鳥が飛び立つ日
私は小説を書きながらも、仕事に通っている。
やりたくない仕事を朝から晩まで。今日はこの小説に手を付けることが出来たから、皆さんはお分かりだと思うが私は休みということだ。
今日は、朝早くに、目が覚めてしまった。
特にすることもなく、携帯のSNSを開く。
私の生きてる中で、SNSは凄く便利な物になったと共にリアルタイムで情報が入り色々な一般人の世間ニュースが飛んでくる。
いつも通り、私は携帯をスクロールしていると、目につく投稿が一つあった。
「未来があるのにどうして?」
という意味深な投稿が。私はすぐに検索をかけた。
「俺、飛び降ります。」
公開投稿をしていた男子中学生。
十七時間前の話だ。そんなね、まさか。
動画もあったので、興味本位で見た。
動画は一分ほど。マンションのベランダに立つ
一人の男の子。沈黙が数秒間続くのだ。
天気も悪く、晴天でも、雨の日でもない中途半端な日。風も吹かず、涼しくも寒くもない。
男の子は一度カメラの電源をオンしてからは、地面を眺めて、カメラに振り向くこともせず、
身を投げた。
数秒後、ドンッと音が鳴る。音が鳴った後は、その子がいない空が数秒間動画で映し出されていた。消防は十分後くらいには来ていたらしい。
助かっていればいいんだが。
そのたった一分の動画に全てが詰まっていたんだろう。私は何度も動画を見返した。その子の息遣い、その子の肩の揺れる速度、その子がどうでして死に追い詰められて、死に抵抗が無くなって、飛び立ったのか。十七時間前に出会えていれば私は彼を止められたのか。いろんな感情が交わって気持ち悪くなってくる。
それでも、その投稿を見て、バカにする大人が沢山いる。きっと異常だ。バカな大人は、社会に揉まれて何が正解か分からなくなったんだろう。マウントをとる人生でしかなく、構ってもらえない。そんな大人がSNSをしていて、胸糞悪くなる。
好きなゲーム、好きな音楽、好きな本
人生には色んな好きが詰まっている。
色んな好きを好きと思えなくなって
色んな先を通り越して、死を選択するなんて。
それもまた…。
いや、分からない。私も死にたいと思ったことはある、高いところから、地面を眺めたこともある。でも、死ねなかった。その子がどんな気持ちなのかは、これから分かって行けたらいいと思う。その子がどんな気持ちで飛び降りたのかも。
深い意味はあまりない。
ただ、死ぬ前には、少し話がしたかった。
会ったことも、顔も見たことないけど。
そう思えるような男の子ではあったな。
そんな投稿から始まる一日。
今日も生死について考える日になりそうだ。
私は、コーヒーを漉しながら、パンをかじる。
その、出来事は生きているうちにしか、出来ない行動だと身に染みて感じている。
私は、筆を手に取り、
また、小説を書き始めるのだろう。
私が死ねばそれでいいんだ 紙喜連 @__neko0624
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私が死ねばそれでいいんだの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます