第2話 嘘から出たまこと
プロデューサーと演出家の二人と打ち合わせをするため、私は先日東京に行ってきました。
「丸子稔です。どうぞお手柔らかに」
初めてということもあり、かなり下からいったつもりだったのですが、そんな私に彼等は、なんの遠慮もなくダメ出ししてきました。
「もっと演者に分かるように書いてもらわないとな」
「時間経過をもっと工夫しないといけないな」
これらはほんの一部で、私は相当な量の書き直しを命じられました。
──マジかよ。これを三日でやらないといけないのか。
テレビ局が用意してくれたホテルに缶詰めになりながら、私は三日三晩書くことに没頭しました。
そしてようやく書き直しが終わり、私はフラフラになりながらテレビ局に向かい、プロデューサーと演出家に脚本を渡しました。
「なんとか書き直しましたが、これでよろしいでしょうか」
二人が脚本を見ている間、私はなんとも落ち着かない気分で待っていました。
「まあ、とりあえず、これで行こうか?」
「そうですね。細かい部分は、また書き加えればいいですし」
二人は渋々といった表情ながら、なんとかOKサインを出し、これでようやく私の役目は終わりました。
──後はドラマ化を待つだけだな。配役は一体誰になるんだろう。
気になった私は、それについて訊いてみました。
「主人公は誰がやるか、もう決まってるんですか?」
「いや。これから当っていこうと思ってるんだけど、正直売れっ子のスケジュールはもう埋まってるだろうから、あまり売れていない者になるだろうな」
「……そうですか。まあ仕方ないですね」
プロデューサーの言葉に正直ガッカリしましたが、文句を言える立場ではないので、私はグッと我慢しました。
なにはともあれ、私の書いた『幼なじみの彼女が土踏まずのにおいを俺に嗅がせたがる』は放送が5月に決まり、それに向けての撮影が始まりました……
というのは、全部嘘でーす!
今日が4月1日ということと、タグにエイプリルフールと書いていることから、これが嘘だというこは、皆さん分かっていましたよね?
えっ、分かっていなかったって?
では、そんな方のために心から謝罪します。
「ごめんなちゃーい!」←謝る気なし(笑)。
本来、こんなものを書く予定はなかったのですが、運営に急かされて、つい書いてしまいました。
なので、私はまったく悪くありません(笑)。
さて、受賞したのは嘘ですが、私が脚本の公募に挑戦しているのは本当で、現在2作品が結果待ちです。
もし大賞を受賞してドラマ化や映画化されることになったら、このエッセイも嘘ではなく未来日記に格上げされます。
そうなれば、またこの場で報告しますので、皆さん期待していてください(笑)。
了
脚本家デビュー 丸子稔 @kyuukomu
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