第4話 条件と決意
「単刀直入にいいます。俺を姉が所属していた事務所で雑用でも構いませんので、雇ってもらえませんか?」
俺が考えた効率良く情報を集める方法、それは姉が、所属していた事務所では働くことにより人間関係や、あの事件に関わる証拠を集め、復讐計画を進行させていくことができるということだ。
俺は姉の陽奈が殺されてからの一年できる限りの証拠を集めようと思ったが、証拠となりそうな情報は掴めず、唯一証拠となりそうだった姉の携帯を、何日も何日も試しては記録に残し、それを繰り返し数日前にようやく開くことができた。その暗証番号は、
(001128)
俺の誕生日の日付に設定されていた。俺は姉の携帯から連絡先の一覧を確認し、陽奈のマネージャー兼プロデューサーでもある松永秀樹という名前を見つけ出すことができた。それから連絡を取り合い今に至る。
「君は佐々木陽奈の弟、優くんだったよね?」
「名前を教えたつもりはなかったのですが、なぜ俺の名前を?」
俺は連絡を取り合ってはいたが、俺の名前は伏せて
この日の何時ごろに来て欲しいとお願いしたぐらいだった。つまり松永は俺の名前を知るはずもないのだ。
「クク、そう警戒しないでくれよ。弟のことは陽奈から聞いていてね、とても優しい子だと聞いていたよ」
「陽奈がそんなことを?」
「ああ、陽奈は誰よりも努力家で、仕事が終われば弟が待っているの一点張りですぐに帰るような子だったよ」
松永は姉のことを語っていたが、俺のことを見るなり、真剣な顔つきに戻った。
「それで、君が僕にそのようなお願いをするのはなぜだ?それは君の姉の死に関係するのかな?」
「俺は姉を殺した犯人を許すことはできません!たとえ身内だったとしても、俺はそいつを地獄までおいつめて、俺の姉を殺したことを、後悔させるまではッッ!」
「確かに優くんは陽奈の弟だけあって、才能を感じる。しかし陽奈とは真逆のあらゆる人に飲み込み、それを踏み台とし、自分が登り詰める才能がな。」
「それに、事務所で雇うことで優くんの姉の情報は掴めるかもしれない、だが芸能界はそこまで甘くないぞ!わかってるんだな?」
俺は松永に向かってありったけの眼差しを突きつけた。
「クク、やはり君は面白いな。しかし事務所で雇う過程にも色々問題がある。そうだな、、、君が通う海声学園一年の水嶋帆波は知ってるか?」
松永の言葉から水嶋の名前が出たことに俺は驚き、少し動揺を隠しきれなかった。松永はなぜ水嶋の名前を知っているのか分からなかったため、尋ねることにしてみた。
「なぜ、あなたが水嶋を知っているのですか?」
「あれ?優くんは知らなかったのかな?
あの子は、……だよ?そしてその条件は水嶋帆波をうちの事務所に迎えることだ。これを引き換えに優くんを事務所を正式に雇うことを約束しよう」
俺は犯人を見つけるためには事務所で雇われることが効率が良く、確実に一歩になると思い、答えを出す。
「わかりました。任せてください。」
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