第2話 デスゲームって何よ

さて、俺がやるのは帰還者のアフターケア。

その為には色々と根回しする必要が出てくる。

と言うわけで、異能が隠されたいる現代世界の特異機関への接触は必要事項だ。

その隠蔽ノウハウは是非とも利用したい。

「さぁて、事前調べだとここらにいる筈何だが。……っと、あれか」

探すまでもなく、そいつは俺の視界に入った。

御伽噺おとぎ災禍さいか

八つの罪業と呼ばれる現代日本最強の少年。

陰陽庁所属で、現在の日本は彼のワンマンである。

(お、目が合った)

そう思った直後、御伽噺災禍が消えた。

「オレに何か用か?」

横から声をかけてきた。

「あぁ、アンタに用がある」

これは傲りは捨てた方が良いかも知れんな。

結構強そうだ。

「ちょっと知り合いが面倒事に巻き込まれそうでな。アンタと言うか、陰陽庁の権力ちからを借りたい」

陰陽庁は非公式ではあれど国家直属の組織だ。

日本においての影響力は言わずもがな、御伽噺災禍と言う力を保有している事で世界に対してもそれなりの影響力がある。

「ふぅん。具体的には?」

「俺が行う行為の隠蔽」

「それは頼まれなくても、こっちが困る事ならやる。アンタあれだろ?セイクリットとかアンジェシカとか、やる事が滅茶苦茶なタイプの強者やつだ。まぁ、事前にこっちに言ってくれただけマシさ」

そんなまるで自分が滅茶苦茶じゃないみたいな。

「ご謙遜を。流石の俺も、アンタがいちゃあ好き勝手は出来んさ。まぁ、お目こぼし頂けると助かるよ」

そんな訳で、俺とこの世界の最強の一角との初対面はなんらアクシデントなく済んだ。


◆◆◆


さて、後この世界でヤバい組織と言えばキリスト教ヴァチカン魔術師協会アメリカだが、そっちへの対処は追々で良い。

世界に名が轟く程暴れる予定は無いからな。

今のとこは。

で、なんだが、

「デスゲームって何?」

いや、SA●とか、神様の言う●り色々と勉強はしたが、かと言ってどうやって止めたら良いのやら。

と言うか、種類多すぎである。

VRゲームとかのSF系、超常の存在に遊ばれるタイプのデスゲーム、金持ちの道楽系。

猟奇的殺人犯的なのが、「ゲームを始めよう」って感じのセリフ吐くのもあれ一週回ってデスゲームだろ。

取り敢えず、帰還者達の行動パターンから分析してどこら辺に出るか宛をつけるか。

四條は確かプロレスラーから転職して農家やるって言ってたな。

アウリアは映画監督だったな。

他二人は学生で行動圏は彼らの県から出ること自体が珍しい。

四條もパチ屋と畑と家くらいだ。

アウリアは唯一ハリウッドとかで海外にも行動圏が延びてる。

この中だと巻き込まれそうな面子は学生二人とアウリアか。

「……学校周りに張るか」

まぁ正直、莉音は兎も角、竜崎が超常の存在にせよ、金持ちの道楽にせよ、猟奇的殺人犯にせよ、引っ掛かる未来が見え……あっ、ゲームなら引っ掛かるな。

(……だとしたら、ゲームである可能性が高い)

ノアは、全員が巻き込まれるとは言っていないが、強き者に強き因果が廻ると言った。

なら、帰還者組で最も強い奴が真っ先に巻き込まれる事は十分あり得る。

「なら、ゲームか。最新のゲーム情報、調べて見ますかねぇ」

考えを纏めて、俺はそのカフェを出た。


◆◆◆


カフェで朝飯を済ませた俺は、大学へと向かう。

門をくぐり、朝早くから大学へと来た学生達の雑踏に紛れて自身が受講している授業の教室へと脚を向けた。

「ここか」

そう言って扉を開けると、まばらながら人がいた。

まだ授業開始までかなり時間があるが、どうやらこの国の学徒は生真面目らしい。

(感心感心)

前の方に空いている席を見つけて座る。

(前回の復習でもしておくか)

ちなみに、俺が受けているのは世界史の授業だ。

その他もろもろの学問は目新しくはあれど此方の世界にも似たような技術が合ったので大体解るが、歴史はそうはいかない。

まぁ尤も、此方と彼方の世界の人間の思考パターンはそこまで乖離している訳でも無いらしい。

だが、人と人とのいさかいはこの世界の方が多かった。外敵の有無だろうな。いや、此方ではその外敵が同じ人間だっただけの事か。

「隣、良いですか?」

黒髪黒目の女子生徒が賑かな笑みを称えて聞いてきた。

勿論どうぞ

特に断る理由は無いので了承する。

「ありがとうございます」

その女子生徒は、異様な雰囲気を纏っていた。

(なんだコイツ…。性質が極めて神霊に近い。しかしちゃんと人間だ)

身体組成が神霊と言う程でも無いが、完全な人と言うにはあまりにもその性質が光に偏っている。よくこれで人を保てるものだ。

「あの、私に何か?」

「あ、すいません。御綺麗だったもので、つい」

見すぎたな。

失敬失敬。

「ふふ、ありがとうございます」

普通、初対面の奴から見つめられたら引くと思うんだが、この対応はおそらく慣れてるな。

同じような経験があるのだろう。

まぁ、それもそうだ。

なんと言っても彼女は百割光みたいな人間だ。

常人なら、彼女といるだけで浄化されてもおかしくない。

まぁその分、悪霊的なのがより付きやすそうだが。

と、そんな事を考えている間に学生達が揃い始めた。そろそろ授業か。


◆◆◆


「ちょっと良いですか」

授業を終え、次の教室へと向かう最中、先程の彼女に声をかけられた。

「何ですか?」

作り物の笑顔を張り付け、周りの男どものヘイトを買わないよう勤めながら会話する。

先程の授業中もそうだが、彼女への視線は少し辟易する程多い。

今も、俺にお門違いな敵意が複数向けられている。

救いなのは、殆どの視線は彼女への恍惚であり、俺への敵意は数少ないと言う所か。

まぁ、所詮は一過性の敵意である、この会話が終われば自然と消える。

「はい、さっきの授業で分からない所があったので教えて欲しいんです」

人の良さそうな笑みを浮かべる女生徒。

ふむ、おそらく彼女に悪意の類いは無いので教えても構わないが、周りの目が面倒だな。

「さっき教授が出ていったばかりなので直ぐそこにいると思いますよ?」

事実、少し速く歩けば十分追い付ける所にいるからな。

そんな時、こんな声がぼそっと聞こえた。

「アイツ、わらべさんのお願いを無視する気か?」

それは、俺にお門違いの敵意を向けていた者だ。

(うわぁーメンドクセェー)

話すのも嫌、いざ別の方法を提示すると文句を言う…もうお前が教えろよ。

しかも、別に断った訳じゃなく、彼女の願いと俺の願いの両方にそる形での解決方法を提示しただけだし。

たく、これだからバカは。

「えっと、その。ごめんね?」

小声でそう言って彼女は教授の方へと小走りで去っていく。

少しの罪悪感だ。


◆◆◆


「……学校で俺に関わるなって言ってたよな?」

高校の廊下で、竜崎が隣を歩く莉音に文句を言う。

「しょうがないでしょう?東雲祭しののめさいまで時間がないんだのも。備品を手配している時間が無いから、手伝ってよ」

東雲祭とは、莉音と竜崎が通う東雲高校の文化祭である。

私立であり自由な校風が売りな東雲高校の文化祭は、全国でも五本の指に入る程の盛り上がりを見せる。

予算は数千万とも、億とも言われるかなり大掛かりな祭りだ。

そして、莉音は東雲高校の生徒会長であり、その準備を任されたいるのだ。

「実は、スタントマンをやってくれる予定だった運動部の生徒がケガをしてしまって。ケガ自体は大した事じゃないんだけど大会も近いから辞退するらしいの。だから、スタントマンやってくれない?」

キャルルン!と、上目遣いの莉音に軽蔑の目を向ける。

スタントマンとは、おそらく東雲祭の花形メインである東雲高校演劇部が行う演劇に出る危険度の高いアクションの代行者の事だろう。

しかしまぁ、これも一定の基準が求められる訳で。

もう東雲祭まで時間がないこの時期では新たな人間を探している時間がないのだろう。

「お前やれよ。ほら、さらしとか巻かなくても大丈夫だからアクションに支障は無いだろ?」

………………テメェの頭には支障があるらしいな?

おぉっと、凄い殺意だ。

「冗談だ。詫びにスタントマンはやるから許してくれ」

「良いわよ♪︎」

上機嫌になったようだ。

(まぁ、うちの学校こういうイベント事の運営やってるとその手腕も評価対象だからな)

「あ、これ練習日の予定表」

渡されたそのプリントに書かれた予定には、

空白が、無かった。






キャラクター


八つの罪業 御伽噺災禍

現代日本最強とか言われているが、こいつが生まれたせいで聖者が生まれて、それらに対抗するためにペンタゴンが元はイギリスにあった魔術師協会を取り込んで天稟の魔女を作った。

つまり、現在の世界の裏社会環境を作ったきっかけである。

身体能力は破格であり、単純な腕力だけなら竜崎をも上回る。

その他の多様な才能に富んでいて、それら全てが人類最高の才能である。

誰が言ったか、最悪の理論値個体。

七つの原罪全てを背負い、それを背負った自らも原罪人類の悪性、その八つ目と定義しておきながら、それらの精神干渉を意に介さぬ驚異の精神メンタルを持ち、間違いなく精神だけなら作中最硬を争えるレベル。

因みに、競争相手は生まれた瞬間魔法師教育機関にぶちこまれ育児放棄されたにも関わらず大して気にせず後から出てきた親面に中指立てて唾吐いた後に連れてきた奴もろとも滅龍クラスの魔法で焼いた奴だったり、自分の世界から閉め出された挙句万年単位の孤独を魔法研究に使ったにも関わらず全く精神にも実力にも衰えが見えない魔女だったり、思春期真っ只中に異世界に召喚されて価値無いよされた後英雄にまでのしあがり徹底的に復讐ざまぁした後ついでに世界救った前作主人公みたいな精神の奴だったり強敵な模様。




莉音・花邑・ローズ

金髪ツインハーフの残念系美少女。

召喚前は物憂げな美少女(竜崎談)だったが、召喚後は色々とやらかしてる。

一応フォローするなら、エルフの国での血ミドロ逆ハー事件は、全てエルフの男から言い寄られたもので、最初の彼女はマジで物憂げな美少女だった。ただ、元の世界では中々のお嬢様であり、その抑圧された環境から解放された所にイケメンから言い寄られた(婚約済みとかの情報はしらない)なので、同情の余地があると言えば……ギリギリ極刑ではない。

なお、本人は根っこまで箱入り娘で小学生レベルの下ネタでも顔を赤くするため、ルトからは「箱入りババア三十路喪女」などと言う非常に不名誉極まるあだ名を付けられた事がある。

戦闘スタイルはいわゆる魔法剣士であり、ソロでもそれなりに戦えてそれなりに強いが、最強格には数分持てば良い程度の実力(※強い)。

なお、処女である。

と言うか、例の逆ハー事件がトラウマ化して言い寄ってくる男全般に拒否反応を示す。

アウリアからは出会った当初はマジで「ガバマンアバズレ糞売女」「強奪愛」「逆ハー」の三倍役満の頭がトんでる女だとマジで思われていたが、事の経緯を知って爆笑された。処女だと知ったら「処・女・ビ・ッ・チ!?待ってもう無理腹痛いwwww」と更に爆笑された。

なお、「喪女」は結構刺さってたりする。



設定


東雲高校

都内有数の進学校だが、三年から本気出すな奴が多い。結構な頻度で頭おかしい天才が居たりする。

アウリアの母校でもある。




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帰還者達のアフターケア~俺の友人にちょっかい出さないで貰えますぅ?~ あじたま @1ajn

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