体育祭の種目が決まったぞ!

 夢食さんから怪異の恐ろしさを聞き絶対に関わらないようにしながらも、もし関わってしまった時の為に対処法は調べようと思った翌日クラスは体育祭の種目が決まったことによって盛り上がっていた。


「私達の宝探しという案は無事に会議を通ったので正式に競技となりました!公平性を保つために、問題や場所の指定は委員会がやりますが殆ど私達が提案した内容で実行されるようです」

「他の種目に関しては今配ったプリントに書いてありますので見ておいてください。今日の午後どの種目に参加したいか決めるから、考えておいてください」

「りょうかーい」


 体育祭実行委員の話を聞きながら俺は配られたプリントを見てみた。種目数はかなり多く、学年リレーや障害物競走、ドッチボールなど王道の競技から俺達が提案した宝探しにフリスビーなど少し変わったものなど種類豊富だ。俺は何の競技に出ようかな~運動は嫌いじゃ無いけど投げる系は得意じゃ無いんだよな。どの種目にしようかと考えながら、午前の授業を終えみんなはどの種目に出ようと考えているのかを聞いてみた。


「俺は学年リレーと借り物競争かな~」

「爽太は陸上部だもんな」

「クラスで一番足が速いのは爽太君だもんね。僕はあんまり走るのは得意じゃないからどうしようかな~」

「走る系以外だと、投げる系はどうだ?的当てなんか良いんじゃないか?」

「的当ては野球部の人がやるでしょ~?」

「あぁ確かに」


 うちのクラスには部活に所属している人が多いので、陸上部の爽太はリレーのように自分が所属している部活に合った競技に出る人が多いだろう。勿論競技に合った部活の人が最優先という訳では無いので、どの種目に出ようと自由なのだ。


「う~ん・・・・借り物競争とフリスビーにしようかな」

「フリスビーに出るのか?意外だな」

「小さい頃結構遊んでたから、行けると思うんだよね~」

「なるほど」

「大和は何に出るんだ?」

「風船チャンバラと何にしようか迷っている」

「あ~大和は剣道が出来るんだもんな」

「うむ、剣道とは色々勝手が違うだろうがある程度は何とかなると思ってな」

「みんな得意なものがあって良いな~」


 ある程度出来るものといえば、俺は合気道以外はすべて平均的に出来るぐらいなので何か特別に得意なものは無いんだよな。みんな得意な種目に出るつもりみたいだし本当にどうしようかな~


「なら、障害物競走とかどうだ?覚は元運動部だったんだろ?」

「おう」

「障害物競走は体力とバランスとかが必要になるぐらいだから足の速さとか関係無いし、覚って結構身軽だから合ってると思うぞ」

「マジで?」

「確か障害物競走ってかなり力は入ってるんだよね~?」

「おう、テレビで見るような障害物が沢山あるぞ。ある程度運動が出来る奴なら結構楽しめる競技だと思う」

「そこまで言うならやってみようかな」

「良いと思うぞ」

「うむ、聞いていて楽しそうだ。俺も障害物に出るとしよう」

「お、良いね」

「後は、種目ごとに定員があるから出来るかどうかはそれ次第だな」

「第三希望まで考えておいた方が良さそうだね~」


 かなりの種目の数があるみたいだし、障害物競走は第一希望としてもし駄目だった場合の選択肢も考えておいた方が良さそうだな。体育祭実行委員である爽太に種目の詳細を色々聞き昼休みを過ごすとあっという間に帰りのHRとなった。


「それじゃあ、種目決めてきますね~一つずつ上げていきますからやりたい種目に手を上げて下さい。個人種目は一人二つ出て下さいね」


 次々と種目が読み上げられていき、偶に定員オーバーの種目が出てしまったりしたが特にもめる事無く話し合いやじゃんけんで決まっていく。障害物競走を読み上げられたので、手を上げてみたが上げたのは俺と大和そしてもう一人しか居なかった。障害物競走なんてメジャーだし人気が高い種目かな~って思っていたのに、手を上げる人が少ない事に驚きはしたが無事に俺の一つ目の種目は決まった。

 二つの目に種目は、パン食い競争にしようかなと思っていたが以外にも人気が高く、じゃんけんで負けてしまったので余っている水鉄砲サバゲーに種目が決まってしまった。この種目の話も爽太から聞いていたので知っている。本格的な障害物のあるコースを作り5人チームで相手の胸に付いている紙に水鉄砲を当てて破けさせたら勝ちというルールなのだ。そして、この競技楽しいと言えば楽しいのだが全身がびしょ濡れになるため少し面倒なのだ。着替え自体は運営側が用意してくれるので、そこは良いのだが毎試合着替えるし、家から替えの靴を持ってこないといけないなど色々と大変なのだ。まぁ決まってしまった事だし全力でやるつもりだけど。


「よし、これで全員決まりました!この後委員会に提出してしまうので変更は出来ませんからそのつもりで」

「はーい」

「各種目の詳しい説明は、各種目ごとに集まって説明があるのでその時に。これで種目決めを終わりにしま~す。お疲れさまでしたー」

「お疲れ様~」


 種目が決まり段々体育祭が近付いてきていることを実感するが、体育祭が近付いているという事は期末テストも近づいてきているという訳だ。成績を下げないように勉強しないとなと思いながら、求眠堂に向かった。


「へ~今の高校はこんな種目もやるのか」

「うちの学校が特殊ってのありますけどね」

「んで、お前は何の種目に出るんだ?」


 求眠堂に来た俺はいつも通りに掃除をしながら、夢食さんに種目が書かれたプリントを見せていた。


「障害物競走と水鉄砲サバゲーです」

「障害物競走は分かるが水鉄砲サバゲーってなんだ?」

「サバゲーの水鉄砲版ですよ」

「そのままだな・・・・障害物と言ったらネットとか平均台とか結構地味な種目だよな」

「それが友達が言うには障害物に凝っているらしくてテレビで見るような奴とかも揃っているらしいですよ」

「へ~面白そうだな」

「夢食さんって運動好きなんですか?」


 面白そうだと笑って言う夢食さんだが、夢の中ですぐに息が上がっていたことや動きが少しゆったりとしているからあまり運動が好きなイメージが無い。


「運動は出来るが、好きって訳じゃねーな。こういうのは見る専なんだよ」

「なるほど」

「長年積み上げた鍛錬の成果を見るっていうのはかなり面白いぞ。自分には出来ないことを、その人は可能にしているんだからな」

「そういうものですか?」

「そういうものだ」


 俺はあまりスポーツ中継とか見ないんだが、父親はよく見ているしそういう気持ちで見てるのかな?


「天狗の山越えとか見ものだぞ」

「え、何ですかそれ」

「飛んだり風を使ったり、高い身体能力を活かしたり天狗が持つ全ての力を使って山から山への距離を競走するんだ。風のような速さで走る姿はまさに圧巻だぞ」

「へ~天狗もそんな事するんですね。何か大会でもやってるんですか?」

「まぁ祭りごとみたいなものだ。山越えの速さを競って、優勝者には極上の酒が褒美として与えられたり修行の一環としての側面もあるな」

「妖怪の大会か~見てみたいな~」

「河童や人魚なんかによる川のぼりレースとかもあるぞ」

「うっわ!超見たい!」


 あんまり大会を見るってことに興味は無かったけど、妖怪の力を使ったレースなんて絶対面白いじゃん!うっわ~超見てみたい!河童だから水を操ったりするのかな?


「妖怪の力を使った大会は結構開催されてるんだよ、今度予定があったら見に行くか?」

「是非!」

「了解、楽しみにしておけ」


 よっしゃ連れて行ってくれるって!大会なら沢山の妖怪と出会えるだろうしまだ会ったことが無い妖怪も沢山いるはず。開催されるという大会を楽しみにしながら、俺は仕事を続けて行った。


「狐と狸の化かし合戦はもう終わっちまったからな~」

「何それ見たかった!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

求眠堂の夢喰さん 和吉 @kazukichi_10

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画