もうすぐ卒業
あの後の件から、お兄ちゃんとは連絡を取らなくなり、私はどん底に落ちていた。寂しくて、裏垢で誘ってくる人に体の欲求を求めていた。
ただただ落ちていく毎日だった。3年生になっていても、学校には行かないでいた。親にも学校からも注意を受けるが、そんなの無視していた。今までくれていたお小遣いも学校を休んでることを原因にくれなくなった。
バイトするのもめんどくさい。パパ活をしていた。中には、お金や物だけをくれるだけの人もいたけど、よっぽどのエロジジイだと、お金を倍出すからと体を求めてきた。今は、誰も私のことなんてどうだっていいと思ってるから、断る理由もなく、セックスをしていた。正直、エロジジイは気持ち悪かった。まだ若い男性の方が清潔感あるというか…。でも、お金がないと生きていけない。そう思いながら、セックスをしていた。その後、大体嘔吐をしていた。お兄ちゃんと一緒にいたあの頃が懐かしい。あの指で私の体をエロく触られるのが嬉しかった。
お兄ちゃんへの連絡はあの日、2人を見てからしていない。聞くのが怖かった。お姉ちゃんも帰ってくることはなかった。どうやら、昇給して忙しくなり、なかなか時間が取れないらしい。大好きな2人なのに、今は妬ましい。
そんな生活も数ヶ月が過ぎると、流石に連絡手段のスマホが止められた…。多分、親が止めさせたんだろう。これは一度帰ってこいって事か。休む場所もないので、数ヶ月ぶりに家に帰ることにした…。
ドアの前に立ち、インターホンを鳴らす。ドアからすごい形相の父親が出てきた。流石に外で大喧嘩になると周りの目もあるとわかっているのか、手を引っ張られ、家に入れられた。いつもお父さんは仕事なのに、休んでることが不思議に思えた。ソファに座らされ、怒鳴られ、ビンタもくらった。お母さんも泣きながら私に抱きついて、「心配したのよ」の連呼だった。お姉ちゃんからも、スマホが復活してから数え切れないほどの着信とメールが来てた。私はただ一人好きな人のために、周りが嫌になり反発しただけで、こんなにも家族を苦しめたんだと、心が痛かった…。一粒の涙が出てきて、私は素直に謝った。それをみて、怒っていた父もため息をつき、頭をなでてれた。もうお兄ちゃんのことは忘れよう。そう決めた。
学校へも母親と謝罪に行った。先生も呆れていたけど、ここで退学させるわけにはいかないらしく(多分、先生の実績として)在籍させてくれることになった。ただ、また問題を起こしたら、即退学というおまけ付きで。それからというもの、私は嘘みたいにいい子になった(というか演じるようになった)家でも学校でもいい子。そうすれば、周りの評価は少しずつ戻っていった。お兄ちゃんとは一切連絡をとっていない。きっと、お姉ちゃんとまた幸せになっているのかも。時々、身体がお兄ちゃんを求める。でも、前みたいに他の男で埋めようとしない。だから、自慰で抑えめる。それがとても虚しかった…。そんな虚しいけど、周りにもう心配かけなくていいと少し自分を抑えてる頃、正直、疲れ始めていた。誰かに頼りたい。でも、誰に頼っていいかわからない。そんな時、ふと、スマホを取り出し、懐かしい番号に電話をかける。仕事中なのか、留守番電話になり、心元少し安心して、電話を切った。きっと折り返しかけてくることもないだろう。そう…かけた相手はお兄ちゃん…。きっと、家族がらみで仲が良かったから、知られてるんだろうな。心が痛い。でも、それをしたのは自分自身。だから、ちゃんと卒業して、就職して、皆を安心させないと…。いつから私ってこんなにいい子を演じるようになったんだろう。こんな自分は嫌でしょうがなかった…。もう少し卒業まであと1年もない。頑張らないと…。スマホを引き出しに入れて、私は部屋を出た。その時に着信があった。そう彼から…。しばらく、スマホを触らなかった私は気づくのに、だいぶ時間が経った…。
彼の甘い指先 桜華 @sakura_yuuki
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