ハジマリノヨル

私が小説を書き始めたのは、中学生の頃だ。

悪趣味な妄想をしていた私はホラーから、気持ち悪い恋愛小説まで、何から何まで書きまくった。きっと同級生からはあいつは気持ち悪いから関わりたくないなと思われていて、虐めも沢山受けた。


「気持ちわりぃ〜!」


「ねえ。ほんとキモイからやめて」


「こっちくんな。菌が伝染る」


こんな言葉をほぼ毎日受けた。そう毎日、毎日、毎日、毎日、毎日。

学校から家に帰る時には偽りの笑顔でご飯を食べて、なるたけ家族に会わないように、1人そっと部屋に篭っていた。

それでも、同じ趣味仲間が居て、学校には負けじと通っていた。

毎日毎日挫けないようにと、1人で学校に行っていた。

今思えば私は、鬱だったんだろう。


成人になった今、こうして小説のネタとして書けるのは凄く助かるし、喜ばしいことだ。仕事で都内に出ていた私は地元に帰れずに居た。今回仕事が地元の方に戻れるようにと、上司が言ってくれたので、私は地元に戻ることにした。都内から電車で約4時間くらいのところだ。


「草ばっかり。」


地元について、ふと、出た言葉がこの言葉だった。

緑ばっかりで空気が軽く、匂いも臭くない。敢えて言うなら田舎臭い。

私は電車から降りて、実家に向かった。


「おかえり〜、何年ぶりやん、帰ってくるん」


「いや、わし、そんな帰ってきたん年数経ってないねんけど」


「え?そう???」


いつもどおり、母は優しく出迎えてくれた。

専業主婦で、お家で小さい頃から育児家事を一生懸命こなしてくれた。

不器用で、完璧では無いが、私にとっては最高の母だ。

父は働きに出ていて、昼間の今頃の時間は家にいない。


「お腹空いてない??長旅やったやろ?」


「いや、それが全然いらんねん」


「えー、そうなの?食べなあかんよう…」


「まあ作っておいてくれたら、あとから食べるから」


そう伝えて、私は2階へ登り、自分の部屋へと篭る。

私はノートを開けて小説をまた綴り始める。


そうだな…始まりは、

高校1年生の夏とでもしようか。

14歳の女の子をメインにして、

モテモテの外見かわいい女の子にしておこう…


環境が違うと、思い浮かぶシーン、登場人物が変わってくる。

私は夜が開けるまで机と向かい合い小説を完成させた。

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