このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(166文字)
狂気と化した恋が引き起こす惨劇。よく描かれるテーマですが、本作の美しさは一読の価値あり。独白による静かで美しい語りが、その執念が育ってゆく様を描き……そしてクライマックスに、彼女の白い姿がありありとしたイメージとなって、主人公と読者の眼前に花開きます。最後を飾るように、主人公の懊悩を写すような赤い夕空。その赤さを、あなたはどう受け止めるか。どうぞお確かめください。