記憶を持ったまま生まれ変わる。
その奇妙な特性を手にした男・ガッロルは、
天界が導入した制度『Lv.化政策』に従い、
魂の経験値を稼ぐことだけを目的に、転生を繰り返していた。
無難に生き、地味に働き、目立たず死ぬ。
それが経験値効率の最適解だった。
だが、今世だけは違った。
騎士団長として仕える王国で、
王女誘拐事件に巻き込まれた彼は、
単騎で敵地へと潜入し、命を賭して王女を救い出す。
瀕死のまま砦へ帰還し、仲間に託す最期のシーン。
いつも通りの周回のはずだった人生が、
わずかに、確かに、違っていた。
そして霊界へ向かう旅客機。
魂の回収路線の中で、
乗務員の目に映った異常な存在感。
ガッロルという名が、静かに天界の目に留まり始める。
これは、経験値を求める者が、
自分でも知らぬうちに特別な存在になっていく物語。
主人公ガッロルくんの『レベルオタク』という設定を活かし、しかも転生前の記憶もあるという特別感……だからこそ天界の「転生課」(!?)で騒ぎにもなるのですが、登場人物が誰も彼もユニークで面白い!
主人公の相棒的存在、妖精の姿のアルちゃんが「事情を良く知る会話相手」として一緒にいてくれるので話が分かりやすくテンポも良くなり、かつ狂言回し的に話を進行させてくれる、ありがたい存在……。
個人的に、途中から「不死鳥フィオナ」という第三者の立ち位置から主人公たちを観察し、面白おかしく「主人公&アルちゃん」の魅力を解説してくれるので、よりキャラクターに愛着を持てる物語づくり、お見事!
ユニークなキャラクター目白押しで、テンポ良い会話が非常に楽しい「転生モノ」……オススメです!