第9話 おっぱいにおっぱいを
「初めまして。
4組に、転入生が来た。その子が、問題の火種になることになるとは…、私には、何となく、分っていた―――…。
「おぉ―――!!」
男子生徒が、雄たけびを上げる。その女子は、制服のスカートをこれでもか!と短くし、多分、Fカップはあろう胸を(私、つまり、姫野杏花には遠く及ばないが)、ユラユラ揺らしていた。
さてさて、困ったことに、この響結衣、どうやら陸に目をつけたらしいのだ。そして、運が悪いことに、席が隣になってしまった。
「こんにちわ♡あなた、なんて言うお名前?」
「菊池陸」
「陸くん!素敵なお名前♡仲良くしてね♡」
「………どうも」
「あっれー?なんか冷たいねー、陸くん。私、あんまり男の子に冷たくされた事ないんだけどなー」
「あっそ。そうなんだ。そらよかったね」
「………」
結衣は、何となく分かったらしい。この人には、すでに、彼女がいる…と。そして、そのとうの彼女を探すのに、時間はかからなかった。
「結衣ちゃん、俺、結衣ちゃんの彼氏候補に立候補!!」
「はぁ!?お前、結衣ちゃんの結衣漢字で書けんのかよ!!」
「書けねーよ!だからなんだ!!」
「なら、すきなる資格はねぇ!!」
「お前こそ意味わかんねぇ邪魔すんな!!」
お昼休み、教室では、結衣の歓迎会が開かれていた。…と言うより、ハーレムが築かれていた。
「…ねぇ、陸くんは?姿が見えないけど…」
「「「あぁ…あいつなら、この…この…」」」
「この…?」
クラスの男子が拳を握り、体をぷるぷると震わせ、わなわなとくちびるを動かし居場所を伝えた。
「「「あいつなら、7組の超絶美人、超絶おっぱいの姫野杏花ちゃんと屋上でお昼ご飯を食べている所だろう…」」」
「…姫野…杏花…さん」
そう呟いた、結衣の目は、きらりと光った。
「今日、転校生来た」
「うん。知ってる。どんな子?」
「なんか、色っぽい子」
「…それは心配だね」
「だれがだれを心配するの?」
「私が菊池くんの心配をするのよ」
「なんで?」
「もう、噂で聞いたわ。とても可愛くて、胸も…おっぱいもあるそうね」
「あぁ…なんだ。それか。安心しろ。杏花の方がでかい」
「…そう言うと思ったよ」
「なら良いじゃん」
あっけらかんと、ご飯の続きを食べる陸。
(確かに…菊池くんのことは、大して気にしてないんだけど…なーんか嫌な予感が…するんだよねぇ…)
その予感は、見事当たった。
*****
放課後、帰ろうとして、下駄箱で靴を履き替えていた杏花に、後ろからお待ちかねと言わんばかりに、お呼びがかかった。
「あなたが姫野杏花さん?」
「…あぁ、響結衣さん…だったっけ?初めまして。クラスにはもう馴染めた様ね」
「うん。まあね♡」
(…この子、語尾に♡つけてそう…)←つけてます。
「ねぇ、杏花ちゃん、陸くんと付き合ってるって本当?」
「まぁ…。そうなるね」
「じゃあ、これからは…ライバルね♡」
(…やっぱり、この子、語尾に♡つけてそう…)←つけてるんだ。
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