第10話 一番ややこしい相手にバレてしまった

「ねぇ、なんで、陸くんはあなたがすきなの?」


「そんなのは本人に聞いたらどうでしょう?」


「…ちょっとした噂を聞いたの。今でこそ誤解は解けたけど、最初、陸くんが、貴方の…“杏花のおっぱいは俺のもの”的な発言をしていたらしいの。それは、一体どういう意味かしら?」


(ほらきた…)


「それは、誤解が解けたように、誤解だっただけだよ。菊池くんは口下手でね、私と付き合う理由を、あんまりうまく説明できなかったみたい」


「そうなんだ。でも、本当は、どうなのかしら?」


「…どう、なんでしょうね?」


杏花は不敵な笑みを浮かべ、結衣の前から去って行った。


「ちっ!あのおんな!絶対陸くん、私のものにしてやる!!」




*****



(ひ!きょ!今日は股!?なんっつー卑劣な痴漢!!うぅ…本っ気で気持ち悪い!!)


ドスッ!!


「うげっ!」


バーコード頭の気持ち悪さ1000%の油コテコテの頭のおっさんが、口から唾を吐きながら、お腹を抱えた。


「おっさん、痴漢慣れしてんな。ここまでくると、怒り通り越して、〇したくなるわ…。ちなみに、このおんな、おれの彼女だから、今までの罪全部吐いて、刑務所に入るんなら、〇すの、勘弁してやるけど、どうする?」


「…全部言います!!言いますから!!〇さないでください!!」


情けなく、みすぼらしい、何ともなりたくない大人の見本みたいなおっさんだ。




*****




むぎゅ!!


「ひっさしぶりー♪」


「…私は嬉しくもなんともないんだけど?」


「まぁ、そうだろうな…今日のあいつは最低だ」


「だね。あれは気持ち悪かった。あんなこと、いっぱいされた女の子がいたんだね…。許せない!」


そんな会話をしていると、こともあろうに、が、何処から付いて来ていたのか、突然話しかけて来た。


「へー…。2人って、結構破廉恥なのね」


「「!!」」


北校舎の渡り廊下…こんなマイナーな場所、転入して3日目の結衣が、知っているとは、思いもしなかった。陸はもちろん、さすがの杏花も、一瞬言い訳を探すのに、あたふたした。


「…知られたら、仕方ないね。これは、2人の秘密なの。あなたにも、秘密にしておいて欲しいわ。あなたのすきな、菊池くんを変態にしたくなかったら」


「良いわよ。でも、条件がある。私に、陸くんを頂戴」


「「は!?」」


「私、陸くんがすきなの。どうやら、陸くんはおっぱいがすきらしいから、私でも、多少、癒してあげることが出来ると思うの。陸くんは、おっぱいが触れれば、それで良いんでしょ?だったら、別れて」


「ふ…。結衣さん、あなた、本当に頭が悪いのね。菊池くんはおっぱいがすきなんじゃない。おっぱいがすきなの」


「は?一緒でしょ!?」


「違う」


「…ち…小さい…から?」


「はい?」


いきなり、小さくなった、結衣の声に、わざと大きな声で聞き返す杏花。


「私の胸が、姫野さんより小さいから!?」


「…ふ…ふふふ…。あなたは、可哀想ね。そんなことも解らないの?菊池くんは、私のおっぱいだけでなく、がすきなの。私が、なのよ!!」


「!!ほ!本当!?陸くん!?」


「うん。なんも間違ってない。すべて、杏花の言う通りだ」


「…!!」


「で、思い通りにならなかったから、私たちの関係、バラすの?弱みを握ってまで、菊池くんを奪おうとした、陰湿な、菊池くんの追っかけ女さん?」


「!!」


くちびるをギュッとして、結衣は言った。


「このことは黙っててあげる!でも、陸くんのことは諦めないから!!」

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私のおっぱいは菊池くんのものなんで @m-amiya

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