第375話 キャラとしての思考ー創作論
仕事もプライベートもちょっと忙しい状態が続いている今日この頃ですが、MVが炎上してしまったアーティストのニュースはちょっと注視していました。
と言っても、そのMVを見に行ったりはしていないのですけれど(汗)
関連するネットニュースの記事をいくつか読んだ程度。
アーティスト含め制作陣としては差別的・歴史の悪い面の肯定をしたいわけでは無かった。
でも、そうとられてしまう物を作って公開してしまった時点で責任は免れない。
アーティストの直接説明があったし、MV公開停止、タイアップも棚上げでほぼほぼ終わった感はありますね。
まあ、芸能事務所やタイアップ元企業がもうちょっと事前にチェックできたはずでは?というような疑問はまだ残っていますが、その辺りはまあさておき。
作詞・作曲ではないですけれど創作している身としては考えさせられるニュースでした。
つまり、「他人からどう見えるか」は考えながら創作をしていかなければいけないなと。
素人物書きには事前チェックしてくれる編集さんもいませんしね。
以前も『第245話 自分のことは自分が一番知らない』で書きましたが
自己評価ってのは大体他者からの評価とはズレてることが多いわけで。
https://kakuyomu.jp/works/16817330655235177535/episodes/16817330667800795019
自分が「こういうつもりで書きました」ってのを他者からそう受け取ってもらえるかどうかは難しい。
話はちょっとズレますが、TRPGのゲームマスターの経験談として
『プレイヤーキャラクター達に必要な情報を与えたいから、都合よく必要情報を何の代償も求めずに話してくれる情報通キャラを出したのだけれど、プレイヤーたちがそのキャラのいう事を信じてくれない。
情報通キャラが情報料としてお金を求めるようにしたら、信じてもらえるようになった』
というのが時折あるのですね。
ゲームマスター側からすると、
(コスト無しで正しい情報を与えてるのに、なんで信じないんだろ? まあいいけど)
と不思議に思う事が多い様子。
でも、プレイヤー側からすると
(突然現れて、何故か自分たちに必要な情報をペラペラと話してくれる人。一体こいつは何を考えているんだろう?
もしかして、偽情報を話して自分たちをハメようとしているのでは?
それなら、無料で全部話してくるのも納得できる!)
とこういう思考の結果として疑ってるのですね。
色々な作品に触れてきたプレイヤーほど、お助けキャラっぽい奴が実は裏切者だったという展開も知っているので、こういう疑いを持ちやすい。魔法少女のマスコットだと思ったら黒幕だった作品とか一時期すごく人気でしたし。
そこで、情報通キャラがお金を求めるようになると、
(こいつはお金が欲しいからこの情報を話しに来たんだな)
と納得し、疑わない。
TRPGのゲームマスター/プレイヤーと小説の作者/読者はちょっと違う関係性ですが、ゲームマスター⇒作者、プレイヤー⇒読者が近いと言えば近い。
作者として物語を進めるために読者に提示しておくべき情報はあるのですが、その情報の出し方もよく考えておかないと、読者が
「なんで主人公たちはこんな胡散臭い情報を信じてその通りに行動するんだろう?」
と疑問を持ってしまい、物語への没入感が薄れてしまうということはあると思います。
他山の石としてなるべく気を付けていきたいところですね。
……いくら考えたつもりでも穴があるときはあるのが怖い所なんですが。
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