第23話 性癖混濁

 自分の性癖が分からなくなってきている。楓に洗脳されているのであろうか、最近彼女に嫉妬されるとつい嬉しくなってしまう。


 百合風味の近親ショタ味―――


 新発売の『う〇い棒』のキャッチコピーにどうだろうか? いや、が〇がり君でもいいや誰か売り込んでくれ。


 うちの家族は少し変わっていて両親共に仲が良く、何時まで経っても恋人気分で所構わずイチャイチャしてた。お蔭で子供達はほったらかし。寂しさを埋める様に兄弟が依存しあって育ってしまった。


 その結果、兄は妹を溺愛し、何を犠牲にしても私に尽くしてくれた。然しその関係も長くは続かず、末の弟が生まれた事で終わりを迎えた。


 ―――そう


 私の興味が兄から弟へと移り変わってしまったのである。兄は嘆き悲しみ苦しんだ、何度となく刺客の暗殺者おもちゃおくり込んでは末弟の興味を私から引き離そうと暗殺を企てた…… 


 骨肉の争いである……


 そんな兄への不信感が募った事件がある。あれは忘れもしない私が中学1年の頃、4つ上の兄が高校生になった頃の話だ。幼児期よりボディタッチが多かった事もあり、余り気にも止めなかったが、今思うとそれが偏愛の予兆であったのかもしれない。


 脱ぎたてのパンティを洗濯機にぶち込みシャワーに入った。洗顔フォームを忘れガチャリとバスルームの扉を開けると、


―――兄がパンティを被っていた……


 これは今流行りのヒーローのものまねだよ、どうだい驚いたかい? あはははと人のパンティ被ったまま出て行った……どげんかせんといかん。


 多分兄は私で確実にイタしている。悶々とイタしちゃっている。間違いない。おぉ神よ彼を救い給え。


 結果、私は兄と距離を置き、私は弟に何とも思われていないと言う組織図が出来上がった。きっと兄は私の貞操を狙っている、そして私は弟の筆を狙っている、なんだこれ。おぉ神よ兄妹達を救い給え。





「すみません、いちかさん、初回本指名先頭打者ホームランなんですがいいですか? 」


「はい? 初回で? 雑誌からのお客さん? それとも紹介? 」


「いえ、どちらでも無いのですが…… それがその、俳優の氏家直樹さんなんです」


 氏家直樹うじいえなおきとは、最近の恋愛物ドラマで人気急上昇中のイケメン俳優でT〇itterのトレンドでも名前がバンバン上がる程の若手実力派俳優だ。


 戦々恐々と困惑し、席に案内され引き攣った笑みを見せ挨拶する。


「はっ、初めまして。いちかと申します」


 店内のキャスト冒険者が騒めき悲鳴も聞こえる……


「やぁ、久しぶりだね元気だった? 」

イケメンが肩を抱きしめ顔を覗かせる……


 ―――ちょっ⁉





「いい加減にしてよ、お兄ちゃん」

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