そして少女は国を滅ぼす


「お兄さん、ちょっといいですか?」


空に星が煌めく夜、路地裏で1人の少女はある男に声をかけた。

豪華とまでは言えないが、所々に高級感を感じさせる服装をしている。

さらに少女は可愛らしい顔立ちをしており、綺麗な銀色の長い髪、透き通った青い瞳を持っている。


「なんだ?」


男はぶっきらぼうに返事をした。

男が足を止めたことに気を良くしたのか、少女は嬉しそうに微笑む。


「お願い事があるの」


手招きをして近づいてきた男性の耳元に口を寄せる。


「あのね、私が知った秘密を買い取ってくださらない?」


驚いた顔をして固まる男性に少女は優しく微笑んで言葉を続ける。

少女の声はとても甘く、まるで砂糖菓子のように溶けてしまいそうだ。

男性はゴクリと唾を飲み込んだ。


「それはどういう意味だい?詳しく教えてくれないか?」


少女はその問いを聞いて妖艶な笑みを見せる。

そしてゆっくりと口を開いた。


「ここから東に行ったところにある国の、悪い秘密知りたくないですか?」

「ほぉ」

「私はそこから逃げてきました。偉い人が持っていた書類もあるので値段次第ではこちらも差し上げます」


折りたたんだ紙を見せながら、少女は小さく首を傾げた。



「お兄さんなら、この秘密いくらで買い取ってくださる?」



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