第5話 苗字と名前

これでいい。陽奈の死の真相を突き止めるためにはこうするしかなかった。しかしそれは本当に正しいことたったのか。実際にあれ以上の方法はリスクが生じる可能性もあり、最悪の場合情報すらつかめない場合もあった。さて次はどう出るか…


「優、おーい優、優!」


「あっああ、すまん少し考え事をしてた」


「ったく、どうせ夜ふかしでもしてゲームでもしてたんだろうよ!」


「おいおい、神崎と一緒にするな」


あれから月日は進み、神崎は朝の朝礼前の時間、俺の前の席の椅子を後ろ向きして俺の首に肩を回してきた。思ったよりも力が入ってて少しだが、痛い。


「それよりも、いつまで俺のことを苗字で呼ぶつもりなんだよ!入学してからもうすぐ1ヶ月が経とうとしているんだぜ?いい加減、俺の名前は下の名前で呼んでくれよ!」


「そんなに呼んで欲しいのか?」


「あっっったり前よッッ!名前で呼び合うってことは友達の証なんだからな!」


「傑、これでいいだろ」


あまりにも下の名前で呼んで欲しそうだったため、用件はなかったが、神崎を下の名前で呼んでみることにしてみた。


そんな他愛もない話をしてから数分後、朝が早かったこともあり静まり返っていた教室に、クラスメイトの姿が見え始める。入学してから一ヶ月近くも過ぎれば、自然とグループができていた。陽キャだらけの女子グループ、おふざけキャラが集まる男子グループ、そして俺のようなどのグループに入っていないクラスメイトなど、多くのグループが作られていた。


芹澤、水嶋が仲良くしている女子グループの姿が扉の前へと姿を現す。水嶋と、芹澤は俺たちに気がついたのか、手を振ってきた。俺は軽く手を振り、向かってきた2人に挨拶をした。


「おはよう」


「おっはよ!優!傑と何話してたの?」


「おはよう!優君、傑君」


「おはよう!明菜、帆波!」


と、俺はここであることに気がついた。3人とも苗字ではなく、名前で呼び合うようになっており、少し関係が遅れているような感じをした。


「芹澤や、水嶋も下の名前で呼ぶんだな」


「それはそうでしょ!私達もう友達じゃん!」


芹澤は俺の机に両手をつき勢いよく言ってきた。 


「そうだね、私も皆んなのことは友達と思っているから下の名前で呼んでみようかなって」


芹澤とは違って水嶋は最近下の名前で呼ぶようになったらしい。まぁこれも芹澤の影響だろう。


「優はまだ私たちのこと苗字で呼んでるの?

今日から私は明菜、傑は傑、ほなみっちは帆波と呼ぶように!」


「つい先ほど神崎のことは傑と呼ぶようになったぞ?」


俺は自分が遅れてることが少しショックだったため、ほんの数分前のことだがつき加えることにした。


「お!いいねぇ!なんか優は下の名前で呼んでるの全然想像つかないなー笑」


「そうか?帆波もそう思うのか?」


俺は帆波へと言葉のバトンを渡し、意見を聞いてみることにした。


「え、あ、そ、、そうだね!私もあまり想像つかないな…笑」


「どうした帆波、顔が少し赤いぞ?熱でもあるのか?」


先ほどよりも水嶋の顔が熱ってるように赤くなっていたので、俺は少し心配になった。


明菜は頭を抱えらようにして、ため息をつき始め、それに続くように傑も呆れた顔をしていた。


「優は本当に鈍いなぁ、まぁ分かりきっていたことでもあるけど、ここまでとはねぇ〜。ほなみっちが可哀想に思えてきたよ…」


「本当にな」


俺は困惑してる演技は上手くいったらしく、簡単に信じてもらえた。帆波は俺に少し好意を抱いていて、上手く利用すれば上手くいくかもしれない。俺の頭の中で新たに計画を立てつつあった。

















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青春と虚無 ヨナ @rk01

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