第3話 新たな友達

神崎と友達になって1週間が経過した。神崎はいつものように俺と登校し変わらない日常をただ同じことを繰り返すように過ごしていた。それと同時に姉を殺した犯人を見つけ出す方法も考えがまとまってきた。必要となるものは情報だ。情報を得るために俺はある行動を考えていた。


「いやー、毎朝早くてたまんねーな!もっとゆっくり寝て、昨日買ったばかりのゲームしたかったのによ!そう思わね?」


「俺は…いや確かに毎朝早いのは少し困る」


「だよな!あーあーいいことでも起こらねーかなー」


「助けて。」


微かだがそう聞こえた気がした。確か次の角を曲がった細い抜け道だったはずだ。俺は走って声がしたところへ駆け込んだ。


「ゆ、優!?どーしたんだ!待ってくれよ!」


「理由は後だ」


俺は声がしたところに向かうと、そこには少し小柄な艶のある茶髪の女子学生が男に言い寄られていた。その女子学生は制服を着ており、俺たちと同じ海声学園の制服だった。俺は男の腕を掴見上げた。


「何したんだ、その手を離せ」


「何だお前、ガキはどっか行け!」


俺は男に向かって殺すかのような眼差しを送りつけてそれと同時に男の腕を強く握った。


「いててててて!何だよおい!」


「聞こえなかったか、手を離せと言ったんだ」


「お前がしてることは立派な犯罪行為だ。これでお前は立派な犯罪者だな」


その瞬間男は女子学生から手を離し、俺の手を払い血相を変えて逃げ出していった。


「あの…ありがとう、ございます。」


「ゆ、ゆうなのか?」


神崎は少し怯えた顔つきをしており、俺の顔を見るたび顔を引きずっているようだった。


「神崎どうしたんだ?俺の顔に何かついているのか?」


「いや、あの男に向けた時のお前の顔、獲物を捕まえて殺すような目をしてだろ!それでいつも優じゃないみたいだっからよ」


「気のせいだ。それよりあんたは大丈夫なのか?」


「はい!助けてくれて、ありがとうございます」


彼女は視線を下へと向けて、俺の制服を見ていた。


「その制服って、海声学園のですよね?」


「ああ、そうだけど」


「あ、あの私海声学園の1年の水嶋帆波と言います。もしよければ友達になってくれません、、か?」


「俺は佐々木優同じく海声学園の1年だ。」


神崎は顔はいつも通りに戻っており、それに続いて自己紹介をした。


「俺は神崎傑、同じく海声学園の1年!優とは友達だ!良かったら俺とも友達になってくれよ!」


「はい!」


彼女は前に手を合わせるように笑顔でこちらに微笑んだ。


それから神崎、おれ、水嶋で学校へと向かい、昼休みの時間となった。俺は神崎と一緒に食べ始めようとすると、水嶋がこちらに近づいてきた。右手にはお弁当が入っているだろお弁当袋を持っていた。


「あの、お昼一緒にいいですか?」


「いいぞ」


「一緒に食べようぜ!」


「ありがと!こうやって男の子の友達と一緒にご飯食べるの初めてかも」


と水嶋は椅子を俺のいる方へと少し動かし、これらを見つめてきた。そして水嶋が何かを言おうとした時クラスメイトの女子が水嶋の肩に手を乗せてきた。


「ほなみっち!今日は一緒にご飯食べないの?」


クラスメイトはこれらを見るなりして水嶋に耳元でコソコソと話している。今日はチラチラ見られることが多い気がするけど、まぁそれは気のせいだと思うことにしよう。


「え!そ、そんなことないよ!明菜ちゃん!こ、これは別にそういうのじゃ…」


「ほほぅ?本当にそうかな?笑。それツンツン」


クラスメイトとは水嶋の頬をツンツンと人差し指で突いている。突かれている本人水嶋は顔が赤くなっていて、助け舟を出そうか迷ったが、少しこちら側も気まずいので助け舟を出すことにした。


「その人は?」


「この前自己紹介で紹介したけど、私は芹澤明菜!陸上部に入ってまーす!それでほなみっちとは中学からの友達!」


「そうだったのか、どうりで仲がいいわけだな」


芹澤は何かを推理してるかのように、顎に指を持ってきて、これらを見て考え事をしている。


「むむむ、確か君は佐々木優くんだよね?」


「よく覚えてたな、自己紹介の時に一度しか名前を言っていたいのに」


「ふっふん!私こう見えて一度名前と顔が一致すれば、すぐに覚えちゃうんだよねー!ちなみに優くんの隣に神崎傑くん!あってた?」


芹澤は俺どころか、神崎のことまで覚えていたらしく、これはある意味の才能ではと感じとった。神崎も少し驚いた顔をしていた。


「芹澤ってすごいな!何でそんなに覚えることができるんだ!?」


「それはねー、その人の印象と名前、顔を照らし合わせることで、この人はこんな感じで、こんなんだなーみたいな?」


「説明が適当すぎるだろ」


「なぁなるほど!そうやればいいのか!さすがだな芹澤俺も真似してみようかな」


「あれでわかったのかよ、やっぱり似たもの同士は通じ合うのか?」


と、俺の隣の水嶋が笑顔で笑っていた。


「アハハ!ほんと、2人が揃うと似たもの同士みたいで面白いね笑!」


あっという間に時間は流れ放課後の時間となり、今日は芹澤が入部している陸上部がオフとのことで、4人で帰ることにした。


「友達同士で帰るのってこんなに楽しかったんだね!ねぇ!ほなみっち!」


「そうだね!私も学校が楽しくなってきたよ」


「だよな!また今度一緒にどこか行かね?」


「いいねぇ!!行こ行こ!優くんも楽しみだね!」


「あ、ああそうだな」


「?」


「明菜ちゃん〜早く行くよー」


「待ってよー置いてかないでー!」


「悪ぃ、俺用事を思い出した、また明日な」


と俺は、通学路とは別の道にある公園とやってきた。それから30分もしないうちに日も暮れ始めかけてきていた。数分が経過した頃、黒い影が近づいてきてるのを感じた。


「すまないね、待たせたかな?」


「構いませんよ、ところで本題に移りたいのですが。」







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