第22話 人には言えない事が有る

 私には隠している秘密がある。このお話を最初から覗き見していた方達の中には気付いている人も居るだろう……


 そう―――


 私は究極の弟萌えなのである。サッカーボールを汗だくで追いかけるあの無垢な姿はまさに子犬そのものであり天使だ。そして半ズボンとTシャツからなる日焼けの卑猥な跡…… わざとドカンとボールを遠くに蹴ると、必死で取りに行く。


 たっ堪らん!!


「おねいちゃん、あのね」


 ボスンと膝に勢いよく体当たりをしてくるとキラキラした上目遣いでご機嫌を伺う。何万回とちんちんを洗ったからでは無い、私の母性があらぬ方向に進化派生しただけだ、所謂、突然変異の亜種である。


 ―――人はそれをショタと呼ぶ……

 

 そんな弟は7つ違い、もう直ぐ13歳になる。13歳になればそろそろ異性に興味を示す頃だ、はぁはぁ……そろそろおねいちゃんの出番かしら? などと脳内の革命家達が事を起こせと急き立てる。


 ―――ジャン〇ダルクにワイは成る!! ゴ〇〇ムのぉ~


「ねえ、いちかちゃん、どうしたの? それよだれ? 」


 珍しく久しぶりにお茶っ引き待機場場で腰を下ろしていると、まだいたのかお前、ピンク色の頭をしたお花畑姉ちゃんに話しかけられた。息長いねあんた、その方がビックリなんだけど。ノルマとかどうしてんのよ?


「あっ、ごめんね。ちょっとお腹すいちゃってぇ」


「あはは、すごいねぇ、お腹減って涎流す人なんて漫画だよ? 」


―――漫画はお前の頭でごじゃる。


 彼女はリリアちゃん。興味が無いのでツムツムとピンクしか情報が無い。ノルマが達成出来なければ自然と自主的に2か月程で退店していくのだが、かれこれ彼女と知り合って3か月以上…… どうやってノルマをクリアしているのか興味が沸いてきた。


「ねえ、リリアちゃんてさぁ、ノルマどうしてるの? ペナ発生してる? 」


「発生してないよ~ いつもギリギリだけど、お願いするとみんな来てくれるからぁ」


「え~、最近私なんてお願いしても来てくれないよぉ」


「お願いの仕方じゃないかなぁ…… 」


「ふぅ~ん、何てお願いしてるの? 」


「え~とね、この前のホテルのディナー美味しかったね? 奥さんにも教えてあげてもいい?って」




 

 まくらでござったか……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る