第14話


次の日、早速私たちは街へ繰り出した。


「どこへ行くんだ?」

「まずは髪を染めに行きたいの」


街を歩きながら、道行く人を横目に見つつ話す。

やはり教会が1番大きくて目立つが、他にも店の看板が色とりどりに飾られていたり、人の往来が多い。

煉瓦造りの建造物が中心の国だが、人の活気があるからか冷たい印象は微塵も感じない。


ちなみに猫は起きた時にはすでにいなかった。

きっとまた街をふらついているのだろう。



「髪の色を変えるのか?」

「えぇ、流石に銀髪は目立つもの。それに、兄妹なら髪色ぐらい同じにした方がいいかなって」

「そうか…」


髪に手櫛を通しながら答える。

カイルは何となく惜しそうな顔をするが、好き嫌いで髪色を決めていたら後々面倒を引き起こしかねない。


「どうせまた国を移動する時に染めるからその時また色を変えるわよ」

「うーん…」

「折角ならカイルも染める?」

「俺はいいかな。地毛が黒いと染まりにくいだろうし」

「そう。まぁ、また気が変わったら遠慮なく言ってちょうだい」





それからしばらく歩いて、目的の場所に着いた。

そこは看板には『染料』と書かれた店が建っていた。


「ここか?」

「染料とは書かれているけれど、確か髪染めもしてくれるはず」


店に入ると、中には様々な色の粉が置かれていた。

店員らしき女性は私たちを見ると、愛想良く笑いかけてきた。


「いらっしゃいませ。今日はどのような御用件で?」

「髪を黒くしたいのですが」

「かしこまりました。お連れの方はどうされますか?」


そう言うと、店員さんはカイルの方に向く。

彼は少し悩んでから口を開いた。


「俺は染めた方がいいか?」

「お兄ちゃんは染めなくていいんじゃない?」

「そうか。じゃあ街を散歩してくるよ。どれぐらいで終わりますか?」

「お嬢様の髪の長さですと、1時間ほど頂ければ綺麗に染まると思います」

「じゃあそれぐらいにまた来ます」

「かしこまりました」


カイルは店員さんに頭を下げてから店を出た。

それを見送ると、私は染める用の椅子に案内された。

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