第245話 自分の事は自分が一番知らないー創作論
心理学の世界で「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれるものがあります。
ダニングさんとクルーガーさんによる研究で、『実力の低い人は自分の実力を過大評価する傾向がある』という認知バイアスがあるというお話。
これに対して、
「実力と自己評価をランダムに設定して、ダニングらがやったようにグラフ書くと、同じ結果になる。つまり、『実力の低い人は自分の実力を過大評価する傾向がある』とは言えない」
という反論がバズったのですが、その再反論として
「もし、人間がみな自分の実力を客観的に評価できる設定して、ダニングらがやったようにグラフ書くと、全く違う結果になる。つまり、『人間がみな自分の実力を客観的に評価できない』んだよ」
というのが出てきたそうで。
私としては、表現の仕方の問題じゃないかなと。
『人間がみな自分の実力を客観的に評価できない』から、実力の低い集団の中にも「自分は凄く実力がある」と思う人もあれば「自分は全然実力がない」と思う人もいるわけで。
そうすると、集団全体の平均としては「自分を過大評価しがち」となるわけですね。
実力が中くらいの集団は平均すると「自分の実力と自己評価が近い」、実力が高い集団は平均すると「自分の実力より自己評価が低い傾向」となるわけでダニング=クルーガー効果が見えてきます。
でも、別に実力の低い集団だけが自分の実力を正しく自己評価できていないわけではなく、実力が中くらいの集団も実力が高い集団も正しく自己評価できていない層が同じ程度の割合でいるわけです。
要は自己評価なんて当てにならないって事です。特に根拠がないやつは。
私も一度、一作書き上げた後に「すごい小説を書いたぞ!」とハイな気分になってしまったことがあります。
でも、「いやいや、今は脳内麻薬に寄ってるだけだから、落ち着いて投稿して読者の反応を見るんだ」とハイな感情を抑えるローテンションな理性もあり。
当然のように、最終的には理性の方が正しかったわけですね。イベントであるミチル企画に出したのですけど、評判は芳しくありませんでした。
今読み直すと、作品のテンション自体を高めに設定したのも良くなかったかも?
そのうちカクヨムにも出すつもりですが、その前に地の文を全体的に直すつもりです。
「自分の事は自分がよく知っている」とよく言われますし、一面では真理だと思います。
でも、「自分の事は自分が一番知らない」のではないかと疑うのも時には必要なんじゃないかと思います。
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