第6話 夜明けの貴方


「ああ……夜が明けて参りますねぇ。結局ネジは全ては見当たらなかったようですが、それでも付き合って下さって有難う御座います。」

なんて、貴方がもうこの時間が……終わってしまうような、悲しい事を言うではありませんか。

「お願いです!まだ最後まで探させて下さい!」

例え、夜が明けてしまっても。忘れて欲しくない事があるのです。

貴方は何を冗談をと、小さく笑うだけ。


「……その喋りは昔からなのですか?」

と、私が聞くと貴方は今、書いているものに合わせているのだと答えた。

私……何故その声に安心してしまったのか、分かってしまったのです。

ちっとも、貴方のする事に興味も持てなくて。

何をやっているのかさえ何時も分からなくて……。

貴方は書斎に籠ったと思うと、突然ケラケラ笑ったりする……。


「嗚呼……綺麗な夜明けだ……。青く美しい。そして空気も澄み渡っている。」


夜明けに気持ち良さそうに広げた貴方の両手。


「綺麗ですよ、こちらに来て見ますか?」


貴方はきっと、屈託もないあの純粋な瞳で今、その美しい景色を見ているのでしょう?


「……振り向かないでっ!!お願い……振り向かないで……。」


私は見知らぬ誰かに恋をしたの。例え、それが貴方だったとしても、気付けなかったのだから。

貴方の背中に、涙が止まらず滲んでしまう。


「……私!まだ貴方のネジ……隠し持っているのですっ!」


嗚咽を堪えながら私は貴方に伝えた。

貴方は少し戸惑って黙ったけれど、やがてこう言ったの。


「それは貴女が持っていて下さい。僕が物語を書く為に必要なものなのですよ。

だからそれで良い。

素敵な夜だったと思いませんか?

僕ら二人、また何もないところで出逢い、また恋に落ちたんです。

これって、何処に行っても変わらないって事ですよね。

何時も寂しい思いばかりさせてすみません。

それでも、僕が大切に想い、恋を愛に出来るのは貴女だけです。」


そう貴方は言って、優しく私の手を解くと振り返り微笑んだ。


「仕方ないわね。ネジ……返してあげるから、今度その落語のお話し聞かせてくれる?」


「ああ、勿論だよ。」


二人で手を繋ぎ、見る夜明け

……夢は、現実になる。

後何回……君と恋に落ち、愛するのだろう


……頭のネジ……全部……みぃ~つけた♪


___男篇__女篇__TLUE END___


二冊に分けた意味、分かっていただけましたでしょうか?

こ~んなお話しでした♪

記念に感想やコメント、気楽に残して行って下さると嬉しいです♪

行き来していただき、有難う御座いました。

心より感謝申し上げます。


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この方の頭のネジ、探す事に致しました。この掌から返したくはありませんが。 黒影紳士@泪澄 黒烏るいすくろう @kurokageshinshi

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