第13話
話を切り上げるように軽く咳払いをする。
そして、改めて彼と目を合わせる。
「で、名前の話よね」
「あぁ」
「何か希望とかある?例えばこういう名前がいい、みたいな」
「……特にないな。お前に任せよう」
そう言われると困ってしまう。
「うーん、じゃあカイルとかはどう?」
「…トレヴァーと1文字も被らないな」
「被ったら意味ないでしょ?」
真顔で返せば、それもそうかと頷かれる。
何度も「カイル」という名前を反復している彼を見ながら自分の名前を考えるも何も浮かばない。
できれば兄妹感のある名前がいい。
「うーん…」
「どうした」
「私の名前決めてるの。何にしようかな…」
何か案はないかと周囲を見渡す。
部屋の中の物では案が浮かばず、何気なく外に視線を向けるとやはり教会が目に入った。
「あー…折角だから教会に倣おうかな」
私の独り言に不思議そうに首を傾げるカイル。
うん、決めた。
「じゃあ私の名前は今からメルよ。カイルとメルで『ル』が被ってるから兄妹感は出ると思うの」
「なるほど。いい名前だな」
頷きながら手を差し出される。
それが何を意味しているかなんて流石の私でも分かる。
「改めてこれからよろしく頼む、メル」
「こちらこそよろしく、カイル」
2人で改めて握手を交わす。
これでいよいよ、お互いに後戻りはできない関係になった。
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