第18話 愛の重さ

 楓の癖の強さにも慣れて来ていたが、そのせいで思わぬ敵を生んでしまう事になってしまっていた。この店には私のせいで別れた楓の元カノがまだ在籍中である。何て事だセニョリータお前ヤリマンだったのか。


 家では、お姉ちゃんと言わされ、セクハラ最中はお姉様と呼ばされ、仕事中はお姉さんと呼びなさいと躾けられた。呼び方に萌えが発生するらしい、厄介な性癖だ。


 今日のセクハラはハイこれねと、お股がぱっくり開いた下着とガーターベルトのセットを履かされた、しかも見ている前で。これやばいだろ、今日は珍しくスライムが来店予告をしている日だ、よりによってこんな日に貴様も何故にやって来る。


 トップランカS級冒険者ー達の指名数は、月に軽く150本以上。場内指名を入れたらそれこそ数え切れない。そして恐ろしい事に、そのトップランカーの中に楓の元カノも鎮座ちんざしていた。


 おおぅ神よ! どうしてそんな大事な事を先に言ってくれなかった。

楓を睨み返すと嬉しそうにウィンクする。だめだこりゃ。


 ボーイが豚1頭のご案内ですと私に告げると、スライムの間違いだろと言い返す。ケタケタと男の子と笑っていたら、遠くのテーブルから殺気を感じた。


 ―――愛が重すぎる……


 多分明日から来なくていいよと言われてしまうボーイを他所に、養豚場へと繰り出した。


 


 色々ごめんねみんな、笑って許して。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る