに俺のかっこいいところ、見せてやる」

「……!」

かっ、かっこいい……!あぁ、顔赤くなってるかも……。恥ずかしいじゃん、こんなこと言われたことないし……。

「さちー!後輩ちゃんが呼んでるよー!」

「えっ?」

「さちせんぱーい!」

あれ、桃香じゃん。最近めっちゃ教室に2年生来るな。


「どうした?桃香」

「大変です!大事件です!先輩、明日は部活来ない方がいいですよ……」

「え、なんで?」

「実はですね……あの先輩が来てしまうんです……」

せっ、先輩……?!それは大事件だ……。それはよくない報告だよ桃香……。

「えっ……と、前の部長……?」

「その通りです、残念ながら……」

まじかぁ。これは明日行ったら死を覚悟するしかない。これは行かない方が身のためだけど……。

「どうしましょう、先輩……」

「……」

どうしよう……。でも行かなかったら行かなかったで陰口言われそうだなぁ……。そしたらあの入ってくれた1年生たちを失望させてしまうかもしれない……。

「……行くよ、明日」

「えっ?!さち先輩……行かない方が……」

「行かないと陰口言われるかもしれないでしょ?そしたら立ち向かうしかないっしょ!」

「先輩……。いざというときは私がお守りしますからね!今度こそひるまないように心を強くしていきます!」

「ははっ、ありがとね。じゃあ、また部活でね」

「はい!」


あんなこと言っちゃったけど……。大丈夫かなぁ、私。度胸なんかないし、人見知り絶対というほど発動するだろうし……。どうしよう……。

「なんかあったか?後輩と」

「えっ?あ、いや……」

「言ってみ?なんかいつものさちじゃない。悩んでる顔」

悩んでる顔……?そんな顔に出る?私……。

「……明日の部活に、苦手な先輩っていうか……。前の部長が来るんだよね……」

「どういう感じなんだ?」

「えっと……。……色々嫌なこと言われる……。私だけに言うんだよね、嫌味、みたいなこと……」

「はあ?そんなん俺が成敗してやる」

かっ、かっこよすぎるまじで……!

「……心強い。ありがとう」

「まじで成敗してーから一緒に行っていいか?」

「えっ?いや……それは……」

壮良くんも一緒に行ったら壮良くんまで巻き込んじゃうことに……。それは……それだけは……嫌……。

「……来ちゃだめ……。壮良くんが来たら、壮良くんまで先輩の目の敵にされちゃうから……」

「……そんなんどうでもいいよ」

「えっ?」

「さちの先輩の目の敵にされたって、俺はさちを守れれば、それでいいから」

「……!……ありがと」

まじでかっこいい……!……でも、こんなことしていいのかなぁ……。

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圧が強い演劇部部長がリア充になった件について もぉるる @moruru225

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