第246話 綺麗好きな神様ー世界設定

 タイ人の95%は仏教徒ですが、イスラム教徒も4%ほどいます。マレーシアに近い辺りのマレー民族が元々イスラム教徒ですし、他にも中華系とかミャンマー国境付近とかで色々な系統のイスラム教徒がいるそうで。

 決して多数派ではないのですけど、バンコクでもコンビニ店員とかで時々頭巾を被った女性が働いているのを見ることができます。


 一方、日本のイスラム教徒は7万人程度、計算すると0.06%。キリスト教徒も1%程度しかいない国ですが、イスラム教徒はさらに輪をかけて少ないので、馴染みがないのは仕方がないのかなと思います。


 私自身馴染みがないからこそ、少し調べたことがあります。すると、イスラム教は色々戒律が多いのですが、意味なく増やしたわけではなさそうだなと思えてきました。

 例えば、豚肉を食べてはいけないというのは比較的知られていると思いますが、食べちゃダメなのは豚肉だけでなく、決められた方法で捌いてない肉全部なんですよね。

 そう規定することで、病気で死んだ動物の肉とかいつ死んだのか分からない肉を食べるのを止めているわけで、そう考えると共同体の健康維持に効果がある。


 1日5回の礼拝も、礼拝時には手足を洗うことが決まっています。となると、信徒は1日5回以上の手洗いをするわけですね。

 キリスト教圏じゃ、近代になっても医師が手洗いしてなかったというのに、イスラム圏は7世紀からこれ。


 そもそもイスラム教を始めた預言者であるムハンマドは宗教的指導者とだけでなく、軍事、政治面の指導者でもあったのです。戒律によって生活態度を整えさせる事で共同体全体の増強を図った面は少なからずあったのではないか、と考えるわけです。


 そんな考察を、今回創作に活かしてみました。


『魔女と聖女はすれ違う 第7話』

https://kakuyomu.jp/works/16817330658455237705/episodes/16817330665585607933


 中世欧州風ファンタジーが現実中世欧州より遥かに衛生的なのは、しばしばツッコミが入るところ。

 現実中世欧州に合わせたら、現代人の感性的にドン引きするから、というメタな理由はあるのですが、メタな理由はリアリティを補完してくれない。

 そこで『神様が清潔にしろって言ってるんだよ』という設定をつけてやる事で補おうという作戦ですね。

 神様が言ってるから、服も頻繁に洗濯するし、お風呂にも入ります。流石に庶民は自宅風呂でなく公衆浴場の設定ですが。


  ……それだけ設定つけといて、やることは覗きというのはどうなんだか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る